「買わせる」のではなく「買ってもらう」
先日、某販売店でマットレスを探していたのだが、その売り方を反面教師として紹介したい。
最近腰が痛く、私は数万で買えるマットレスが無いか、某販売店に入った。
「腰痛が…」と店員に話すと汎用品もあるがオーダーメイドで作れると言われた。その後、体型を測られたり、実際に寝てみてほしいだったりとあれこれやられた。
私はそもそも予算も聞かれてないし、オーダーメイドの金額も聞かされていない。その時点で買う意欲はもう無くなってしまったがとりあえず最後まで話は聞いた。
最後の最後に金額は20万超、 60ヶ月ローンまで組めます!
と言われた。
私は笑ってしまった。確かにオーダーメイドの良さは伝わったが数万円でモノを探している人間に20万のマットレスをローンを組んで買えと言われて誰が買うのか。
企業方針なのか分からないが、絵に描いた押し売りに終始笑ってしまった。
題名の回収
「買ってもらう」のではなく「買わせる」という手口で買ってしまう人は少なからずいると思われる。しかし、私はそれ以上のメリットが見いだせない。
逆に例として、私がお世話になっている自動車ディーラーの営業マンを紹介したい。
その人はまず予算を聞く。月々何円までのローンなら組めるかを聞かれ、その予算に対してベストな買い方を提案してくれる。オプションも過去のユーザーの声から必要性を教示し、無理につけさせようとしない。もちろん買ってくださいというお願いは絶対にせず、一番お客さんが気持ちよく、そして過剰な負担を減らせるような買い方をできるよう尽力してもらえる。
さて、この例をもとに、私ならどのようにマットレスを売るかを考える。
営業のコンセプトとして買わせるのではなく、買ってもらう
ことを前提としている。
第一に予算を聞かなければならない。そもそも現在の日本人に、マットレスの値段を気にせず買える収入がある人は一体何人いるのか。残念ながら、多くの人は「何円まで」というボーダーを決めて販売店に来ている。
それをふまえてまず、予算に見合ったマットレスを紹介する。この時絶対にメリットとデメリットを提示する。
値段とメリットデメリットを聞いた消費者は、もっと安くていいのか、より性能をあげたいのか、これでいいのかを判断する。
ランクを変えたいと言われたとき、1ランク安いものか、高いものかを紹介する。
そのようにして徐々にランクを上げ、メリットとデメリットを伝える。話しているうちに、より性能にこだわりを、と言うのであればそこで初めてオーダーメイドを紹介する。
私は製造業の人間なのでこのような理想通りの販売ができないのは何となく察する。 おそらく本社からオーダーメイドを売るよう指示があるのかもしれないが…
商売というのは信頼関係だ。この人なら騙すことはしないだろう。私の負担を考えて紹介してくれる。という信頼があるからこそ、その次もその販売店で買おうかな、と思える。買わせてしまうと消費者は買ってから後悔をし、次同じ店で買おうとは思えないのだ。
近年、オンラインショッピングが増えている中で、販売店そのものの需要は減っていく一方だ。
だからこそオンラインショッピングではなく、販売店にしかない魅力である“人"がいることを武器にしていかなければならない。販売店が淘汰されることは無いと考えるが、この先を生き残れる店と潰れる店の違いは“モノ“ではなく“人"にあるのではないかと思う。
今回のオチ
原点回帰。現代ではかなり減ってしまったが、昔ながらの駄菓子屋のおばちゃんや、タバコ屋のおばちゃんに、改めてこれからを生きる商売のヒントが隠れているのかもしれない。
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