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再生処理の現場 vol.13(前編) GKE社 ウルリッヒ・カイザー博士 来日インタビュー「わたしたちはクオリティマネジメントシステムについてこそ語るべきです」

再生処理の現場に立つ、さまざまな方の声を届ける「再生処理の現場」。vol.13の今回は特別編として、洗浄・滅菌分野のリーディングカンパニー・GKE社のゼネラルマネージャーを務めたウルリッヒ・カイザー博士が2024年7月に来日された際のインタビューの様子を、前後編に分けてお届けします。わたしたち名優は、 2004年よりGKE製品の取り扱いをスタートし、ディストリビューターとしてさまざまな病院の中央材料室やクリニックに同社の製品を提供してきました。お取引を開始した当初からカイザー先生にはたびたび来日いただき、GKE製品の考え方への理解を深めるためのセミナーを開催してきました。インタビュー前編では、カイザー先生のこれまでの歩みから、再生処理の現状に対するご自身の考えをお話いただきました。聞き手は株式会社名優 代表取締役の山根貫志と社長室 室長・山根優一です。

49歳にして再生処理の世界へ

山根優一(以下、優一) カイザー先生が再生処理の世界に進んだきっかけは何でしたか?

カイザー 私は化学と化学工学の博士号を取得後、アメリカ企業のドイツ支社にて20年間仕事をしていました。そして1992年からは、GKE社の経営権を取得し、ドイツの国家規格であるDINを定める組織でも活動をはじめました。アメリカ人との仕事に飽きてしまったんですね(笑)。49歳にして、医療の世界の新参者として、滅菌の分野について専門的に学ぶことにしたんです。当時の私はまったく滅菌について理解していなかったため、自分自身で勉強をはじめたのですが、学問的なバックグラウンドはあったので、この領域に飛び込んでいくことはそれほど大変ではありませんでした。

もともとDIN規格は、イギリスのBSI規格に基づく組織としてはじまりました。多くの基本的な規格は、92年から2000年の間に制定されています。92年の時点で3名だったGKE社は、現在50名以上にもなり、90カ国にビジネスを展開しています。そして日本における名優さんのように、世界中で60社ものディストリビューターとの関係を築くことができました。

山根貫志(以下、山根) GKE製品との出会いは、2004年の11月だったと思います。当時名優ではすでに滅菌コンテナを取り扱っており、医療機器の最大の展示会であったMEDICAで滅菌関連製品を探していたときでした。インジケータを展示するメーカーがいくつもあるなか、GKEの製品はそれまでに見たことがないものでした。ブースにいらっしゃったカイザー先生の奥様であるルチアさんに名優で取り扱いができないだろうかと話をしたところ、親身に相談にのってくださり、帰国後、カイザー先生とお話することができました。

BIに相当する試験方法となるタイプ5CIの開発

山根 タイプ5の化学的インジケータ(CI:Chemical Indicator)は、現在では生物学的インジケータ(BI:Biological Indicator)に相当するものとして規格で定められています。それはBIが主流だった業界において革新的だったのではないかと思いますが、規格の制定にはカイザー先生が関わられていたのでしょうか?

カイザー ええ。もちろん関与していましたが、私ひとりの力ではありません。われわれが正しいと考えていたことが、正式にISO規格として認められたのです。それ以前の滅菌確認においては、滅菌処理後に微生物が生きているかどうかを判定する、BIが用いられていました。BIを用いたテストは、細菌検査室に持ち込んで調べなくてはならない場合もあり、とても時間がかかる上、施設によっては実施するのが困難という課題があったのです。



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