「心配してもしなくても、来るものはくる」物流課 K・I
その人が大切にしている言葉を知ることで、その人の考え方や生き方に、もっと触れられるかもしれない。「あ、もっと知りたい」そう思う、きっかけになるかもしれない。
そんな想いで始めた、名優で働く人が大切にしている言葉についてインタビューする「a motto(ア モット)」。
第19回は、物流課で働くK・Iの a motto です。
(優一)
大切にしている言葉を教えてください。
(K・I)
以前、テレビで黒柳徹子さんのインタビューをやっていて。NHKだったかな。
その時に、黒柳さんが「心配してもしなくても、来るものはくる」っておっしゃっていたんです。
これを聞いた時に「うんうん」って。なんというか、腑に落ちたんですね。
黒柳さんみたいに、いろんな人生を送ってきた方だからこそ、言える言葉かもしれないんですけど。
私もなぜか、その時に腑に落ちたんです。
優一さんは、今までに「もうここで終わりかな?」と思ったことってありますか?
(優一)
大学生の時に、バイクで事故を起こしたことはありますね。
「もう終わりかも」と思ったというよりは、事故前後の記憶がなくて。何が起こったかわからない…という感じですが。
(K・I)
あらら。そんなことがあったんですね。
私、「ちょっとここで終わりかも」と思った瞬間が、これまでに2回あって。
2011年の震災の時と、2017年にガンを告知された時。
震災の瞬間は、名優で仕事してたんですよ。まだオフィスが、ここに移転する前。八千代中央駅前のアパートに、部屋を借りていた時です。
地震がきて、急いで外にでて。車はガンガン揺れているし、電柱はぐにゃぐにゃだし。
みんなで、自転車置き場の屋根の下に避難して、肩を寄せ合って。もうこのまま、下敷きになって終わっちゃうかもって。
その時、社長だけは騒ぎもせず、ビデオを撮っていたんですけど…
いつどうなっても後悔しないように、生きていらっしゃるから。そういう時も動じないで、冷静にいられたのかなって。
黒柳さんの言葉を聞いた時に、振り返ってそう思いましたね。
(優一)
社長がビデオを撮っていた話は、私も聞いたことあります。
(K・I)
ガンの宣告を受けた時は、最初「ステージ2か3」と言われて。
これからきっと、抗がん剤の治療もあるし、転移を繰り返すかもしれないのかなって。そういうイメージがあって、怖かったんですけど。
でもその時に、いい病院とか先生を見つけようって、必死というか。今出来ることをしようって、思ったんですね。
この時は、自分も少し黒柳さんや社長のように考えたのかもしれない。
もう、病気になってしまったことはしかたない。なんで今まで検診受けなかったんだって、いまさら後悔してもしょうがないから。
今出来る最善の治療を受けるしかないって、思ったんです。
(K・I)
この前も、胃の検査受けた時に、ちょっとポリープが見つかってしまって。
その結果がでる3週間くらいの間、もちろん不安はあったんですけど。
もし陽性だったら、前の経験を活かして、この病院のこの曜日に行って、この先生に診てもらって…と具体的なシミュレーションまでこっそりとしました。
「来るものがきた」のだから、受け入れて前に進む。
心の隅に置いたこの言葉を思い出しながら自分を落ち着かせ、結果を待ちました。
でも、実際に陰性の結果を見たときは本当にホッとしました。シミュレーションをメモした紙はすぐにゴミ箱いき。無駄になってよかった!
(優一)
震災やガンの前は、もともと心配性だったんですか?
(K・I)
もしかしたら、その前から同じような考えを持っていたのかもしれません。
言葉として、持っていなかっただけで。
黒柳さんの言葉を聞いた時に、言葉を胸に住まわせたというのかな。
どちらかと言えば、主人の方が心配性ですね(笑)。
自分の膵臓になんかあるかもしれないって時も、わーって私にすぐ報告して。結果も出ていないのに、どうしようどうしようって見るからに落ち込んで。
「もう最後かもしれないから水戸の梅まつりを見に行こう」って言いだしたり。今となっては、笑い話なんですが(笑)。
私の気持ちも考えないで、自分の不安を訴えるタイプなので、とまらなくて。だからこそ、私は余計に「なるときはなる」って思うのかもしれないです。
身近な人に引っ張られないように、バランスをとる。そのためにも、私に大切な言葉なんです(笑)。
(書き手:優一)