【まくら✖ざぶとん】①①②『大捕り物』
えー、【令和】に年号が変わるとなれば行うべきは平成の総括、平成最後と言われて久しいが前回の記事で予想した新元号がほぼ的中した自慢をするのもこれが最後、此度の一席も時事と書いて〈トキゴト〉。
平成の最終盤に巷をにぎわせたのは経営者に芸能人と大物の大捕り物、日産のカルロス・ゴーン会長は金融商品取引法違反、俳優の新井浩文は強制性交罪でピエール瀧は麻薬取締法違反。罪状も逮捕までの流れも三者三様、警察に特捜こと東京地検特捜部、マトリこと厚生労働省麻薬取締部と別々の捜査機関に逮捕されたのが特徴で共通点は解雇・解任からの起訴。
一回きりの強制性交に二十年来の麻薬使用は魔が差したか麻を射したかの違い、二人とも悪役が舞い込む強面の悪人顔だが好対照だったのが好感度、被害者の存否もあるにせよ高ければ援護射撃で低ければ集中砲火、「作品に罪はない」との声が上がるほうと上がらぬほうで明暗くっきり、出演映画の公開中止で莫大な違約金が発生するや事務所からは即刻クビきり。
その額を越える保釈金を払ったのはカルロスゴーン、長い勾留を経てからゴーン・イズ・カミングアウトと一斉報道、今か今かと待ち構えてりゃ作業員姿で登場、日産・ルノー二国二城の主による変装大作戦はルパンに遠く及ばず大失敗の大失態で名案ならず迷案くっきり、今年のハロウィンは〈作業員ゴーン〉の大量発生待ったなしで乞うご期待のカミングスーン。
そう逮捕の後には保釈あり、明暗くっきりの二人は報道陣に頭を下げるほうと下げぬほうでまた好感度は左右よりも上下して、人気商売は好感度への高感度を維持せねばならぬことを再確認。
そして逮捕と保釈の後には再逮捕あり、会見を開き真実をゴーン・ウィル・カミングアウトして要職にカミングバックするはずが、それを阻止するかのように別件でしょっ引かれ四度目の再逮捕。
入口が三者三様なら大捕り物の出口も然り、再逮捕に入院加療や示談交渉、罪状に沿った保釈生活を経たら公判の時期に三三五五再浮上、平成の悪事を令和に裁かれる最悪の滑り出しならぬ転げ出し、転出届の住所が刑務所になれば出演作品はお蔵入りだし当人たちゃ楽屋入りできず獄屋入り!