宮嵜道男
テイルホワイトというタイトルは、TAIL is also WHITEを短縮して付けました。 森羅万象に目を向けて、心引かれる事象を出来るだけ広く感じ取って エッセーにまとめています。読み終わった時「へ~?」と発して貰うのが 無上の喜びです。
新聞各社には一面コラムと呼ばれる特別な囲み欄があります。 2,3分で読める500字前後の短文に日々の世相を反映させ、 時には落語の「お後がよろしいようで」とウイットで退くような かっこよさが信条です。 コラムを担当するのは大変な名誉なことですが、超人的な記憶力と 情報へのアクセス力とウイットのセンスが要求され、 毎日のことでストレス負荷は大きく精神を病んだり、 短命に終わるとかの噂があり、ある意味恐ろしいポジションと云えます。 そんなコラムに画像が添えられたら、もっと楽しめると思ってきました。 「画と小話(えとこばなし)」を始めた切っ掛けです。 写真を見つけて物語を綴る、物語にドンピシャな画像を付けて 編集すると別の趣きを醸し出します。 こんな、小話と画像の組み合わせの作品をこのマガジンに 収集してゆきたいと思います。 皆さん、奮ってご参加ください。
下着でも靴下でもゴムがきつくて痒くなったことがあります。 服の縫い目が肌に触り、ヒリヒリしたこともあります。 織り柄や編みの柄がザラザラと肌に触って嫌だなあと 感じたこともあります。 色、柄、形が気に入って買ったが、なんとなく着なくなった服が 何枚かタンスにあります。 こうした衣服は無意識で着るのを避けているようです。 肌触りの感触が健康的な見地からどんな影響があるかを研究した 結果があります。 その結果は想像以上でした。 九州大学の生理人類学の綿貫茂喜教授の実
教室で先生が子供たちに「みんな幸せかなあ?」と訊いたら、 全員手を挙げて「は~い、幸せで~す!」と返ってくるでしょう。 大人が「あなたは幸福ですか?」と問われて、「はい、幸福です」と 安直に答えることは憚られるのではないでしょうか。 世間には、幸運に見放された人々がいることは、毎日のテレビのニュース を観ていれば分かります。 気の毒な人がいる、そんなことが頭に過ぎると「まあまあですね」 「人並みでしょうか」「上を見たらきりがない」「そんなこと一概には言えません」などと、ぼか
過日、葬儀に参列した時の事、僧侶がいくつかのお経を唱える合間に 鴨長明の方丈記を朗々と吟じました。 「ゆく川の流れは絶えずして しかも もとの水にあらず よどみにうかぶうたかたは かつ消えかつ結びて ひさしくとどまりたるためしなし・・・」 方丈記は人の命の儚さを川の水の泡に譬えています。 逝く故人へのはなむけと同時に、今生きて参列している 人々に向けての心構えを諭したように感じました。 水から泡ができて、暫く浮かんでポツっと消える、この一瞬
我が国だけではありません、世界には多神教・アニミズムに類する信仰が沢山あります。 その信仰は、大自然のあらゆる存在には神様が宿っているとしています。 日本には、供養という奥ゆかしい心情から行われる儀式があります。 人や動物だけではなく愛用してきた道具も供養の対象です。 縫い子さんの針、調理人の包丁、大切に慈しんできたお人形など 沢山あります。亡くなった人や動物、道具に対して、 自身との繋がり、因縁として捉え、畏敬の念をもって 感謝する心です。 そんな古臭い
普段使っている漢字は、言うまでもなくメイドインチャイナです。 殷の時代3000年くらい前から成立して8万字もあるそうです。 現代では、1万字程度が使われています。 我が国はこの漢字を輸入して、現代では当用漢字で2136字、 専門用語を加えると万単位になるそうです。 外国人に、日本語は三千もの漢字とひらがなカタカナを組み合わせて 5万の語彙を使うと説明したところ「それは悪魔の言語」だと 怖れられたという話しは有名です。 1800年台、江戸後期から明治時代にかけて鎖国を解
15年くらい前のことです。アメリカの思想家、環境活動家の レスター・ブラウンさんが来日して講演を聴いたとき、 目から鱗が落ちる話題がありました。 それは、「なんで日本では地熱発電をしないのか?」という 問い掛けでした。 日本は世界有数の火山国で、地熱資源量はアメリカ、インドネシアに 次いで第3位で、温泉が一万箇所もあって工業技術水準も高いのに、 世界地熱発電量は世界で10位にとどまっているのは不可解で 宝の持ち腐れだと語りました。 *地熱発電の世界ランキング
人の視線は相手の顔の左側から見て右側に移動してゆきます。 自分で鏡を見ているときも、左側に注意が向いてメイクに 気遣ったりします。 ところがこれは大きな勘違いです。 鏡の中の自分の左は、人から見ると右になります。 ということは自分の顔の右にチャームポイントを置くといい ということになります。 世界の道路には左側通行と右側通行があります。 左側通行はイギリス型で馬車の御者が中央に座っていて、利き腕の右で鞭を使ったため左になりました。 右側通行はフランス型で御者が左側の馬
