【まくら✖ざぶとん】⓵⓵⓵『新元号狂詞曲』
はて前回は百席を越えて初めての節目たるゼロのつく回だったが、百席を越えたが故か力も入れず気の抜けた出来栄えに終始したのをここで挽回、なんと今回は三ケタに突入してからは百十一回に一度しかやってこないゾロ目の回、百十一席目ときたら目には目を、節目には節目を。の一席。
暖冬が過ぎ桜も咲いた三月の終わりときたらほら年度末、今年はいつもの年度末とは一味や二味どころか三十とんで一味くらい違う年度末、それもそのはず今年度ばかりはなんてったって年度末にして年号末、平成というひとつの時代が終わって新しい元号がつけられれば突入するのは新時代。
たかが元号されど元号、名は体を表すとおり元号代われば世相も変わる歴史の立派な分岐点、元号案の公募はせずに考案から選考、決定まで政府主導の独断専行で発表される四月一日は四月馬鹿、嘘みたいに馬鹿げた名称ならぬ迷称だったら信じるべきか疑うべきか、山手線の駅名よろしく反対意見が殺到したら嘘だったことにして「泣きの一回」?いいやそんな茶目っ気はユルされないし元号で大衆に迎合もしないのが我が国のまつりごと。
平和な時代が繁栄するよう漢字二文字に願いを反映させる元号、昭和の「昭」に平成の「成」も初めて使われたなら此度もきっと新字と既出漢字の組み合わせ、平和の祭典たる東京五輪や大阪万博を控えてりゃ後者は「日本」と「平和」を表す「和」の字が有力?てな具合に誰も彼もがあれもこれもと予想するものの、真面目に考えるとカタすぎてつまらぬが御茶目に戯れるとユルすぎてそぐわぬどっちつかずは痛し痒しならぬ堅し緩し。
ともあれ「平成最後」と連呼されてきた期間もいよいよおしまい、新しい元号になれば誰彼なく時間は平等なら時代も平等、平成の世で荒ぶった者も燻ぶった者も五月一日には「位置につかずとも」横一線、「用意」で顔を上げて見据えるは遥かな前途、「パァッン!!」と鳴るは新時代を告げる号砲こと元号砲、いの一番に抜け出してぶっちぎった奴こそ次代の寵児。
最後は辞世の句ならぬ時世の句。
もういくつ 寝れば来たるは 新時代 乗るか逸るかは 己がまにまに