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018.Nujabes Documentary に見るセレンディピティ〜What is mine , What is yours
今日は特別な前置きもなく、少しテンション高めでいきなり本題です。ついにこのテーマに触れられる。
日本が産んだ世界に誇るDJ、HipHopトラックメイカーNujabes(ヌジャベス)のドキュメンタリー動画『MUSIC IS MINE MUSIC IS YOURS』がYouTubeに(再)公開されています。再公開と言ったのは、これ、実は2024年3月に非公開になって、その後も誰かにアップされては消え、されては消えを繰り替えしている作品だからです。
その理由はいろいろあるようですが、監督のAbe(be) Selassieが、Nujabesと親交の深かった錚々たるメンバーの2時間を超える膨大なインタビューと、日本のヒップホップの歴史とその当時の貴重映像を織り交ぜながら、その軌跡を巧みに類稀なセンスで編集しているんだけど、シーンの重鎮たちやTV局の映像が豊富に使われてるにもかかわらず、許可を各方面にとっていないというまさに「ブートレグ(海賊版・非正規品)」なドキュメンタリーだからではないか・・・と言われています。
なので、またすぐ消えてしまう可能性もあるのですが、僕のnoteを見てくれている方、僕のセレンディピティに関する発信に興味を持ってくれている人たちに、この希少性と重要性をお伝えしたいと思って、本来書くつもりだったテーマを中断して、この投稿を書くことにしました。
この動画について発信するにあたり、ここで何を書くべきなのかを悩みましたが、Nujabesという存在と、それを語る上で「HipHop」についても触れなければいけないでしょうし、直近のタイムリーな話題として先日のスーパーボウルでのKendrick Lamerのパフォーマンスや、僕が感じるHipHopとセレンディピティの関係性と、僕が彼から受けた影響などにも触れたいと思います。
このドキュメンタリーを見ながら、いろいろな思いが込み上げてきています。今回の投稿は、彼の美しい楽曲とともにNujabesという現象を辿る旅とも言えます。是非音楽を聴きながら、この投稿を楽しんでもらえたら嬉しいです。
Who is "Nujabes" …
まずは、数ある彼の代表作の中で、僕が一番好きな楽曲を紹介します。
↑Curtis Mayfieldと並び称されるシカゴ出身の偉大なる黒人SSWのTerry Callierの名曲『Ordinaly Joe』を、本人フィーチャーでNujabesがカバーした切ないメロディーが特徴的なトラックです。
彼の”人となり”やキャラクター、音楽への造詣とこだわりについては、動画を通して感じてもらえたら良いと思いますが、結論から言うと、15年前の奇しくも今月2010年2月26日に交通事故で亡くなっています(享年36歳)。世界中から惜しまれる、早すぎる死でした。
亡くなったその後も、その音楽はリスナーの心に残り続け、2018年Spotifyが発表した「海外で最も再生された国内アーティスト」で3位と発表されました。
この投稿を読んでいる方の中には、Nujabesを知っている人と、知らない人がいると思います。でも、知らない人の何割かの人は、音楽は聞いたことがある、もしくはCDのジャッケットを見たことがあると答えるはずです。J-POPでもない、ある意味でマニアックでアンダーグラウンドなHipHopトラックではありますが、その美しいトラックたちは、クラブシーンに限らず、時にラウンジミュージックとしても、多くのお店や家庭などで愛聴され続けています。
なお、名前のNujabesの由来は、彼の名前「瀬葉淳(SebaJun)」を逆さから読んだものというのはファンの間では有名な話。(本当の名前は、「山田淳」だったというややこしい話もあるけど。。。)
彼が亡くなった2010年後半に、インターネット上で興隆した「Lo-Fi HipHop」なるジャンルがあり、ジブリ風のアートワークとメロウでメランコリックな打ち込み音楽がエンドレスで流れ続ける配信形式で、YouTubeを中心に、凄まじい勢いで世界中に浸透していきました。
タイミングも相まって、Nujabesが「Lo-Fi HipHop」の神とかオリジネーターとして語られるのをよく見かけるけど、僕はそれには賛同しません。トラックメイカーとしてライバル関係でもあり、Nujabesとも親交が深かったm-floの☆Taku Takahashiも、とある記事で、以下のように語っていて、深く共感しました。
