【まくら✖ざぶとん】①『そば屋のカレー』
えー、そば屋のカレーはうまいなんて定説が巷にはあるようで、ちょうど幼なじみのそば屋のせがれにそのタネを聞いてみりゃ、なんてこたぁねぇ、そばのダシで作ってるからだって話だが、そんなそば屋のカレーで思い出すのはこないだ観に行った現代美術の展示のこと。
何が何やらインスタレーションなんつーヨコ文字のついた映画の予告編をパロったような映像作品が上映されてたかと思えば、別の一角では短歌ともポエムともつかない散文詩なんかも貼り出されてら。なんだなんだ、単純に絵を描くんじゃなしに映像やら文章やらを展示する現代美術の枠のはみ出しぶりが目に当たったが最初、そういやそば屋のカレーはどうなんだい、とそば屋のせがれをつっついてみりゃ、そば屋のカレーにゃそば屋のカレーの味がちゃんとあるからいいんだとつっぱねられりゃ、そうかいそうかい、予告編インスタレーションも散文詩も分野は異なれど観る者の感性に訴えかける芸術作品であることにゃ変わりなし、そういうことなら小説と落語も形式は異なれど筋のある物語にゃ違いなし。
まさしく予告編インスタレーションよろしく落語の筋を書かずに枕だけ書くのも許されっかと思い立ったが吉日、善は急げとばかりにこの文章をつづりはじめてみたものの、本編なき枕だけじゃどうにも頭から下、首が据わらず寝つきも悪そうだ。てなわけで、そば屋でカレーなんか喰おうもんなら舌が辛くなっていけねぇだろうよ、とそば屋のせがれにまたふっかけてみりゃ、そいつの店じゃブラマンジェなんつーヨコ文字の甘味を食後に出すって話で、やっぱりなんだ、枕は枕でもお口直しがあったほうがいいってことかい、それなら落語よろしいサゲや落ちがありゃうまく締めくくれるか、頭が枕なら尻にゃ座布団敷くしかねぇだろうよってことで今日は謎かけ。
そば屋のカレーとかけて、落語の枕と解く。
その心は…
出(る)ダシが大事。
さて、座布団は何枚もらえっかな?