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カウントダウン

 七月になりました。いつぞや言ったように、表題の写真を向日葵としました。太陽に向かって咲く姿、美しいですね。私の写真撮影の技術があればもっと美しく撮れたかもしれませんが。
 さて、先程まで飲み会に参加しておりました。機会飲み、というやつです。お世話になった先輩が他県に引っ越すということで、送別とその他を兼ねた飲み会だったのでしょう。凄く楽しかったのは紛れもない事実です。言い過ぎたかな、と思ってしまうくらい後輩を弄って、先輩の話で笑って、時に下品な話題で笑い合って。楽しいひとときでした。ですが、突然ほろ酔い気分が覚めたのです。形容し難いですが、とても幸せな夢を見ていて、その絶頂で目覚めてしまい気持ちが冷めきってしまうような、そんな気分でした。
 二次会はカラオケでしたが、私は不参加として帰宅し、こうしてnoteに記録を残しているわけです。食器を洗い、明日の朝食のために米を炊く予約をし、一服を終えてパソコンに向かいました。ノンシュガーのカフェラテが、更に酔いを吹き飛ばします。
 本当は、先輩の為にも行きたかったのですが、今の私が行ったところで場の雰囲気を乱し、自分自身楽しめないだろうと判断して帰宅した次第です。金銭的にも厳しいですし、贅沢は程々で済ませなければならない、とこういう時に限って自制心が背中を押したのです。
 六月二十四日から、自分は今なら何でもできると確信するくらい、強い心で心の臓を動かしてきました。あれから一週間、よく持ったものです。薬のお陰以上に、先生の言葉と好きな歌詞が心を支えてくれていたのです。やはり酒は過剰には良くないですね。暫く、控えようと思います。
 安定していた土台が、ぐらつき、やがて崩れていく感覚が家路を歩むとともに鮮明になっていきました。あれ程はっきり見えていた未来のビジョンが、突然霧に包まれた心地です。何度も愛する文豪の言葉を借りますが、「唯ぼんやりとした不安」が霧の正体であることは私も理解しております。「不器用も素敵じゃないですか」という言葉に支えられてきましたが、器用な存在を目の前で見ていると、羨望と嫉妬に狂いそうになります。自分のことが少しずつ好きになってきたことも事実ですが、折角ゼロからイチを生み出してもらえたのに、徐々に削られていく心持なのです。「ぼんやり」した不安なので、その原因を探し出すことは、文字通り雲ならぬ霧を掴むような難しさです。一度晴れた霧がこうも深くなってしまうと、また前が見えないのです。
 友人と共通理解でしたが、「なった人にしかこの感情は解り得ない」のでしょう。大人数のカラオケは元々苦手でしたし、行く理由より行かない理由が勝っただけなのですが、この無限に湧き上がる自己嫌悪をどう処理すればよいのでしょう。
 カラオケ後、先輩が我が家に泊まりに来ます。「客人はもてなせ」が私の流儀なので、不便なく過ごせるよう精一杯努めて参ろうと思います。それによって感謝して貰えれば、それが救いです。
 表題は「カウントダウン」としました。七月に入り、復職の為の訓練が来月に迫ってきたことで、下書きの段階で決めていたものですが、こうも感情が沈み出してしまうと、また違った意味で捉えることもできでしまうのが更に自己嫌悪を増大させていきます。来週の火曜日、復職に向けての話を、書類を渡しつつ先生と相談します。その時に、心からの感謝を先生に伝えます。消えかけていた命の灯を燃やしてくださりありがとうございました、と。
 長いこと多くの煙草を吸い続け、不摂生な生活を積み重ねてしまったこともあり、漠然とですが、長生きできない予感はずっと前から抱えています。病に侵されるのか、考えたくはありませんが自らの手で終わらせてしまうのか、はたまた不幸な事故に巻き込まれるのか。あと十回も生誕日を迎えられないだろうな、というくらいの感覚なのです。それまでに、私が恩義を感じている人に少しでも恩を返す為に、か細い命綱を千切らないように掴みながら息を吸っては吐いているのです。
 「生きてりゃいいことある」ということは紛れもない事実ですが、「生きてりゃ嫌なこともある」もまた紛れの無い事実なのですよ。嫌なことを上手にいいことに変換したり、その後のいいことに希望を持って生きていける人は心底羨ましいですね。嫌味でも何でもなく、私は不器用で視野が狭い故、嫌なこと、つまり感情の沈没を迎えるとそれしか見えず考えられないのです。霧はいつか晴れますが、晴らす方法を知りません。自然消滅するのを現実逃避して待つか、他の何かが霧を吹き飛ばすことを願うことしか今の私にはできません。
 今日の一曲の歌詞にもありますが、私の心はまたもや渇いてしまったのです。黒い渦に吞み込まれ、潤いを求めて藻掻いているのが今の私です。ふとしたことで潤ったり、渇ききったりするのがこの病なのです。明日は、心が潤うことを祈って〆とさせて頂きます。

生まれてしまったことがもう間違いだ
渇きを潤すためにもがいている

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