めいのぼやき28 Magnet
バーチャル詰将棋作家の駒井めいです。
今回は「Magnet」と呼ばれる詰将棋のテーマを取り上げたいと思います。
1.「Magnet」とは?
日本語に訳すと「磁石」ですが、どういうテーマなのでしょうか?
元々はチェス・プロブレムの用語で、それがそのまま詰将棋においても使われているというのが現状です。
”The Definitive Book; Encyclopedia Of Chess Problems: Themes And Terms”(p.267)という本で下記のように説明されています。
MAGNET THEME
This term has been used in association with different themes:
1. ...(略)…
2. Duel in which White counters black piece's move by moving his own piece in analogous way next to Black's, or vice versa.
3. ...(略)...
詰将棋において「Magnet」は上記2の意味で使われています。
2.「Magnet」の作例
実際に詰将棋の作例を見た方が早いでしょう。
誰でも鑑賞しやすいように、スマホ詰パラを中心に選んでいます。
① 馬方四季作 スマホ詰パラ No.12345 2019年1月10日
81龍、同馬、72馬 迄3手。
2手目81同馬に対して72馬と追撃するように隣へ移動するのがMagnetというわけです。
作者解説にも書いてある通り、チェス・プロブレムのMagnetを意識したもののようです。
② シナトラ作 スマホ詰パラ No.14334 2020年2月12日(改良図)
15角、同龍、25龍、同龍、23銀成 迄5手。
先程は馬2枚を使ったMagnetでしたが、本作は龍2枚を使ったMagnetです。
2手目15同龍に対して25龍と追撃するように隣へ移動します。
作者解説によれば、似た構成として山田康平著「うるてぃめいと」91番があるそうです。
③ 山本正作 詰パラ 1962年7月
21飛、同角、32馬、同龍、43桂、同龍、22銀成 迄7手。
EOGさん(@EOG10)によれば、上記のような古い作例もあるそうです。
チェス・プロブレムのMagnetを意識して創ったものかは定かではありません。
しかし、手順自体は明らかに意図して創ったものでしょう。