褒めて伸ばすコーチングのデメリット
先日、多方面で事業展開している社長と1時間程度話をした。
どんどんビジネス展開していく中で、
人を雇う、ということにぶち当たる。
その際、認識や考え方のギャップがあることは否めない。
その人がどう考えているのか
その人がどう生きてきたのか
というのは、
その人がどんな人に出会ったのか
その人がどんな教育を受けてきたのか
によるところが大きい。
褒めて伸ばすことのメリット
昨今の教育やコーチングや子育て、指導の現場では、
褒める
ということが盛んにおこなわれる。
推奨されているのかもしれない。
おそらくそれは
自己肯定感・自己効力感を育む
ことにつながるからだ。
自分はダメな人間じゃない
と思うことは、
何をするにしても大切にしたい。
前向きな気持ちで、
モチベーション高く取り組んでくれるのであれば、
何をしても、成長につながってくれる。
何をするかというよりも、
どう取り組むかという部分で
課題の半分はクリアしている。
褒めるということで、
前向きにモチベーション高く取り組んでくれる
というのは指導する側としては
非常にやりやすいし、
見ていてもなんだかうまくいっている気がする。
褒める側としても、
褒められる側としても、
心地よい現場にはなるのかもしれない。
褒めて伸ばすことのデメリット
褒められることに快感を覚えてしまうと、
褒められることが目的になってしまう危険性がある。
自分の意志や感情ではなく、
褒めてくれる人から褒めてもらえる。
ことに自分の行動をフォーカスしてしまうかもしれない。
それはそれで一つの外発的動機づけとしてあるのかもしれないが、
そうなった場合、
「ここまでやったのに、褒めてくれない」
という感情が生まれる危険性がある。
また、褒められなければがんばれないとか、
褒めてくれないからやる気が出ない、
ということにもなりかねない。
バカにしてはいけない。
いまのコーチ(上司)は褒めてくれないからやる気が出ない。
あの人は褒めてくれたのに。
なんてことを考えるかもしれない。
そして褒めるコーチ(上司)が求められて、
リスペクトされていく。
極端なことを言えば、
優しい先生は好きだけど、
怖い先生は嫌い。
という幼稚園生みたいなものだ。
バカを言ってはいけない。
褒めてくれる人がいたら力が最大化するが、
褒めてくれる人がいなければ力が出せません。
と言っているのと一緒だ。
何よりも、環境や誰かに
モチベーションやパフォーマンスを依存してしまっていることに
気づいていない。
すべての環境を整えてくれないと
何もできないんです、自分。
と言っているに等しい。
コーチングの本質とは。
コーチングというのは対象の能力を最大化させる、
集団の成果を最大化させることだ。
優しくするのがコーチングではない。
褒めることがコーチングではない。
都合よくするのがコーチングではない。
厳しいことを言うのもコーチングだし、
何も言わないというのもコーチングだし、
任せて評価するというのもコーチングになる。
対象が成長していくために必要なものすべてが
コーチングになる。
だからこそ、100%の絶対解はない。
まとめ
アドラー心理学の中では
「褒めてはいけない、感謝する」
と言われている。
褒めるという行為自体は
すでに上下の関係性になってしまう。
並列の関係性において、
感謝するというのが一番だといっている。
褒めてくれる人に依存してしまうことは
コーチングとは言わない。
自らを勇気づけ、モチベートし、
しっかりとした基準の中で評価をしながらも、
環境や集団において、
最大限のパフォーマンスを発揮する、
もしくは
発揮しようとする能力を育むことなのかもしれない。