【まくら✖ざぶとん】①②④『てるてる新婦』
はてさてこないだ五月の真夏日を経たってのにまたちょっと肌寒くなった今時分は暦を今一度見直すべく〈コヨミゴト〉、巷をにぎわせた南キャン山ちゃんの結婚たる〈トキゴト〉にも絡めて小噺らしい小噺を一席。
六月といえば〈ジューン・ブライド〉たる六月婚だが暦の上でも天気の下でも梅雨真っただ中、せっかくの門出の日は青天の下で晴れ晴れと迎えたいと願うのが人の性だが、〈ジューン・ブライド〉は横文字だけあって外国由来の風習で日本の暦とは相性最悪のマリアージュで離婚待ったなし。
とはいえお日柄も含めて日取りを決めてしまったからには大安吉日の日本晴れを祈るほかなく、想いを託すべくてるてる坊主を作りはじめてびっくり、何やら何かに何となく似てるような気がしたかと思えば気づいて納得、試着に試着を重ねた末に決断して甲乙を決着させたウェディングドレス。
そうとわかれば目に睫の毛をつけまつけててるてる坊主をてるてる小娘にするだけでなくまるっと仕様変更、レース素材でフリフリつけてチュール素材のヴェールかぶせればてるてる小娘はたちまちてるてる新婦に早変わり。
クローゼット中に保管されたハンガーパイプのウェディングドレス、バルコニー際で祈願されたカーテンレールのてるてる新婦、どちらも持ち主の不安と緊張を背負って吊るされながらXデーならぬWデーを持つのみ。
もちろん一体だけじゃ心もとなく何体も作るのがてるてる坊主、ただのてるてる坊主にジャケットやネクタイの線とフサフサの髪の毛を描き入れれば白タキシードを着たてるてる新郎、フワフワの法衣を着せたてるてる坊主にフサフサの髭の毛を描き込めばてるてる住職を通り越してのてるてる神父、純白の三体がそろえばほら誓いの言葉ならぬ願いの言葉の場面。
てるてる神父「晴れやかなるときも、雨のときも、その日ある限り、真心を尽くす結婚式を願いますか?」
てるてる新郎「願います」
てるてる新婦「願います」
てるてる神父「神のご加護がありますように。(きっと)ハレルヤ」
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えー、「一字千金」という故事ことわざもありますが、【まくら✖ざぶとん】を〈①⓪⓪⓪文字前後の最も面白い読み物〉にするべく取り敢えず①⓪⓪⓪作を目指して積み上げていく所存、これぞ「千字千金」!以後、お見知りおきを!!