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めくるめく 現像の世界

tried using NX Studio 2021/6


 2021年3月にNX Studioが配給されていたのを、うっかり見逃していて、
遅ればせながらDLし使ってみた。
旧ViewNX-iとCapture NX-Dが統合された形で、Adobe Lightroomに構成を近づけた感じである。
 サブスク嫌いなので良し悪しの単純比較はできないが、大きく構成変更をした理由としては、他の現像アプリもAdobe社製に似せた或いは連動性を持たせて補完アプリを標榜したものが多いことから、カメラメーカーとしても圧倒的なユーザー数を誇る寡占アプリの存在を無視出来なかったのだと思われる。「ここが使いにくい」というクレームは以前から多かったのだろう。私もその一人である。なので、寡占アプリに寄せる形での改良を試みたのだと思う。ただ、Nikonユーザーにとっては、NEFデータからの編集作業がスムーズで、しかもDL無料(昔は有料)ということから、多くの純正ユーザーが純正既存版を使ってきた。「そんなことしてるからNikonヤバくなるんだろ」という声も聞こえてきそうだが、ユーザーからしてみると、機材購入後も安心できる現像作業環境がメーカーから提供されることは、サブスク好きの方は別として大きな商品選択動機となる。なので、有難く使わせてもらっている。因みに、知り合いのCanonユーザーはCapture NX-Dとメーカー純正ソフトの両刀使いである。

良かった点:
 パラメータの殆どが画面右側に羅列されるので、Capture NX-Dのように何が何処に隠れているか、慣れるまでに時間がかかるといったことは軽減された。使わないであろう不要な機能アイコンが無くなってすっきりした感はある。
 以前から引き継がれていることとして、各パラメータの範囲が撮影条件の範疇を無理に大きく逸脱することが無いように設定されている。外国製のアプリでありがちなのが、各機能に超現実のやりすぎ設定が多いこと。所謂映え写真のニーズからそのような設定が好まれるのだろうが、最終目標をプリントに置くとなると、やり方にもよるがまずもってそんなものは使えない現像となる。SNS上でリフレだのウニだのと喜んでいるキャプションを見ると、少々気色悪くなることがある。気持ちは分からなくはないが、所詮初期のうちのことで、そんなものはそのうち飽きられる。画像専従で作成していると色飛びやトーンジャンプを起こしていることに意識が及んでいないものをよく見かける。よく見ていただくと、プロが美しい鏡面反転や光条を再現されているのは、現場の状況に応じてカメラの設定、フィルターの選択、ライトの調整、画角の選択、あらゆる事項に神経を研ぎ澄まして現場での全力を尽くし、その上で、現像によってその写真の最大公約数を導き出す、これらの努力を惜しみなく行なっている、このことを無視してはならない。ぱっと見の一見狙いならそれでいいのかも知れないが、一つ一つが勉強と考える人間には、使う道具によってより自分の頭の中の記憶に忠実に再現することを手助けしてくれるものを選びたい。一方で、バキバキ写真はこうですよということを教えてくれるアプリとしてやりすぎ設定満載のアプリを使うのなら、それはそれで比較対象の反面教師として有用なのかも知れない。

改善希望点: 
 Capture NX-Dでは、各パラメータの数値ゲージ上にポインタを当てた状態でホイールボタンをカリカリさせて数値を微調整することが出来たが、
NX Studioではスケール上でのホイールボタンが無効。これは意外と不便である。スケールが小さく、数値直接入力用の枠もあるがスライダーをポインターで動かすのは目が薄い人には不利である。極微妙な調整に向かない。

  これは一番の不満点だが、かすみ除去機能が相変わらず無い。以前からこの機能は無い訳だが、Adobeユーザーが一番当てにしている部分(勿論これだけではないが)だったりするので、そこだけはPhotoshopや他のアプリを使うという人も結構いるのではないかと思う。やりようで工夫して同様の効果を引き出す強者もいるのだろうが、如何せん面倒である。出来ないのか、やらないのか、知らないがメーカーにはそろそろこの機能付けようよ、と進言したい。因みに私はそれだけの為に、別の重たいアプリを起動させて使っている。


 このほかにもレイヤーやクラウドストレージ等、オールインワンで用途範囲が広いAdobe社製等には勝てない部分も多々あるが、カラーコントロールポイントが健在であったり、現像画面とビューワーの往復が不要になったり、地味に大きいのがCapture NX-Dで過去に編集したパラメータ情報がそのまま使えること等、自然な仕上がりを目指す者には概ね使いやすさが向上し、若干の時短も得られるようになって、しかもDL無料なので、未体験の方は是非試していただきたい。純正以外のユーザーにも、限定的ではあるが意外と使える機能があるので、お試しを。
 注意点は、お使いのPC環境、特にCPUやメモリー、グラフィックボードの能力が一定以上でないと思うように動作しないことがあるので、必ず適正動作環境よりも余裕のある状態でDLするように。RAWデータ単体そのものがデータ量が大きいので多数のデータを同時処理する能力に耐え得る環境を整備することが大前提である。これは、どのアプリにも同様のことが言える。
因みにCapture NX-Dよりは負荷が小さくなっているとのこと。
DLはこちらから↓  https://downloadcenter.nikonimglib.com/ja/download/sw/195.html


 最後に、今までは出来なかったことの一つに、Zシリーズ世代以前のカメラには搭載されてないクリエイティブピクチャーコントロールが、以前のカメラで撮影したデータには反映不可だったのだが、これらにも現像での反映が可能となった。似たようなことがホワイトバランスの調整でも出来るが、より簡単に風味を変えることが出来るので、気張らずに現像を楽しく出来るツールが増えたことは表現の幅を広げてくれることから、個人的には良かったことの一つだと思った。



画像1

Creative Picture Control dream


画像2

Creative Picture Control melancholic


画像3

Creative Picture Control pure


画像4

Creative Picture Control pop


画像5

Creative Picture Control somber


画像6

Creative Picture Control denim


画像7

Creative Picture Control morning


画像8

Creative Picture Control bleach


画像9

Creative Picture Control carbon



 原則は現場で、ファインダーを確認しながらピクチャーコントロールも選択すべきだと考える。
ただ、未搭載の以前世代機には無いから使わないではなく、固定概念を破ることも、楽しみの一つとして提案したい。
ここに紹介したものは一部なので、次はご自身で是非お試しを。
残念ながら純正以外のユーザーだとRAWデータのファイル形式が対応しておらず、JPEGでも使えない機能である。


使っていくうちに、また改善点が出てくるのだろうと思われるが、
暫くはこれで現像作業を楽しんでいきたい。
ニコンカレッジ講師陣のデジチューターが出ているのでご参考まで。
続きは、また後日。







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