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肌触りが影響してた

 下着でも靴下でもゴムがきつくて痒くなったことがあります。
服の縫い目が肌に触り、ヒリヒリしたこともあります。
織り柄や編みの柄がザラザラと肌に触って嫌だなあと
感じたこともあります。
色、柄、形が気に入って買ったが、なんとなく着なくなった服が
何枚かタンスにあります。
こうした衣服は無意識で着るのを避けているようです。
 
 肌触りの感触が健康的な見地からどんな影響があるかを研究した
結果があります。
その結果は想像以上でした。
 
 九州大学の生理人類学の綿貫茂喜教授の実験で見る事ができます。
3~4歳の幼児14人に協力してもらいました。
子供たちを対象にしたのは、大人だと社会生活や人間関係などの
複雑な心理的ストレスを受けている可能性があり、
純粋な肌感覚のデータを得るのが難しいからです。
実験は、肌触りの悪い肌着を2日間子供達に着用してもらい、
それから一週間後に肌触りの良い肌着を2日間着用してもらいました。
そして、午前中の唾液と尿を採取して検査しました。
 
実験1
ストレスを感じると、尿の中に副腎皮質ホルモンの一種コルチゾールが
排出されます。
コルチゾールは、別名ストレスホルモンと呼ばれ、ストレスの度合いが
強いと排出量は多くなります。
結果     
肌触りが悪い肌着を着た日のコルチゾールの値は
平均 112.34ナノグラム
肌触りが良い肌着を着た日のコルチゾールの値は
平均  96.60ナノグラム

肌触りが悪いというストレスのためにコルチゾールが
16%も多く排出された結果になりました。
コルチゾールは、ストレスがかかった身体を守ろうと
分泌されるホルモンで、炎症があると修復するように働きます。
ただ、同時に自己免疫が亢進しすぎないように抑制もします。
この免疫機能を下げる働きがあるので、
昼間にストレスが掛かったその晩から風邪を引いた
などということが起こるわけです。
ストレスが続きコルチゾールが慢性的に分泌されると、
免疫力が下がる、自律神経失調、入眠障害、高血圧症などの
症状につながります。
さらに、コルチゾールが多く出てしまうと成長ホルモンの分泌を
抑制するということになります。
成長ホルモンはその名のとおり、成長期の子供には
不可欠なホルモンですが、大人にも重要な働きをしています。
人体は60兆個の細胞からできていて、1日にその1%の
6000億個が壊れて、同時に新たに作られています。
この再生に働くのが成長ホルモンです。
健康維持、アンチエイジイング(老化防止)には、
成長ホルモンは必須なのです。
  
沢山出てしまったコルチゾールは当然のことストレス解消で
分泌は落ち着きます。
効果的なのは、散歩、軽いランニング、エアロビックス、
ダンスなどの有酸素運動ということになります。
 
実験2
 ストレスが掛かると免疫グロブリンAの量が減少します。
免疫グロブリンA は病原体やウイルス他、異物を排除する
抗体タンパク質です。
普段は喉や気管支の表面や腸の内側にあって外敵に対して
待機している頼もしい存在です。
唾液に多く含まれているので子供達の唾液を採取しました。
結果
肌触りが悪い肌着を着た場合
平均 132.49ナノグラム
肌触りが良い肌着を着た場合   
平均 164.75ナノグラム

 子供たちの唾液中から免疫グロブリンAの量を計測した結果は
肌触りのよい肌着を着ている時は高く、
肌触りの悪い肌着を着ている時は低い値になりました。
柔らかい肌触りの良いものを着ていると、免疫力が24%も
強くなるという結果で、風邪などをひきにくくなるという訳です。
 
 不快な肌触りの服を着ていると、自律神経のバランスを崩して、
体温の調節が狂って、カラダが妙に暑いとかゾクゾクと寒いと
感じるようになります。
こうなると当然集中力が鈍り、いらいらした気分になることも
あるでしょう。
 
 これは大変重要なことですが、服を着た時、
ちょっとザラザラするなあとか、縫い目が肌に当たっているなあとか
胴回りがきついなあなどと感じたとしても、2~3分もすると
それに慣れてしまい、身の回りの方に気持ちが向いて
肌触りの違和感が消えてしまいます。
ところが、その違和感に対応する身体の生理作用は無意識下で
引き続き働いています。
“なんだか今日はイライラするなあ" とか、不安感に苛まれるとか、
"やたらダルくて体調が変だなあ" などと感じることがあったら、
肌着や靴下など直接肌に触れているものの肌触りや
伸縮ゴムの締め付け具合や着心地を疑ってみることでしょう。
 
 人の肌は重要なセンサーの働きをしているので、
身につけた時の感触をなおざりにしないようにしなくてはなりません。
衣料品など身につけるものは、色・柄・デザインだけではなく
肌触りのよい、着心地のよいものを選ぶことが
健康で快適な日常生活を愉しむことにつながります。

参考:https://noc-cotton.org


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