【まくら✖ざぶとん】①⓪⑦『いじめ大国』
えー、罪を憎んで人を憎まず、とはよく云われるところではあれ、云うは易く行うは難し、昨今のイジリとイジメの問題に絡めて赦すことができない現代社会と日本国民を憂う一席をお届け。
イジリは共同作業だがイジメは一方通行、同じことをされても当事者が美味しく感じたらイジリだし苦味が強ければイジメ、カラッとドライに終わればイジリだがイジメはジメジメと陰湿なイメージ。ジッと我慢してれば標的が変わるからテイク・イット・イージーというわけにもいかず、ウジウジとイジけて部屋に閉じこもり立てこもりの引きこもりならまだよし、逃げるように自殺を選んでしまっちゃイジメのみならずこの世からのイグジット。
イジメの実情たるやスクールカースト上位者によるパワー・ハラスメント、逆らえないのは腕力ではなく権力があり単独ではなく眷属がいるから。見て見ぬフリをするアザー・クラスメイトも加害者のうち?「沈黙は同意」なら上司のパワハラを受ける部下を助けぬ同僚も同じ穴のムジナっ子ならぬイジメっ子。上下関係を盾に見苦しき弱い者イジメ、下には下を探しては食い物にする構図は自然界の〈食物連鎖〉ならぬ人間社会の〈俗物連鎖〉。
童話『浦島太郎』の通りに寄ってたかるのが日本国民のイジメ体質、失態を犯した政治家や著名人をマスコミが吊るし上げ、匿名人間が集中砲火を浴びせて炎上させる様子は集団リンチ。標的が無名人バカッターなら個人情報を割り出して拡散、未成年だったら凶悪犯罪者よりも道徳違反者のほうが実名を晒されるネジレ現象こそ悪い者イジメ、バカからバカへ見つけては餌食にする構図は自然界の〈弱肉強食〉そのもので人間社会では〈悪肉善食〉。
悪者のイジメっ子を見つけた善玉気取りが正義感を振りかざして裁く方法もまたイジメじみる矛盾構造たるや、憎しみが憎しみを呼んで他人を喰った者が喰われてく〈悪肉善食〉の〈俗物連鎖〉は人間社会の業そのもの、これすなわち罪を憎んで人もニクませ。