【まくら✖ざぶとん】①⑧⑨『東京五輪丸』
いったいぜんたいやるのかやらないのか築地市場の豊洲移転ばりに二転三転はせずとも「やるのかい!やらないのかい!どっちなんだい!!」というなかやまきんに君のネタばりには二者択一を迫られた東京五輪2020が閉幕したのがまあ早いものでつい先日のこと。
果たして裏金なり裏口なりうらがあったのか「お・も・て・な・し」で招致した東京五輪は船出からトラブルに次ぐトラブルのオンパレード、新しい国立競技場や大会エンブレムのデザイン案でまずつまずき、やっぱりうらがありそう贈収賄の容疑でJOC会長が辞任したのがケチのつきはじめ、流行り病による〈パンデミック・オリンピック〉となるやたちまち一年延期、ビッグネームが顔を揃えた開閉会式の演出を担うスモールチームはあっという間に空中分解してそのへんのバンドよりもあっけなく解散、今年に入ってからは要職に就く人間が次々と辞任解任不信任、大会直前まで過去の問題行動を掘り返して蒸し返して悪玉菌をあぶり出してはつまみ出す撲滅運動は続き、組織委員会は文春砲の集中砲火を喰らって火の車ならぬ火の船、〈パンデミック・オリンピック〉状態もあいまって炎上したまま〈ダイヤモンド・プリンセス〉さながら暗礁に乗り上げかけた東京五輪丸だが、それでも政府とIOC会長は批判の矢面には立たぬまま強行開催までこぎつけたってわけ。
いざはじまったらはじまったで地の利も天の時も活かした日本選手団は快進撃のゴールドラッシュ、金・金・金のまばゆさに政府も国民も目がくらんで列島がTV観戦で沸騰、菌・菌・菌のあやうさは政府も国民も目をつぶって列島でCOVID感染も爆発。大会期間中にメダルの獲得数とウイルスの感染者数はそろって史上最多を更新、選手が出した結果も因果応報なら政府が導いた結果も因果応報、それでも東京五輪丸の乗組員たちと違って辞任も解任もなく責任を取るつもりはまるでなし、挙句の果てには医療の提供すら放棄して自宅療養を押し付ける始末。兎にも角にも体育祭典の熱狂と疫病流行の狂乱という清濁を併せ吞んだのが今年の夏、すったもんだのうちに五輪終はしたけどなんだかんだのうちに御臨終する方々はくれぐれも増えませんように。ってなわけで、五輪の余韻はそろそろ醒めやってきたところだけど、お後はお後でどうやらよろしくなさそうなようで。