彼のサウンドが“ローファイヒップホップ”と称されることもあるけど、もし彼がそれを聞いたら、きっと不満だっただろう。発狂して僕に電話してくる彼をなだめている自分を想像すると、思わず笑みがこぼれる。と同時に、もうその電話がかかってこない寂しさも感じる
ここで、いわゆる「Lo-Fi HipHop」とNujabesの違いについて語ると、それだけでまた一つの投稿ができるほどの文章量になるので、それは避けるけど、一言で言うなら、彼はサンプリングの天才で、彼の選ぶサンプリング素材は他とは一線を画し、原曲への愛と敬意が感じ取れます。ドキュメンタリーの中で明かされていますが、彼は自分の作ったトラックを必ず車の中で仲間と聞きながら、即興でサイファー(トラックにのせて即興でラップをし合うこと)をして楽しんでいたそうです。これは僕の持論ですが、彼は聴かせて、そして自然と体が揺れてしまう、そんな音楽を創ってきたんだと思うんですよね。
技術的にも、チョップの仕方やその並べ方や、ループの美しさはプロの間でも定評があったと聞いたことがあります。かつ、フリージャズの生演奏のような要素を加えた作品も多いそうです。(晩年は、サンプリングの元ネタの著作権の問題で裁判沙汰になる可能性があったため、生演奏に移行していったというエピソードなんかは、このドキュメンタリーで明かされた事実の一つだと思います。)
彼のサンプリングの元ネタと聞き比べることができるYouTube動画もたくさんあるので、ぜひ興味がある方はそれを聞いてみてほしいですが、そのサンプリングの美しさを、わかりやすく感じとれる彼の代表曲がこれです。
↑『Reflection Eternal』は、Kenny Lankinの『Marie』の歌詞の一部と、ピアニスト巨勢典子の『I Miss You』をサンプリングして作り上げた、これもまた哀愁を感じさせる、Nujabesのトラックの中でも3本指に入ると言われる名曲です。藤井風の『特にない』という曲は、この曲からインスピレーションを受けていることを本人が公言しています。
Nujabesの『Eternal〜』がきっかけで世界中に知られることとなった巨勢典子の『I Miss You』。サンプリングで使われてるのは冒頭の30秒程度なんだけど、その30秒の部分の使い方とループのさせ方が、いかに秀逸かを感じさせる仕上げになっています。
発売された国も時代も違う元ネタ2曲は、もちろん共に素晴らしいのですが、この2つを組み合わせるという発想自体がとてもクリエイティブだし、「You're a flower. You're a river. You're a Rainbow.」という歌詞の部分だけをサンプリングするなんて、私には考えつきもしまへん。
What is “HipHop” …
「ヒップホップ」と聞くと、何を思い浮かべますか?
一昔前は、オーバーサイズのファッション、黒人、悪そうなやつは大体友達🎵・・・、昨今では、フリースタイル、ラップ、POPS・・・・って感じでしょうか。この20年近くで、その印象を始め、姿・形を変えながらは大きく進化してきたのがヒップホップだと思います。
そもそも、私たちが思い浮かべやすい「ヒップホップ」は、いわゆる「ヒップホップ“ミュージック”」のことであり、これはヒップホップを構成する要素の1つに過ぎません。本来、HipHopには3大要素というのがあります。
DJ
ブレイクダンス
グラフィティ
現在は、以上の3つに、4つ目の『MC』を追加し、4大要素と言う人もいます。詳細な説明は割愛しますが、アメリカのストリートギャング文化と深い関係があり、抗争を無血に終わらせるために、銃や暴力の代わりにブレイクダンスやラップの優劣で争ったことが起源で、その後アートやファッションにも影響を及ぼしたことで、ニューヨークのブロンクスのムーブメントは、徐々にカルチャーとして成熟し、世界に広がっていったと言われています。(諸説あり)
ジャマイカ出身のDJ:クール・ハークが「ヒップホップのゴッドファーザー」とも言われており、彼が妹の制服代を稼ぐためにブロンクスで手作りのパーティーを開催したと言われる1973年8月11日を、米国上院は「ヒップホップの誕生日」として制定しています。2023年に50歳の誕生日を迎えたことも大きくニュースになりました。
そして同年、ヒップホップはアメリカ国内でロックを押さえて、ナンバーワンのジャンルとなり、アルバム相当枚数にして2億7727万枚を販売、これは市場の25.3%に当たるのだそうです。ちなみに、この時に発売された、ストリートカルチャーやヒップホップシーンから絶大な指示を受けるコニャック『Hennessy』のヒップホップ50周年記念デザインボトルは僕も購入し、大事に持っています(笑)
