【まくら✖ざぶとん】①④⑥『家出誘拐』
さてはて事件がなかったわけじゃないが久々の「時事」と書いてトキゴトと読む時事ネタ、冬のはじめに相次いで勃発したのは女児誘拐事件、大阪と埼玉、場所は違えど短期間で続出すればたちまち社会問題、ただの誘拐でも狂言誘拐でもないその実態は当事者双方の利害が絡む家出誘拐。
大阪の事件は小学生を連れ出して栃木まで在来線に揺られること半日、その根気こそ本気、家出の背徳感や遠出の解放感も最初のうち、移動に時間がかかるほど児童に負担はかかるもの、ぐずるともむずかるとも知れぬ相手を連れ帰ろうと試みる想像力と行動力たるや変質者ならずば偏執者。
家に迎えて取り上げたのは携帯SIMカードとスニーカー、SNSにSOSこそさせないものの玄関に南京錠はかけぬ軽めの軟禁、しかし自由を欲した子供と制約が増した大人の間には埋めきれぬ温度差、一日一食と二日一浴の塩待遇で利害関係が決裂すれば裸足で逃げ出すのも時間の問題。
片や埼玉のほうは一日三食に無限入浴、個室を与えて外出も自由な神待遇、家族に安否を報告させた上で中学生に施したのは不動産業の英才教育、宅建をいち早く学ばせるのが卓見かはともかく先行投機、ゆくゆくは個人事業に雇い入れようと試みる構想力と実行力たるや確信犯にして革新犯。
家出少女にとっては「神」でもバレれば誘拐罪で逮捕される天国か牢獄、少女たちにストックホルム症候群が芽生えたか真相は現代社会の闇の中、〈ステークホルダー〉こと利害関係者以上の信頼を得れば少女の筆頭株主になれる先行投機、誘拐犯の根っこにあるのは〈ストックホルダー症候群〉。
DV虐待にネグレクト、実の肉親が面倒を見られていない現実こそあれ他人の子供は他人の子供、正義感と使命感に駆られて保護したつもりでもそれは「過った保護」と書いて過保護、せめて男児と女児がそれぞれいるなら大義名分も成り立つが家出誘拐の実態は援助交際が変形した援助同棲。
ひとりでは飽き足らなかったことが二つの事件の共通点にして犯人逮捕につながった分岐点、〈柳の下の泥鰌〉のごとき〈家出の前の少女〉に味を占めて二匹目の泥鰌ならぬ二人目の少女を狙ったら割を食ったってわけ。
てことで、オチは久々に謎かけ。
乱発するネット犯罪
とかけて、
二人目のせいで見つかった軟禁少女
と解く。
その心は…
埒/拉致 が明か(るみになら)ない。