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生まれる前からやり直せばいい。

 高校生の頃、自分はひとりぼっちだと思い込んでいた。実際にそれを作文に書き、なぜか全校生徒に晒されたこともある(いじめとかではない)。親友の定義を真剣に考え、考えれば考えるほど自分には親友がいない、ひいては友達がいないと思い込んでいた。

 高校を卒業してからは、そんなことは考えることもなくなり、友達の定義なんて深いことはどうでもよくなった。結果として気楽に”友達”と一緒に遊びに出かけることも増えたように思う。知り合いと友達の境界線が薄れていた。

 でも最近、周囲で結婚に関する話が出てきたときに、改めて自分は誰の友達なんだろうと思うようになった。周囲で結婚した事例のうち、結婚式の案内が来たのは8組中1組。もちろん結婚式に呼ぶ人数は限られるとはいえ、そこそこ近い間柄だと思っていた人に呼ばれなかったり、同じコミュニティに属していて呼ばれる人もいる中でお声がかからなかったりした。

 結婚式に呼ぶ人間関係というのはとても難しいし、自分だったら誰を呼ぶだろうと、予定もないのに考えることがある。そのときに呼ぶ人間は、果たしていざ結婚するとなったときに自分を呼んでくれるのだろうか。一方的に、結婚式に呼ぶ間柄だと思っていただけで、実はそんな距離感ではないのではなかろうか。ということを考えてしまう。

 結局世界は一人なのか、と考えていたときに観ていた舞台で松たか子が歌っていた。

「知らない人でいこう 出会い直そう お互いちょっとした嘘を背負って、出会い直そう。」

 世界は一人かもしれないし、いろんな人とのつながりでできているかもしれない。また変に考え込む悪い癖が出ていたように思う。一人だと感じたときは、またやり直せばいい。一度深い関係になっても、時が経てば浅くなるのは当たり前だ。また改めて掘り直す作業をして、関係を維持すればいい。

3月15日 「世界は一人」東京芸術劇場にて

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