先日行われた第59回スーパーボウルのハーフタイムショー『Apple Music Super Bowl LIX Halftime Show』で、Kendirck Lamerがパフォーマンスしたのも記憶に新しいですが、ショーの視聴者数も1億3,350万人と過去最多記録!賛否はありましたが、僕は圧巻のパフォーマンスだったと思っています。
日本に入ってきたのは、誕生から約10年後の1980年代前半。『俺ら東京さ行くだ(1984)』を歌った吉幾三がパイオニアと言われますが、実はそれよりも前からラップに影響を受けていると思われる曲がちょこちょこ出ていたと言われています。
しかしながら、お笑いを絡めたコミックソングとしての意味合いが強かったこともあり、しっかりとお茶の間で受け入れられたのは、やはり吉幾三の同曲と、佐野元春の『COMPLICATION SHAKEDOWN』がリリースされた1984年で、この年を「ラップ元年」と呼ぶことが多いようです。(※この時、私1歳ですね。。。)
日本においては、ヒップホップ・カルチャー全てというよりは、4大要素の中でもMC≒ラップ(ミュージック)が突出して独自のカルチャーとして発展し続け、40年の時を経て、とても身近な存在として根付いた印象があります。
ちなみに、「グラフィティ」という言葉は、聴き慣れない人もいるかもしれませんが、エアロゾールアート (aerosol art) ともいい、デザインされた自分の名前を、スプレーやフェルトペンなどを使って壁などに描く行為、およびその文化形態の総称のことで、弊社Catalyskiのロゴマークは、「グラフィティ」をモチーフにしてほしいというお願いから、デザイナーさんに導き出していただいたロゴだったりもします。詳しくはこちらもご覧ください。
What is "Sampling" …
ここで、音楽的な面だけでなく、セレンディピティと絡めた話も盛り込みたいと思います。
約2年前、MOTHERHOUSEの山崎大祐さん(代表取締役副社長)の計らいで、私が携わっていた施設のトークイベントで、今最も注目されているスタートアップの1つであるHERALBONYの松田文登さん(代表取締役)と一緒にトークイベントをさせていただきました。
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松田さんは同じ岩手出身で、同郷からおもしろい会社が現れたという話は聴いていたのですが、会ってみたい、お話をしてみたいと思いつつも、同郷以外の共通項が無かったので会う機会もないままでしたが、山崎さん+ゲストという立て付けのイベントを企画することになったことをきっかけに、「松田さん呼べないですか?」とお願いして、このイベントが実現しました。これが私の会社員人生最後のトークイベントで、この丁度1ヶ月後の2023年1月23日にCatalyskiを創業しました。
このトークイベントの中で、僕は「ヘラルボニー(松田さん)にヒップホップを感じる」という話を結構時間をとってお話ししたんだけど、会場は多くの人がきょとんとしていたのを覚えています。今振り返ると、時間の兼ね合いもあって、性急に丁寧な説明もせず飛躍した展開をしたかもしれないという反省はありつつも、いまだに間違っていないと思っています。
実際、先述のスーパーボウルのハーフタイムショーについて、松田さんは以下のようにいち早く言及。
ケンドリック・ラマーの社会情勢に対する痛烈な皮肉と批判を表現していて、これぞ生き様です。社会的な抑圧や差別、貧困などの困難に対する抵抗がヒップホップの原点にあります。
このムーブメントは、既存の権力やシステムに対して「NO」を突きつける姿勢を持っています。これは単なる反抗ではなく、社会を変えるためのメッセージでもあります。
ヒップホップは“社会を映す鏡”となって苦しき者たちの代弁者となる。
ヘラルボニーも社会のマイノリティからのカウンターを示す存在として、株式会社として社会と戦うスタンスを取り続けたいと気持ちを強くしました。
彼がヒップホップヘッズ(夢中な人)なのは知っていて、ヒップホップの持つ精神性やスタンスに対しても強く影響を受けていることがわかる投稿ですが、僕が感じたのはそこだけではなく、彼の"サンプリング力"の高さなんですよね。
