【SNSマーケのよくある誤解】炎上したらすぐに謝罪したほうがいい?(後編)
誰が「炎上した」と決めているのか?
なぜ、多くの人が「炎上」と認識するのか?
企業の炎上対応は、どうすればいいのか?
前編では、炎上かどうかを判断するのは、主観によるものだという話をしました。批判の声があったとしても、すべてが問題なのではなく、一定の条件を満たす場合のみに問題なのです。
▼前編はこちら▼
後編では、なぜ「炎上した」ことになってしまうのか、企業の対応はどうすればいいのか、といった問題について話します。
「炎上」かどうかを決めているのは何か?
炎上かどうかを判断するのは主観であるならば、どうして多くの人に「炎上」と認知されている事例があるのでしょうか?
実は、炎上だと認知されるか否か、を分けているのは
「炎上にありがちな流れを踏んだかどうか」です。
"炎上"にはある程度お決まりの流れがあります。
炎上のきっかけとなる事象が発生する
▼
一部のクラスタ内で話題になる
▼
インターネット上に、話題の"まとめ"が作られる
▼
大手のインターネットメディアや、
テレビなどのオフラインメディアに取り上げられる
一部のクラスタ間だけで共有されていた意見は、「まとめ」がつくられることによって話題になります。
たとえば、インターネットニュースに「〇〇に対する批判の声が相次いでいます」と書かれると、「どうやら〇〇が炎上しているらしいぞ」となる。そして、「自分はこう思う」という人がたくさん出てくる訳です。
インターネット上のニュースを読んで、「自分はこう思う」とツイートしている人に、「炎上に参加している」という認識はないでしょう。何かを攻撃しているというより、自分の意見を述べているだけです。しかしそうして言及する人が増えていくことによって、「批判的意見」が、クラスタ外の広い層に知られるようになります。
そして、話題が拡大してくると、さらに大きなメディア、あるいはテレビ等のオフラインメディアで「〇〇に批判の声」「〇〇が炎上」と報じられます。
そうして、「炎上した」が事実として認識されるのです。
実際のツイート状況を見てみると、批判的な投稿が増えているのは、「〇〇が炎上した」というニュースが出た後だったりします。「〇〇に批判の声」という記事を読むことによって、読み手は自然に「〇〇には問題があったらしい」というバイアスをかけて受け取ってしまいますから、ネガティブ寄りの意見が増えやすいのかもしれません。
「炎上」が演出されている可能性も
緊急事態宣言下の4月に、「サザエさんが不謹慎だと炎上したらしい」とTwitterで話題になったことがありました。
サザエさん一家が、GWのお出かけ計画を立てるという番組内容。これに対して「こんな状況で不謹慎ではないかと批判する声が相次いでいる」と、いくつかのネットニュースで取り上げられたのです。
これに対し、自分の意見をツイートする人が相次ぎました。
しかし、「炎上した」というニュースが出る前に批判的なツイートをしていた人は、実際は11人しかいなかったことが明らかになったのです。詳しくはtoriさんのnoteを読んでみてください。
「炎上の定義」をもう一度見てみます。
炎上とは
①インターネット上で
②収集がつかないほど多くの
③批判が集中すること
11人が批判している状況は、とても「収集がつかないほど多く」とは言えないでしょう。この段階で"炎上"が発生しているとは言えません。
ネットニュースが出た後、たくさんの人が「炎上に対する批判」についてツイートしました。解釈によっては、収集がつかないほど多く、といえるかもしれません。しかし「批判の声」ではないので、上記①②③の定義からは外れています。
とは言っても、「サザエさんが炎上した」と一般に事実として認識され、話題が大きく拡大してしまったならば、それはもう"ある種の炎上"と呼べるでしょう。
「早期に謝罪する」が逆効果になるかもしれない
「誤解」などと言ってクエスチョンマーク付けていますが、「炎上したらすぐに謝罪したほうがいい」という意見は、正しいです。
ただし、定義通りの炎上が発生している場合に限ります。
いわゆる炎上の定義
①インターネット上で
②収集がつかないほど多くの
③批判が集中すること
「定義通りの炎上」であれば、
批判の声が上がる
→批判の声が拡散
→批判の声が増える
→収集がつかないほど多くの批判にさらされる
→くりかえし
と、批判の声が増え、拡散されることによって進行していくわけです。
このような状況では、「負の話題化」を、早期に鎮静化することが求められます。
だから、早期に謝罪するのが重要です。「適切な謝罪」を行うことにより、批判している人を納得させ、以降の批判拡大スピードを遅らせることができるためです。
しかし、前述のサザエさんのケースは、批判の声によって炎上している訳ではありません。むしろ「炎上に対する批判」が、ある種の炎上を起こしているのです。
このような状況で、もし謝罪を行ったらどうなるか?
「炎上に対する批判」がさらに増加・拡大するでしょう。
「理不尽な批判に屈する必要はない」
「謝罪させたのは〇〇な人に違いない、許せない」
「クレーマーをつけあがらせる対応はやめろ」
といった意見があがることが予想されます。こうなると負の話題化を鎮静化するどころか、逆に拡大する事態を招いてしまいます。
「炎上」は、Twitterの話題を取り上げるため、取材コストが低く記事にしやすい話題です。しかも人々の関心を惹くことができるため、非常にコスパのいいテーマといえます。
炎上リスクマネジメントに取り組む企業は、「炎上」と言われている状況が、実際にはどうなのかを見極める必要があります。
まとめ
「炎上」というと、何か悪いことをやらかして、批判がたくさん殺到している……という状況を想像します。
しかし「炎上」かどうかは、誰かの主観によって判断されているのです。そのため、全ての炎上が、実際に「たくさんの批判にさらされている」状況であるとは限りません。
本当に「多数の批判」で炎上しているのか、それとも実際は「炎上への批判」によって炎上しているのか、見極める必要があります。
そして近年は後者の「炎上への批判」による炎上がかなり多発しています。
そのため、炎上=早期に謝罪が大切、とすぐに結論付けてしまうのではなく、実際の状況に応じた対応をとることが求められています。
たとえば、あらかじめ「炎上かも」と察知したときのフローを定めておくのは有効です。
炎上への早期対応のために、「炎上かも」と察知した段階で、社内で報告しあえる体制を整えておくのは重要です。また、良かれと思った早期対応が逆効果にならないように、もしもの時には誰がどう行動するべきかを定めておく必要もあります。
弊社では、アカウント立ち上げ時などに悩みがちな「炎上させないためにどうするか」「そしてもしも炎上したらどうすればいいか」といった問題への対応策をご用意しています。
炎上対策にお悩みなら、お気軽にご相談ください。
書いた人
水谷 萌子(みずたに もえこ)@miz_mek
スマートシェア株式会社 SNSマーケティング支援チーム。
大手損害保険会社での業務経験の後、2019年スマートシェア株式会社に入社。UGC活用&SNSキャンペーンツールOWNLYのカスタマーサクセスを経て、現在は企業がSNSを使ってマーケティング推進する為の、全般的な支援を行っている。自社・インハウスでSNSを利用していくために、並走してサポートすることが目標。
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