【まくら✖ざぶとん】①⑧⑥『蛇茶番』
やあやあみなさまごきげんよう、おおよそ月に二回の更新アップロードならぬ高座アップステージはきっちりと、ってことで此度はまくらの定番企画たる脱走モノ、もはや記憶に新しくもない拳銃強奪男に逃走容疑者×2、脱獄受刑者とさかのぼっていけば人間ばっかり。
元はといえば動物園から脱走したゾウガメがこの企画のきっかけ、落語の演目『蛙茶番』に内容まではなぞらえず題目とニュアンスだけ拝借した『亀茶番』の一席から経ること数年、ペットのヘビが逃げ出してくれたおかげで『亀茶番』からの『蛇茶番』として晴れてシリーズ化!
さてはてそんなわけで話は件のヘビ脱走事件、飼育されていた家から姿を消したヘビはそんじょそこらのヘビとは似ても似つかぬアミメニシキヘビ、その大きさたるやなんとオオアナコンダと並んで世界最長、体長3.5メートルの押しも押されぬ巨大蛇が脱走からの失踪、アマゾンのコンプリートジャングルならいざ知らず都会のコンクリートジャングルに解き放たれたらたちまちの大騒動、これにてヘビ探し狂騒曲のはじまりはじまり。
飼い主からの通報を受けて捜査に乗り出したのは神奈川県警、手がかりがないなら手当たり次第に捜すほかなく着手したのはローラー作戦、ヘビの足取りを追おうにも足がついてないんだから足がつかなくて然るべし。どこに潜んでるかわからなければ近隣住民はコンビニに行くにも気が気じゃないし木も木じゃなく(?)見える始末、捕まえるまではまさに蛇の生殺し状態。
藪をつついて蛇を出したいところだが余計なことをして巻き付かれたりしちゃったら大変、警察官とてサルやシカならまだしも大蛇の捕獲となれば未知数だし専門的な知識なしには至難の業、まさしく蛇の道は蛇のごとく指南を仰いだのは爬虫類動物園〈iZoo〉の園長、こころよく捜査協力ならぬ捜索協力しただけでなく専門家ならではの推理をソーシャル共有。
気温を根拠とした屋内潜伏説を訴えていた通り、蓋は蓋でもアパートの天井裏たる天蓋を開けてみれば灯台下暗しならぬ屋根裏ヘビ暮らし、故郷どころか現住所にニシキが飾られたままだったってんだから茶番の趣き。世間を騒がせるだけ騒がせておきながら大捕物のオチにはならずひっそりと解決して完結。これぞまさに竜頭蛇尾ってことで、お後がよろしいようで。