改めてサンプリングとは、簡単に言えば、音楽制作において、既存の録音・楽曲などから一部分を切り取り、新しい楽曲に再利用する手法です。ヒップホップ文化の中で、DJたちがレコードの中でも気持ちが高揚する特定の部分をループさせるためにレコードを2枚使って流し続けたことが起源でもあります。
しかし、当然ながら、サンプリングには、著作権侵害の話も必ずつきまといます。Nujabesもそれに悩んでいたことがドキュメンタリーからもわかります。近年では、クリアランスのプロセスが簡素化されたり、一定の条件下で許可されるようになり、一時期に比べると寛容になってきたとも言えるようです。
サンプリング自体は、ヒップホップの4大要素ではありませんし、必ずしもヒップホップ特有の手法ではありませんが、ヒップホップカルチャーを発展させていく上で欠かすことのできない、創造性を広げるための重要な手段だったと思います。畑は違えど、例えば、日本が誇るアニメ・オタク文化における「同人誌」だって、ジャン=リュック・ゴダールの映画だって、”引用”であり、サンプリングと言えるわけです。
僕がヘラルボニーに感じたのは、この”引用・サンプリング力”の高さなんです。ヘラルボニーのビジネスモデルについての解説は今回はしませんが、双子で共同代表をしている松田兄弟が、ヘラルボニーを創業前に勤めていた会社で得たノウハウを見事に掛け合わせて生まれたビジネスです。
そして、”異彩作家”と呼んでいる障がい者アーティストの方々のアート作品を、どういうプロダクトと組み合わせることで価値が高まるのかを考え尽くし、そして従来の障がい者のプロダクトや、それを取り巻くシステムに対してすら批評家的な視点を持ち、それを乗り越えるクリエィティブさは、まさに”ヒップホップ”と呼ぶのが、しっくりくるのです。
以前投稿したジェームズ・W・ヤングの『アイデアの作り方』の話の中でも触れていますが、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」そして「事物の関連性を見つけ出す」掛け合わせのセンスがとても必要で、そのセンスを後天的に鍛えることがセレンディピティを起こすために、とても重要だと僕は思っています。これが点と点を結ぶという行為です。
ちなみに、このAbe Salassieのドキュメンタリー動画は、コラージュであり、まさにサンプリングだらけです。そこに、監督のHipHop精神を見て取れます。
最後に、今の日本語ラップを形作った先駆者であり、日本のヒップホップ史におけるレジェンド:いとうせいこう。僕は彼を大尊敬しているんだけど、彼がこんなことを言っています。
日本にはずっと「取り合わせ」という文化がある。日本の文化の根幹ですよ。
要は「梅にうぐいす」ですよ。何には何が一番あうか、そのセンスを競ってるわけだ。これがつまりMIXの面白さです。
だから、ヒップホップだけを聞くよりは、例えばいろんな絵を見に行って、絵画の中にヒップホップに似たセンスがあるかもしれないし、それをフィードバックさせて、歌詞やら、トラックだのに使えるかもしれない。だから、いろんなことを見て欲しいんだよね。
この後に、「印籠はヒップホップだ!」という話が続くんだけど、これも、ジェームズ・ヤングの話と繋がって、おもしろい。盲点だよね笑
これは、何もビジネスに限ったことではないと思っていて、趣味でもそう、創作活動でもそう、なんなら人格形成でもそうかもしれないんだけど、要はそこらじゅうに転がる情報と刺激を、あなたがどれを拾って、どれを受容して、自分の思考を形成していくかだと思っていて。その取り合わせの集合体が「あなたらしさ」なんだと思うんです。だから、僕はこの「サンプリングのセンスが良い人」に心から惹かれるのです。
いとうせいこう&TINNIE PUNX『東京ブロンクス(1986)
What is "Nujabes" …
ずっと書きたいと思っていたヒップホップとセレンディピティの関係性について、やっと書くことができましたが、これでもかなり端折りました。丁寧に解説できていないところも多く申し訳ないんだけど、それを書くきっかけをくれたのが、偶然Nujabesのドキュメンタリーだったのも、僕にとってはすごくエモいです。
僕は大学生時代にDJを始めて、学校にも行かず、レコ屋とクラブに入り浸っていた時期があります。その時にまさにリアルタイムで手に取っていたのが『Hydeout Production』というNujabesが作ったレーベルのトラックでした。
僕は当時そこまでヒップホップに興味はなくて、そんな僕が『Hydeout〜』を聴いて衝撃を受け、このレーベルの作品だけ買っておけば、間違い無いとすら思うほどに影響を受けました。
