再生処理の現場 vol.16 三浦工業株式会社 中村日香理さん 『施設評価ツールの実施のためにメーカーがサポートできること』
再生処理の現場に立つ、さまざまな方の声を届ける「再生処理の現場」。vol.16の今回は、三浦工業株式会社の中村日香理さんにお話を伺いました。小型貫流ボイラを中心に、滅菌供給部門向けの洗浄器・滅菌器の製造・販売を展開する三浦工業は、「医療現場における滅菌保証のガイドライン」の策定にも関わっています。現在中村さんは「メディカル機器推進課」の活動を通して、ガイドラインが定める基準を施設が実現するためのサポートをおこなっています。本取材では、さまざまな施設の方々の現状に耳を傾ける中村さんの日々のお仕事や、メーカーの視点から考える再生処理業界における課題についてお話しいただきました。
再生処理の現場の方々のお困りごとに寄り添う
-中村さんのこれまでのご経歴を教えてください。
三浦工業(以下、ミウラ)に入社してから今年で4年目を迎えました。学生時代は医療とは関連のない文系の学部に所属しており、新卒で入社したメーカーで歯科医院向けに洗浄器・滅菌器や内視鏡消毒器の営業を担当していました。そこで6年半ほど経験を積んでから、ご縁があってミウラへ転職することになり、現在にいたります。
-現在の仕事内容についてお聞かせください。
現在は比較的新しい部署のメディカル機器推進課に所属しています。学会や研究会に参加したり、お客様を訪問しながら、医療現場の方がどのようなことで現在お困りなのかということを社内にフィードバックする様な、マーケティング関連の業務をおこなっています。もちろん洗浄・滅菌に関しては弊社の製品をご紹介することもありますし、施設の新入職員の方向けに、洗浄・滅菌の基本的な知識を身につけていただくための勉強会をおこなうこともあります。
-今年の「機器と感染カンファレンス」にて発表されていた「滅菌保証のための施設評価ツールに基づく洗浄・滅菌のバリデーションを実施してみて」の背景にはどのような思いがあったのでしょうか?
2022年に、日本医療機器学会による「滅菌保証のための施設評価ツール」が発表されましたが、施設によっては書かれている内容を実施することが難しい場合もあるので、メーカーの立場からどのようなサポートが可能なのか、施設の方々にご協力いただきながら検討した内容を発表しました。
施設評価ツールは、現場の方々が自ら再生処理の水準を評価するためのものとして策定されましたが、現状では、施設が評価に必要な計測機器を持っていない場合が多々あります。場合によっては数十万円の機器を用意する必要があり、評価ツールが推奨している1年に一度の測定のためにそこまでの予算を確保できない施設もあるので、メーカーとしてはそういった方々が適切な評価を実施するためのサポートをおこなっています。
-どういったタイミングでそういったサポートは提供されることが多いのでしょうか?
ミウラでは、基本的に洗浄器・滅菌器のアフターサービスとして毎年メンテナンスにうかがっており、その際には機械の中を開けて状態を確認しているので、洗浄・滅菌のバリデーションと施設評価ツールの実施をあわせて提案することが多いですね。これは他のメーカーも同様だと思いますが、施設評価ツールが発表されてからは、施設の方々からご相談をいただくことが増えてきました。
_____________________
この続きは、SALWAYのWebサイトで公開中!