白川 静博士の解字によると「服」という字はひざまづいている人を上から押さえつけている様子だという意外な解説があります。 なるほど服従とか征服とかの熟語には確かに「服」が使われています。 また、別の解釈では船の両側に添えた板があり、これから転じて身につけるもの「服」となったというのもあります。 月編の漢字は肉付きといい、身体に関する漢字にはほとんどと言っていいくらい使われていて、服でおおうところとして肌、股、胸、胴、脇、等々があるわけです。 では薬を飲むことを「服用」といい
各国の経済的な活力を比較するのに国内総生産Gross Domestic Product GDPの数値が使われています。 アメリカがダントツの一位で、2010年までは、長らく我が国が 2位でしたが、猛追してきた中国にあっさりと抜かれて3位に甘んじ、 その後中国のGDPは日本の3倍近くの規模になってゆきました。 ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領は世界で最も貧しい大統領と呼ばれ、自らの富には頓着せず働いた事で有名で、国連で「人間は発展のために生まれてきたのではなく、幸せにな
コロナ騒動が収まり2023年あたりから外国人観光客の姿が どこかしこにあって,すっかり見慣れた風景になってきました。 電車に乗っても各車両ごとに当たり前に外国人のグループを見掛けます。 統計を見ると2015年位から年間2千万人に達するようになり、 その後2018年から3千万人を越える勢いがあったようです。 インバウンドや爆買いという新しい言葉がすっかり定着してゆきました。 それが2019年から始まったコロナパンデミックが起きて急降下し、 終息し始めた2022年、202
八月になると、ブラジル音楽をこよなく愛する日本人でも、 おやっと首を傾げたくなる曲があります。 美しいメロディの曲なだけに戸惑いを覚えます。 題名は平和(A Paz)で ジルベルト・ジル(Gilberto Gil)の曲です。 この人はブラジルで、新しいスタイルの音楽トロピカリズモを 進めた第一人者で、有名なシンガーソングライターです。 そして5年間、文
アメリカに住んでいた時、ニューヨークやシカゴなど北部に住む ビジネスマンたちとの会話の中で 「リタイヤしたら暖かいフロリダかハワイに移住したいね」と、 判で押したように話していました。 そんな老後のプランに影響されたようで、自分もいつか ハワイに住みたいと考えるようになりました。 ところが具体的に計画してみると、移民の手続きの難しさや 資金面の不安などがあって思いは段々と薄れてゆきました。 夫婦揃って還暦の記念旅行で、沖縄を旅しました。 そうだ、ハワイがダメなら沖縄もい
1603年徳川時代が始まって80年、綱吉が五代将軍になって7年後、 稀代の法令「生類憐れみの令」が発布されました。 戦国の時代から天下泰平の元禄時代に差し掛かろうという頃です。 平和が続いて心に余裕が出来ると、 人は優しい眼差しで世の中を見直すようになるようです。 綱吉の命により、現在の中央線 中野駅の周辺には 「御囲 おかこい」という巨大な捨て犬の保護施設が建造されました。 16万坪の敷地に25坪のお犬様の宿舎建物が290棟、 459カ所の子犬養育所が整備され、総工費
5月の中頃だった。 晴天で少し暑いが時折やってくる風が心地よい。 引っ越しの片付けで大量に出てきたレコードの処分に頭を悩ませてきた。 ネットで買い取りの会社を探してみると世田谷のレコード買い取り店が 音楽ジャンルも幅広くとてもシステマチックにやっている会社のように 思えた。 更に今なら30%上乗せ買い取り期間中というキャッチフレーズに誘われて 決断した。 車に100点以上の古いレコードやCDを積み込み環状7号線を西に向かって 走り出した。 住まいの練馬から10km位の距離で
NFLプロアメリカンフットボールのチームでは、 試合前に選手はレッドルームと呼ばれる赤一色の部屋に入り、 敵意を高揚させる怒鳴り声のシャワーを浴び、 鼻から蒸気を吹き出すような戦闘モードになって、 戦場であるフールドに駆り出されてゆくそうです。 この時の「赤」という色は、絶大な威力を発揮します。 スペインの闘牛でマタドールがひらめかす赤いマントは 当の牛には赤い色は識別できませんが 観客の興奮を呼び起こすには最高の道具立てと云えます。 では人間の眼が識別できる色の数
中国は経済を伸ばし、軍備を拡大し、 領土、領海の拡大に熱心で、 四方八方に加圧の行動をしています。 中国沿岸の海洋侵出では、南沙諸島でフィリピンと、 沖縄尖閣列島では日本と摩擦を起こしています。 陸上の国境でも、中国軍はやはり膨張して、 インド軍がこれに対抗し、重苦しい緊張状態が 続いています。 そんな中、大分古い話ですが、 ちょっと心和むやりとりがありました。 2013年のインド、ヒンドゥスタン・タイムズ紙の 8月9日付の新聞記事が伝えています。 中国のパトロール