
エネルギーを読んでレッスンに活かす
前回のレッスンで自分の枠を超えたBさん。
2回目のレッスンで、私は「枠を超えた周波数を維持しているBさん」という意図を持ってから、Bさんを待ちました。
☆指導者も、常に新しいエネルギーに更新されている事がとても大切です。
レッスン時間になり、扉の小窓からこちらの様子を伺うBさん^_^
☝️自分の存在を相手に示す事が出来た!
私は目だけで「どうぞ!」の合図を送りました。
Bさんは自分でドアを開け「こんにちは」
確実にBさんのエネルギーは変わっています
★Bさんのエネルギーを言語化すると
・明るい自然な笑顔
・体の強張りは解けて、そこに警戒心はない
・自分から譜面台の側へ歩み寄る積極性
☆Bさんの小さな成功体験が始まりました。
・自分から声をかけることができた
・小さなアクションを起こす事が出来た
・自分を笑う人はここにはいないと信頼した
Bさんの周波数は入れ替わっていました。
そして、自発的なエネルギーに変容していました。
この様な切り替わりの時は、教室内もBさんの「こんにちは」のエネルギーを維持させ、この熱量に応える必要があります。
私は
・Bさんの表情を褒める
・明るさを褒める
・今日はここまで出来るようになるよ!という実例を示して期待を抱かせる
事を積極的に行いました。
Bさんの楽器に向かう姿勢がとてもスピーディーで、とにかく早く音を出したいというワクワクのエネルギーで満ちていました。
しかしレッスン中、“ある事“をすると途端に今まで出来ていた事が崩れていきました。
その「ある事」とは、『私が音を重ねると』です。
Bさんはこれまで、合唱や合奏といった、人と音を合わせるアンサンブルのクラブを好んで選んできました。人と音が重なった時の楽しさ、ワクワク感に魅力を感じていました。
しかし、そこで自分の音に人の音が重なると途端に迷子になり、それに対して“協調性の欠如“の様な扱いを心無い言葉と共に受けて来ました。
そして、今このレッスン中に私が音を重ねた事で必死に付いて来ようとするも、自分を見失ってしまう…。そして涙がポロポロと出始めました。
★過去の記憶が強いエネルギーとして残り、今この瞬間の行動に対して影響しています。
ただ、今回は全く別の次元にいます。
ここはとても重要なポイントです。
過去と違うところは
・誰さんの失敗に対して、バカにする、笑う人は1人もここにはいない
・自分でレッスンを受ける事を決めてやって来た
・出来ないなりに、必死に吹き続けようとしている
過去のBさんは、周りから投げかけられた「音痴」「素質がない」などの否定的な言葉をそのまま受け取って、Bさんという人を構成し、自己否定というシナリオを持ったまま過ごして来ましたが、今この瞬間、その自己否定のループを断ち切る事が、新たなシナリオに変える事に繋がります。
そして、次の事をBさんに話しました。
・過去の状況と今のレッスンの場は全く違う
・自分の意思で選択してここにやって来た事実
・必死で前に進もうとする力強さ
・表情も声も意欲も、全てが生まれ変わったBさんこれらにに気付いているかな?
この事がどれだけ新たなエネルギーの加速に繋がっているか、そしてそれは自己肯定感に繋がる大切な要素だという事をじっくり話して聞かせました。
Bさんは声を上げて泣きましたが、とても綺麗な浄化の涙でした。
♪ここで、Bさんの迷子を克服する為に手がけた具体的な方法の一例をご紹介します
❶初めからメロディーを扱わない
❷蛙の歌などの輪唱に慣れさせる
❸譜面を見ないでも吹ける簡単なフレーズを覚えさせる
❹通奏低音を入れてあげる
この❶〜❹を何度も何度も繰り返しました。
これは、生徒それぞれの進捗により手法は様々ですが、大事な事は自分の音に集中する事。
言い換えれば、普段から自分自身に集中出来ているかという事もとても重要なポイントと思います。
アンサンブルの技術や、人につられない耳の鍛え方は慣れればすぐに身に付きます。
大切なのは、初めに抱いた『人と音を合わせるワクワク感』に立ち戻る事。
出来ない面ばかりを増幅させて、本来の喜びの周波数からかけ離れた場所へ飛ばない事です。
何であっても、習得までに躓いたり苦手が見えたりします。
焦らない、ここまでいけるよ!の音のモデルを常に提示してあげる事。
ワクワクから始めた気持ちを思い出させる工夫が必要だと思います。
そして、エネルギーの変化は以下の様な視覚化で捉えています。
特に
・目が注意散漫になってきた
・ため息をつき始めた
・音を出していないのに、小刻みに指を動かし、弄び始めた
これらの微妙な身体的変化や、目線、表情、声色をエネルギーの変化のサインと捉えています。
エネルギーって、ただの体動じゃない?と思う方もおられますが、その体動として現れた時は最終的なサインです。
何か変?元気ない?何かいつもと違う。
エネルギーとは、こういうものだと私は思います。
それらを瞬時に受け取り、必要であれば掘り下げ、個々の生徒のカルテとして次に活かす事が出来ます。
エネルギーが下降し始めたな、と感じたら、そのループにハマる前に、一旦断ち切ってあげる事も大切です。
そして何よりも、この様な生徒の変化を生徒の数だけキャッチする、指導者自身のエネルギーの更新はもっと重要です。
私は以下のことを特に気をつけています
・生徒にどの様な背景があるにせよ、そこに臨場感をもって同調しない事
・レッスン中であっても、自分自身に集中力が切れたと感じたら、話題を変えて場の空気を解く
・常に指導者自身のエネルギーが健全でいられる様に、アロマやヒーリング音楽などを利用しながら、自身のリラクゼーションの時間を持つ
など、自己研鑽を継続する事はもちろんですが、精神衛生やリセットの観点からも、常に指導者自身の内面の更新は欠かせない要素だと思っています。