メロンと生ハムの白和え
果房 メロンとロマンがメロンを使ったお家で楽しめるレシピを発信する企画、「メロンのレシピノート」。
第3回はなんと、果房 メロンとロマンが位置する東京・神楽坂にある飲食店とコラボ企画。『離島キッチン神楽坂店』さまが一緒にレシピを考えてくださりました!
神楽坂の路地裏に現れる一軒家。島の船小屋をイメージした店内は、都心での慌ただしい時間を忘れてしまうようなゆったりした時間が流れています。
今回、レシピを教えてくださるのは離島キッチン神楽坂店の料理長・
佐藤 友洋(さとう ともひろ)さん。
離島の食材についての話なども聞きながら、メロンのレシピについて教えてもらいましょう。
ー「離島キッチン」さんは、日本全国の離島の食材を扱う飲食型アンテナショップということですが、どのようにしてできたのですか?
11年ほど前、島根県・隠岐(おき)諸島にある「海士町(あまちょう)」という島の呼びかけで始まった飲食店型のアンテナショップです。現在では一般社団法人離島百貨店が運営していて、そこに加盟している離島の自治体を中心に全国の島々が連携して取り組んでいます。日本には400を超える有人離島がありますが、これまでに100以上の島々、450以上の生産者さんと繋がってきました。
➖離島といえば、当店でも2月ごろに沖縄のメロンを扱うことがあるのですが、宮古島でもメロンを作っていると聞いて、ぜひ一度味わってみたいと思っています!
とても興味あるのですが、なかなか希少なようなので、まだ当店でも扱ったことはないですね。ぼくは、もともと東京・広尾にある和食のお店で働いていたのですが、旬の時期にメロンを使うことがあったのを思い出します。でも、今回は初めて食事にメロンを使ってみようと考えました。
ーどんなメニューを考えてくださったのですか?
はい、メロンをつかった「白和え」です。白和えとは、豆腐をごまなどを合えた料理のことで、具にはその時々の旬の野菜などを使います。
➖お豆腐とメロン!新しい組み合わせですね。どのように、メロンの白和えレシピは生まれたのでしょうか?
白和えに使用する材料は、豆腐がメインなので、メロンのジューシーな食感や甘みを消しません。それでいて、豆腐の風味もしっかりするのが特徴なので白和えはメロンととてもよく合います。料理の味付けは、様々な調味料を加えていく「足し算」だと思われがちなんですけど、和食の場合、素材の味を最大限に引き立てながらも、最もシンプルで美味しい味つけを常に考えてつくるんです。なので、調味料は素材に「添えるだけ」の役割。簡素な味付けだからこそ、メロンの味を最大限に引き立てる、最小限の味付けレシピを考えました。
➖なるほど、和食は優しい味付けだと感じる理由がわかりました。ところで、和食でメロンを扱うことはあるのでしょうか?
旬の時期に、デザートにはよく使いますね。そのまま生のメロンを切って甘味として出すこともありますし、メロンの果肉をいれてゼリーやパンナコッタ(クリームをゼラチンで固めたデザート)をつくることはよくあります。
➖お食事として、メロンが和食に使われるケースはあるんでしょうか?
あまり聞いたことはないですね。…いや、「メロンの皮をぬか漬けにすると美味しい」っていうのは聞いたことがあります!
➖ぬか漬けですか!
メロンはウリ科の植物なので、きゅうりなどと同じように味付けをすると美味しく食べられると思います。水分の少ない皮の部分をよく乾かしてからお漬物にするというレシピを聞いたことがあります。
➖ぬか漬け、ぜひやってみたいと思います!笑
今回のレシピの白和えに使用している離島の食材はありますか?
長崎県・壱岐(いき)という島に、壱州(いしゅう)豆腐というお豆腐があるのですが、そちらを使うと美味しいです。(※あいにく取材の日は、入荷がありませんでした。残念!)とても重い石を載せて固めるお豆腐で、固めの食感と大豆の旨味がしっかり感じられるお豆腐です。壱岐の方々はお豆腐が大好きで、1丁がなんと800gもあるにも関わらずすぐに消費できるそうです。初めて見た方はびっくりするかもしれませんね。
➖一丁800gのお豆腐ですか!びっくりですね。佐藤さんにとって島の食材の魅力とは何でしょうか?
