いにしえの駐妻VS現代の駐妻
駐妻になりたての頃、今思い返しても微妙な絡み方をされたことがある。
きっかけ
渡米直後、日本にいる知人に近況報告をした。
すると「そういえば友達に海外生活をしてた人がいるんだ。良かったら色々教えてもらえるように手配しようか?「『駐妻になったことはないけれど駐在員の彼氏のところへ数ヶ月押掛け女房をしていた』人(意訳)に駐妻生活について聞いたらどう?」と提案された。
駐妻ではなく「駐在員彼氏に押しかけ女房な彼女」という時点で、ちょっとご遠慮したいと思ったが、好意をいきなり無下にするのも心苦しく、どんな人なのか聞いてみることにした。
知人の話をまとめると、ますます参考にならなさそうだった。
①すでにその人は駐在彼氏とは別れて全然違う人と結婚している
②赴任地が国も地域も違う
③結構昔の話
この話を聞いてから以下のように考えた。
奥様の元カレ
まず、見知らぬ既婚者に元カレのことを聞かないといけない時点で心苦しい。私は元カレ=黒歴史か踏み台だと思っているので、聞かれたくないし他人のも聞きたくない。
ここまで薦めてくるのなら、その方の現在の配偶者も海外赴任者なのかと思ったが違った。ますます聞きたくない。
そもそも、特に夫人会があるようなところなら、「配偶者」と「ずっと遊びに来ている彼女」では扱い(義務やサポート)が異なると思う。
滞在場所が違えば悩みも違う
次に、同じ「海外赴任(帯同)」でも赴任場所が違うだけで、悩むことが結構違う。
例えば、私はアメリカの医療費(出産費用)に大いに悩まされたが、同じ英語圏のイギリスにいた人は問題なかったらしい。
同じアメリカ国内でも、私は日系のサービスがあまり受けられないところにも、別の州の身近に日系の施設やお店があるところにも住んだ経験がある。
住む場所によって、システムやサービス、文化が違うから、悩みやストレスが微妙に異なってくるのだ。
時期が違えばさらに悩みが違う
たとえ場所が同じでも、時期が違えばさらに悩みが違う。サービスやシステムはここ数年で進化して、海外でも快適に日本人らしい生活をしやすくなったと思う。
アメリカにいた経験から、まず挙げられるのは「日本の商品の手に入りやすさ」。具体的には化粧品や日本食など、ほんの10年ほど前のブログを探すと、手に入らないからと手作りしている人が多かった。
それが、私が滞在している頃(6~2年前)には、Amazonや楽天が海外発送も始めたし、日本食もアメリカの普通のスーパーに置かれていた。
VODや電子書籍も発達して、海外からでも日本語の作品に気軽に触れられる。昔は輸送費をかけて滞在先に運んでいたものが、安い料金でいくらでも楽しめる。
現地の日本人同士のつながりも変わっているだろう。
ネットが今ほど充実してなかった時代は、生活ノウハウも現地食材のレシピも学校情報も、日本人同士の集まりにいないと得られなかったかもしれない。顔を合わせる機会も多かっただろうし、結果無理に参加している人や、何か勘違いする人も出てきて軋轢も多いように見える(※古いブログや体験談を見ての偏見)
インターネットの普及によって、昔ほど「現地日本人コミュニティ」に頼らなくても生きていけるし、そこで起きていた日本人同士のトラブルも減っているのではないだろうか。
まとめ
「全然駐妻生活の参考にならなさそうな人からのレクチャーを勧められた件」という思い出から、「いにしえの駐妻生活VS今どきの駐妻生活」に思いを馳せてしまった。
日本での人間関係、文化、生活から切り離された孤独感や喪失感はどの世代、どの場所の帯同者にもあると思う。しかし、それ以外の現地生活でかかるストレス要因や解消法は時代や環境によって変わっていくものだ。
これだけは譲れない、私なりの「駐妻生活の悩み」に対する考えだ。
何年も前に帰国した人が「現地の人間関係こんなに大変だった!あなたも気を付けて!」と、これから赴任する人をビビらせているシーンを時々見かける。中にはそのトークでお金をとっているという話も聞いたことがある。
しかし、おそらくその【先輩】が苦労したことは今では時代錯誤かもしれないし、もし現代に残っていても現代なりの解決法があるかもしれない。
私も帰国して数年、当時の苦労話を誰かに押し付けるようなことはしたくないなと思いつつ、こうしてネットの海に流している。
歪んだ自己顕示欲の発露だが、未来の駐妻さんには「昔の人はこんなことで悩んでたんだな」と笑い飛ばしてほしい希望も込めている。