【まくら✖ざぶとん】①⓪⑥『切り取りジャック』学者肌の論客 第➍回
えー、春に夏、そして秋とおおよそ季節に一度の頻度で登場してきたのが学者肌の論客、メディア社会学的な視点から世相を鋭くえぐるのがこの御仁の十八番、冬の終わりも迫ってるとあっちゃ此度も春・夏の講座ならぬ高座を下敷きにマスコミのジャーナリズムに警鐘を鳴らす一席。
問題の場面は報道陣が国会議員に寄ってたかっての囲み取材と質疑応答、五輪担当大臣に五輪選手の質問ならまだいいほう、官房長官に国民的アイドルグループの動向について尋ねる必要性と必然性は大いに検討の余地あり、政治と関係のない話題に拍子抜けして気を抜いたが最後、♪カモさんこちら、手の鳴るほうへ♪仕掛けられたのは失言への誘導質問たる落とし罠。
メイクアップもカメラアプリも「盛る」時代ならネットにアップするニュースも盛りに盛り、フェイクニュースたる虚構時事が蔓延っているだけに発言の一部さえ切り取れば公正報道、目を引く見出しでニュースのニュアンス変えるや我先にと反応する〈ノイジー・クレーマー〉たる声高苦情者、『イチブガゼンブ』とばかりにB'zの稲葉氏もびっくりのシャウトで大合唱、『FIREBALL』のごとく火をつけて炎上させる火祭りによって血祭りにあげる例大祭、とにかく燃え上がって盛り上がればそれでよしとするマスコミの連続犯行たるや〈切り裂きジャック〉ならぬ《切り取りジャック》の所業。
政府が情報操作ならマスコミは印象操作、言葉尻を捉えて揚げ足を取って晒し首にするのがやり口であり常套手段、過去の失態まで掘り返され蒸し返されて株を下げられれば虚構記事の餌食。高校生の暴行動画を「イジメはダメ」と断罪するわりに大人も好むのが公開処刑、自分たちの任命責任を後悔せずに棚に上げ説明責任を求めた上で進退を問う責任追及。
失言議員をとことん問い詰めて追い込めばほら辞職待ったなし、メディアの力を思い知れ、とばかりに次から次へと政治家の首をすげ替えていかんとする報道姿勢こそ〈ジャパナーリズム〉、これぞ日本式のジャパニーズ・ジャーナリズムと書いて呆れて物も言えなければうまいオチなんか言えるはずもなく、真のジャーナリズムとはたぶんそんなんジャーナカレドモ。