まだまだ知られていない美味しい食材がたくさんある、というところですね。ぼくが離島キッチンで働くことになったきっかけは、勤めていた和食のお店を辞めて地元の茨城県・水戸に戻った時に見た「離島キッチンまもなくOPEN!」という張り紙でした。(一時期、水戸駅ビルに、期間限定で離島キッチンが出店していました。)離島にはそれまでは行ったことがありませんでしたが、「島」と聞いて「今まで扱ったことのない食材に出会えるかも」というワクワク感があったのを覚えています。
最近衝撃を受けたのは、熊本県・天草諸島にある「湯島大根(ゆしまだいこん)」という食材です。よくスーパーで見かける大根の1.5倍くらいの太さがあって、とにかく水分が多くて甘い!普通、大根おろしは辛いんですけど、まるでリンゴのような甘さで全然辛くありません。もし、ここで働いていなかったら出会えなかったかもしれないな、と思う素晴らしい食材です。
➖なんだか、食材を通して旅している気分になりました。最後に、今回のレシピのポイントを教えてください!
今回のレシピの味付けはメロンの味を引き立てる最小限の調味料にしているのですが、お好みに合わせて調整してください。メロンの甘さをさらに引き立てて、全体の味をはっきりさせるために、生ハムも加えています。メロンと和え衣(白和えのお豆腐の部分)だけ食べたり、メロンと生ハムと和え衣を食べたり、お好きな順番で食べていただけるのも楽しいと思います。
あとは、このレシピを通じて、「和食って意外と簡単につくれるんだ」ということを感じていただきたいです。これは、ぼくが個人的に日頃からお伝えしたいと思っていることなのですが、白和えや南蛮漬けなどのお店で出てくるような和食のメニューって、真似できないものと思われがちだと感じています。でも実は素材も味付けも調理手順もいたってシンプルなんです。それを知っていただいて、このレシピを作ることを通じて少しでも和食を身近に感じてもらえたら嬉しいです。
白和えはタンパク質もたっぷりで、あと一品欲しい、という時にもぴったりですし、おつまみにもおかずにもおすすめです。
離島キッチン神楽坂店では、様々な離島の食材を購入することもでき、旅したような気分になれる店内が広がっています。みなさまもぜひ、訪れてみてください!
離島キッチン・佐藤さんが教えてくださったレシピ:
メロンと生ハムの白和え(1人分)
材料
木綿豆腐 100g
うす口醤油 小さじ1/2
ねりごま 5g
砂糖 小さじ1
生ハム 10g
メロン 10g
※味付けはお好みで調整してください。
※お豆腐は水分量の少ない木綿豆腐を使ってください。
事前の準備:お豆腐をキッチンペーパーにつつみ2時間ほど置いて水気を切る。(時間がない場合はペーパーに包み、電子レンジ600wで1分加熱してもOK)
つくりかた:
1.水気を切った木綿豆腐をザルなどで濾す。(時間がない場合は、すりこぎ棒などで豆腐を潰すだけでもOK)
木べらなどで濾す。木綿豆腐を濾すと舌触りが滑らかになって美味しくなる。
2.1.にうすくち醤油を小さじ1/2、ねりごまを5g、砂糖を小さじ1入れ、よく混ぜ合わせて、和え衣が完成。
3.2.でつくった和え衣を半量器に盛り、間に生ハムをはさみ、残りの和え衣をのせる。
4.メロンを好きな形にきり、3.の上にのせて、完成。
レシピ写真のメロンはこのような形で切っています。
レシピ考案にご協力くださったお店:
離島キッチン 神楽坂店
日本全国の島々の食材が楽しめる飲食店型アンテナショップ。島の食とともに、その背景にある「文化」「歴史」「物語」も一緒に楽しむことができる。
営業時間 : 11:30〜14:00 18:00〜22:00 LO.21:00
定休日 : 月曜日
※ 月曜日が祝日の場合は営業、翌日火曜日ランチタイムが休み
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、営業時間変更の可能性があります。詳しくは店舗にお問い合わせください。
住所 : 東京都新宿区神楽坂6-23
TEL : 03-6265-0368
text:
Mayuki Tsujihara
(果房 メロンとロマンのディレクターとして働きながら、ライターとして日本の島々や地域で働く方々に取材なども行なっております。好きなメロンはタカミメロン。)