仮貸し出し

図書館で本を選んでカウンターに持って行こうとした時に、図書カードを忘れたことに気づく。韓国に行く前に向こうで使わないカードを全部財布から出したのだ。そして戻し忘れている。しまったなぁ、さすがに無理だよなぁと思いつつ、一応、カードが無くても借りられないかどうかを尋ねてみると、

「本当はダメなんですけど、1年に1度だけカードが無くても仮貸し出しというものができます。」

という。よかった。そんなルールがあったんだ。
机に案内されて、紙の仮貸し出し表に名前やら住所やらを記入する。記入し終えたら借りる本と共にカウンターに持っていく。

「仮貸し出しでよかったですか？」

とカウンターのお姉さまに尋ねられ、

「はい、多分」

と答える。

「仮貸し出しは1年に1回しかできません。来年の今日まで出来なくなりますが良いですか？」
「・・・・・・」

2024年の2月28日まで出来ない。。。そんな風に言われるとなんだか大層なことのように思えてくる。今以上にどうしても本を借りなければならない状況が1年以内に訪れることがあるだろうかと想像してみる、が、多分なさそうなので、

「・・・大丈夫です。」

と答える。すると、

「10冊まで借りられますが、6冊でいいですか？」

と更に畳み掛けられる。勿体ないのか？勿体ないことをしているのか？と思ったけれども、10冊借りたところで2週間で読めるはずがない、ので、

「大丈夫です。」

と冷静に答える。貸し出し手続きはつつがなく終わった。特にオチは無い。
外に出て空を見上げると、とってもなめらかな青で、溶けてしまいそうになった。頭上には上弦を少し過ぎた月、西の空には金星と木星が金色に輝く。あれだけ大きいと落ちてこないのが不思議な気持ちになる。明日から3月。

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返却日　2023年3月14日
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