貧富の差 ~2010年代の在米邦人ver.~
新年あけましておめでとうございます。今年も子供と夫の相手がひと段落ついた時にちょこちょこ昔話を書き散らしていこうと思います。
駐在員家庭の貧富の差 (北米ver.)
今はどうなっているかわからないが、2010年代後半のアメリカはお金を出せば出すほど日本にいるような生活ができた。
日本人が多く住むところには日系スーパーがあり、食品を中心にアメリカにいながらにして日本のモノが手に入る。しかし、日本からの輸送費やアメリカの物価を反映してか、総じて日本での価格よりは高くなっていた。
日本にいた時のような食生活を送り、日本の日用品に囲まれて過ごすことは理論上は可能だが、一定以上のお金をかけないと実現できない夢だった。
よくネットの記事で『悪しき駐妻』像として描かれている「全身をブランド品で身を包み、毎日高級ランチをしている奥様」を私は実際に見たことが無いが、どれほど日本の物に囲まれた生活をしているかで周囲の日本人家庭が我が家よりは収入があると窺い知れた。
なぜなら、我が家は日本製品を早々に諦めて、アメリカや他のアジアの物を使わざるを得ない経済状況だったのである。
他所の駐在員家庭が
「アメリカでも日清の冷凍食品が手に入る」「夕飯は手軽にクックドゥ」
「冬はおでんに限る」「キューピーのたらこパスタでタライモが作れる」
と話しているのを聞きながら、
我が家はどんな味か想像もつかないスーパーの冷凍食品を開拓したり、
アジア系スーパーで謎の味噌やナンプラーの大瓶を買ったり、
チルド棚に並ぶ練り物や明太子を見なかったことにしたりしていた。
離乳食も日本の物が売られていたが、やはり割高なので節約のためにも手作りするしかなかった。
もしかすると、真のお金持ち駐在員とは生活圏が違いすぎて遭遇していないかもしれないが、日本では出会わなかったようなお金持ちの人とも「日本人同士」というだけで知り合うことがあった。
それが原因で見下されることは無かったが、経済格差があることは実感していた。
アメリカ滞在中、特にお金持ちだなぁと思った駐在員家庭がある。
・日用消耗品を全部日本からEMSで持ってきてたお宅
・食材を全て日系スーパーで買ってたお宅
・頻繁に日本に一時帰国するお宅
各々の仕事や立場も違うし、経済格差自体は不満に思うことは無かったが、
こうした他所の家庭の状況がいちいち入ってくる日本人同士の「田舎のムラのようなコミュニティ」は嫌いだった。
在外邦人同士の貧富の差
前述の通り、我が家は駐在員家庭の中でも経済的には底辺だった。
それなのに、駐在帯同を始めてから
「お金持ちなんでしょう」「赴任手当で城が経つんでしょう」
と勘違いされることが増えて甚だ遺憾である。
(昭和?)昔々の駐在員のお金持ちエピソードが浸透しているせいなのだろうか。現地の実際の生活を知らない言葉はまだ続く。
「日中何してるの?学校にでも行けば?せっかくの海外生活、時間を有効に使おうよ」
これは何かのテンプレートがあるのではないか、というくらい駐妻が赴任先で専業主婦をしていると投げかけられる言葉だと思う。
学校行くのにもいくらかかると思ってるんだ?
他の地域のことは知らないが、私の住んでいた所の学校は授業料がなかなか高額だった。これに加えて私の場合は乳幼児の保育料も捻出しなければいけない。当時の当地の保育料の相場は月1000~1500ドル。得られるものに対して失う金が多すぎる。
もともと一馬力で、現地の物価も高く日々の生活も節約尽くし。美容院もギリギリまで頻度も減らしているレベルなのに、軽々しく「お金持ちでいいなぁ☆」とか妄想をぶつけないでほしい。
自分たちより年下の日本人留学生の方がはるかに良い生活をしている。子持ち駐妻よりもずっと良い服を着て、こまめに日系美容院に行って日本の流行を維持している。現実の駐妻は美容院代をケチって平成のポカホンタスになるまで粘っている。
,それを見てもまだ、一部の駐在員や昔のエピソードを読んで「駐在員・駐妻=お金持ち」と結論付けてしまうのは、いささか短絡的すぎるのではないだろうか。
これは、当時は人間関係に気を使いすぎて言えなかった駐妻の愚痴である。
新年1発目はお金の話でした。
お金の話は心が荒みますね。今年もよろしくお願いします。