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無菌性保証水準(SAL)とは?その意味や覚えておきたい関連用語について解説します。
医療器材の再生処理(洗浄・滅菌)に関わる方であれば、一度は聞いたことがある無菌性保証水準(SAL)。
無菌性保証水準を理解したり実践方法を学ぼうとした時に、用語や理論などが難しい、と感じたことはありませんか?
「無菌性保証水準とは?」
「SALってどういう状態のこと?」
「ハーフサイクル法とは?」
そんな疑問にわかりやすくお答えいたします。
本記事を読めば、無菌性保証水準の基本や関連する用語について理解することができます。
1. 無菌性保証水準とは
1-1. 無菌性保証水準とは、生育可能な微生物が「存在する確率」
無菌性保証水準は、無菌であると保証できる水準、つまり「無菌と判断できる状態」を指します。
なぜ「無菌状態」ではなく「無菌と判断できる状態」なのかというと、医療機器の滅菌においては、微生物が0個の完全な無菌状態を理論上保証することができないからです。
「無菌と判断できる状態」は、どれくらい完全な無菌状態に近いかで判断します。
完全な無菌状態(微生物が0個である状態)と、無菌ではない状態(微生物が1個生存している状態)の間は、微生物が1個生存している「確率」と考えます。
例えば、数値が0.1をとった時、「微生物が0.1個生存している状態」という状態は現実的にはありません。そのため、「微生物が1個生存している確率が10%である状態」と考えます。
微生物が0個から1個の間で、微生物が存在している確率を示すのが、無菌性保証水準です。
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1-2. 無菌性保証水準は「SAL」(Sterility Assurance Level)とも言う
無菌性保証水準は、英語で”Sterility Assurance Level”と言い、”SAL”と略されます。日本においても、無菌性保証水準のことをSAL(サル)と呼ぶことが一般的です。
1-3. 無菌性保証水準(SAL)は 10⁻ⁿ と表す
無菌性保証水準は、「10⁻ⁿ」のように対数で表すのが一般的です。対数では、例えば「100」を「10²」と表します。微生物が生存する確率が1%(0.01)であれば、無菌性保証水準(SAL)は10⁻²となります。
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1-4. 医療現場の無菌性保証水準は「SAL≦10⁻⁶」
医療機器の製造や、医療機関で行われる滅菌で求められる無菌性保証水準はSAL≦10⁻⁶です。これはつまり、生育可能な微生物が生存している確率が100万分の1以下である、ということです。
微生物の数が完全なゼロの状態を保証することはできません。どの程度までゼロに近づければ医療現場で許容できるか、多くの機関が協議を重ねました。そしてNASAとWHOの研究結果を基に、「生育可能な微生物が生存している確率が100万分の1以下である時」と定義されました。
この定義は、厚生労働省が発行している日本薬局方で採用されています。EN(欧州標準化委員会)やISO(国際標準化機構)でも採用しており、医療業界の無菌性保証水準(SAL≦10⁻⁶)は世界共通の基準となっています。
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1-5. 無菌性保証水準(SAL)をグラフで表す時は対数目盛を使う
無菌性保証水準をグラフで表す時は、対数目盛を用いることが一般的です。それは扱う数字が「10万」「100万分の1」など、非常に大きな数字から非常に小さな数字まで広い範囲になることが多いからです。
グラフで表す時、通常のグラフ(均等目盛)は、足し算で増えていきますが、対数目盛の場合、掛け算で増えていきます。
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実際に、対数で目盛をふったグラフを見てみましょう。下に示した2つの図は、同じ内容を表しています。微生物が100万個生存している状態から、微生物が1個生存している確率が100万分の1になるまで、どれくらい時間がかかるかを示したものです。
![](https://assets.st-note.com/img/1715230363937-vxPrXC29YZ.png?width=1200)
例えば、それぞれの図の[時間]が4分のグラフに注目してください。左側の均等目盛の図では、微生物の数がゼロに見えますが、右側の対数目盛の図では、微生物の数が100であることがわかります。非常に大きな数も小さな数もバランスよく表せるのが、対数目盛の特徴です。
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