そんなNujabesが地元にDJしに来ると聴いた時は、オープンから入場して彼のプレイを楽しみにするほどで。彼のDJプレイが上手かったという印象よりも、むしろその選曲の一つ一つに痺れてしまい、当時はShazamとかも無いから、耳コピしては、翌日から記憶を頼りに、このレコードたちを探しに行きました。
執念で見つけ出したその内の一曲。忘れもしない、大好きな曲です。
とても中毒性のクラブチューンですが、これも実はジャズフルート奏者:Herbie Mannの曲のサンプリングで作られています。もう、全く別物。
レコードを手に取った当時は、まだNujabesの読み方すらわからなくて、僕は「ニュージェイブス」とか言ってました笑。なんなら、日本人だとも思ってなかった。
ドキュメンタリーの中でも明かされますが、その辺も含め、"Nujabes"というプロジェクトには綿密なブランディングがあったことがわかります。そして、瀬葉淳という人のマニアックで偏屈で真摯な音楽愛も感じられます。
彼は36年の生涯で、インタビューなどは受けていないと言われ、彼の生の声や考えに関する記録はほぼ残っていないそうです。だからこそ、彼と親しい仲間たちのインタビューからしか、僕ら一般人はNujabesの輪郭を掴むことができないという意味で、このドキュメンタリーは貴重だし、彼はさらに神格化されていくのだと思います。
そして、なんか嬉しくてワクワクするのは、瀬葉淳のエピソードとして、「絶対売れますから」と、周りの人たちの心配をよそに、周りからしたら"根拠の無い自信"を持って、時代と対峙していた話なんかはすごく痺れます。
運命が自分に会いに来るサインみたいなものを感じ取っていたんじゃないかな。そのための準備運動はもう終わってるぜ!みたいな感じ。
ここまでのグローバルなロングヒットを彼がどこまで想定していたかはわからないけど、『才気と偶発によって、探していたもの以上のものをみつけた』のがNujabesのような気がします。
Being CONCIOUS...
10,000字近くなってしまいました。そろそろ締めくくりたいと思います。
先述の現代を代表するラッパーKendrick Lamerは、よく"コンシャスラッパー"と言われます。政治問題や社会課題を取り上げるラッパーのことを指します。Kendrickは「コンシャス」ということについて50 Centから教わったと言い、以下のように語っています。
「コンシャス」なラッパーと言うと、どうしてもイメージ的に社会にて起こっている問題について意見を述べているラッパーというふうに思われる傾向があるが、50 Centによると自分の本当の気持ちを「意識」して、伝えている限り「全員コンシャス」なのだ。
人は誰もが違うことを感じる。それは同じものを見たときも、人生経験や理念によって違ってくるものだ。そして自分が感じていることを素直に語り、伝えようとしている限り「コンシャス」という意味なのだろう。
そのため、人が感じている「リアリティ」にたいして、ケチをつけたり、「自分のほうが優れている」という感じ方をするということは、他人が一生懸命考えた「コンシャス」を否定するものなのだろう。
それに倣えば、僕もコンシャスでありたいと思うし、こういう発信をしてるのもコンシャスでありたいからこその一つの主張の表れなのかもしれません。そして、これを読んでるみなさんも"コンシャス"であるべきだと思っていて、みなさんがどういうサンプリングで形成されたのかを知り、その人や組織のコンシャスの輪郭や解像度をハッキリさせていくお手伝いをするのが、僕やCatlyskiがやろうとしていることなのです。
話を戻し、Nujabesがここまでコンシャスなトラックメーカーだったことを世間はそこまで知らなかったと思います。それを浮き彫りにしたドキュメンタリーが再公開されました。
それを認識した上で、"Nujabes"というムーブメントは何だったのか、そして、瀬葉淳を始め、関わる人達のどのような紆余曲折を経て生まれていったのか、ドキュメンタリーを通して、"Nujabes"の輪郭を掴んでみてください。その上で改めて、彼の楽曲に向き合ってみてもらえたら、ファンとしても嬉しいです。
僕の1番好きな曲、MINMIとの『四季ノ唄』も是非ドキュメンタリーの中で楽しんでください。
この投稿を書いてる時に、大好きなヒップホップアーティストが新曲のPVをアップ。今回の投稿の内容と、書き終えた今の気分にぴったりです。
ヒップホップって良いね👍
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