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気質の見極め方と気質別の対処法

今回は
“人間の4つの気質”の続編。
4つある気質をどのように見極めるのか。
気質を見極めた上で、それぞれの気質を持った子どもたちに対してどのように対処するべきなのか。主に教師と生徒という関係性の中で重要なことをまとめていきます。

燃えるように激しい『胆汁質』

見分け方
すぐに何かに反応するか→Yes
自分のものにできるか→Yes


テーマ:見上げ、尊敬出来る人が必要

~対処法~

胆汁質の子どもにはやや難しい課題を与えること。なんなく出来ることばかりだと、威張ってしまう可能性があり、どの程度難しくするかは直感で判断するしかない。かけっこなどの勝負事でも、いつも大人が負けてあげる必要はなく、大人のほうが強いと認識することも大切。その子の力を少し越えたものを与えると、自分が英雄でないことに気付き、努力することを覚える。同時に“英雄”の物語をきかせることも、自分よりも大きな存在に触れるという意味で調和的に働く。

胆汁質の子どもは自分の内面から自分独自の見解をもちたいので、大人の意見を押し付けず、どのように思うかは子どもに任せること。

癇癪を起こしているときはそのままにしておいて、静かに戻ったとき(24時間後くらい。内面では癇癪を起こしたことを恥じている)にその子のしたことを静かに真面目に話し合うとうまくいく。暴れているときは話をきかないし、理性も働かない。自分の中の火種をコントロールし、手綱を握っていたいと感じるものの、それを制御し導く力がまだ足りないので、大人のエネルギッシュで理解ある指導を期待している。

胆汁質の子は皮肉的な嘲笑を根に持つことがあり、反対に思慮深い繊細なユーモアを好む。

一番良いのは尊敬する大人がそばにいること。その人への愛から自分の激しさへの自制がきくようになっていく。子どものレベルに合わせてばかりいると尊敬されず、合わせすぎるよりもむしろ、大人らしい口調や態度によって「ああなりたい」と思わせるほうが望ましい。教師に対して、「先生はものごとを理解している」といつも信頼することが重要で、教師は物事を深く知っていると示す必要がある。弱点を見せるとすぐに遊んでしまう。胆汁質の場合は特に、見上げ、尊敬する人が必要である。

多くのことに興味を持つ『多血質』

見極め方
すぐに何かに反応するか→Yes
自分のものにできるか→No

テーマ:人への愛

~対処法~
多血質の子どもは友達も多く、大人の仲間にもなれるが、少なくとも1人の教育者がその子といつも変わらず結び付き、その教師に対しては多血的でなくなることが重要。集中しつづけることが難しいタイプなので、1つの作業の中にも変化や切り替えをもたらすと上手くいく。そして、様々なイメージの移り変わりを用いながらひとつのことにとどまるように導き、それが上手くいったときにその子が尊敬する人が喜ぶことが最も効果的。誰かへの愛という回り道を通して長続きする興味があらわれる。立派な人物がいて、その人の側にいさせることでその人への興味が沸き、好きな人に集中していくうちに継続する力を身に付ける。
せかせかしたタイプの多血質の子どもと接する時に、だんだんとその子よりも少しゆっくりめの方法で導いてあげると良い。生活リズムも少しゆったりと設定すること。同じおもちゃで違う遊び方をするなど、ひとつの場所に留まる工夫をするのも効果的。もう1つは、その子以上にせかせかしてみせること。そうすると相手についていけないのでもっとゆっくりしたいと思うようになる。ただし、その方法はあまり長時間続けないこと。

ゆったりした『粘液質』

見極め方
すぐに何かに反応するか→No
自分のものにできるか→No

テーマ:人の関心を通して目を覚ます

~対処法~
大人が興味を持って色々なことに気付くこと。例えば道端に花が咲いていたとして、「見てごらん」と言うのはかえって迷惑で、「あぁ、きれい」と関心を見せるだけで十分である。大人が関心をもって気付くと大人の反応を受け取って子どもも気付いていく。人の関心が刺激になって自ら関心を持つようになっていく。無関心に陥らないように気を配ること。
身体的に分別のある教育をして、身体的な楽しみ(寝たり食べたり)を適度に減らすこと。ゆっくり食べるのが好きなので食べ過ぎないように量はやや少なめに。朝もいつまでもぐずぐずしないようにリズムを作ること。約束は守るタイプなので、朝のお水やり等小さな役割を与えるとリズムを保つことに繋がる。冷えすぎないように気を付けながらも着すぎないようにすること。比較的ほっそりしていると精神と心がよく育つ。
一緒に遊んだり、励ましたり、遊びのテンポを早めたりして、心のいとなみを刺激することが大切。ぼんやりしてばかりいるときには大きな声で名前を呼ぶなど、目を覚まさせて構わないし、子どもも目を覚ましてもらうことを望んでいる。

繊細で傷つきやすい『憂鬱質』

見極め方
すぐに何かに反応するか→No
自分のものにできるか→Yes

テーマ:肉体的にも精神的にも暖かいものが必要

~対処法~
教師が試練を経た人生から行動し、語る人物であることが大切。先生は本当に苦難を耐え抜いたんだと感じなくてはいけない。教師の運命に気付くこと、そばにいる人の運命に気付くことが教育的に働く。大人がどのように苦しみに対処したのかという話を、あまりに苦悩させるような内容でなければ、話すことも効果的。
明るく幸せそうな人と上手く関われないこともあり、子どもの喜びそうな場所や楽しそうな音楽やお話を馬鹿馬鹿しいと思うこともある。
肉体的にも精神的にも暖かいものが必要。暖かい衣服や暖かいハーブティーが体に合い、暖かい気持ちを持って関わってくる存在がなければ心が硬化してしまう。教師が暖かい気持ちを送っていくと信頼関係が築けるようになる。綿密な注意と愛情のある理解が必須だが、それをあまりにも目につく形にしないこと。信頼できるが、あまり注文をつけてこない大人が1人そばにいることが望ましい。
そして、開放的で無邪気な笑いを救いのように感じるので、軽いユーモアで笑わせること。

何度も強調したいことは、気質論はレッテル貼りとは異なるということです。重要なことは子どもたちのありのままの姿を注意深く観察すること。多様な個性を持つ子どもたちをより良く理解するための1つの視点として活用していきたいと考えています。

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