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詰将棋創作相談室「握り詰を自分で作れる気がしません。」

Q.握り詰を自分で作れる気がしません。何かいいやり方があるのでしょうか?

A.握り詰を作るのは難しいことをまず認識して。知識や経験の豊富さが問われる。

握り詰とは、駒の山から適当に駒を握り、その握った駒全てを使って作った詰将棋を指します。
まず認識しておくべきことは、「握り詰を作るのは難しい」ということです。
「使える駒はこれだけですよ」と縛りをかけているので、作るのが難しくなって当然です。
使える駒が制限されて最も困るのは、余詰など不備をなくす工程のときです。
完全作(※)にする難易度が通常よりも上がっているので、表現できることが必然的に限られてきます。
(※完全作:余詰などの不備がない詰将棋のこと。)

それにもかかわらず、創作初心者が握り詰に取り組もうとする光景をしばしば見かけます。
理由として「創作の取っ掛かりがほしい」のだと思います。
「創作なんだから何をやっても自由ですよ」と言われると、当然知識も技術もない人は困ってしまいます。
(夏休みの”自由”研究って何をやったらいいか困りますよね。あれと同じです。)
お題のような形で「これをやってね」と制限をかければ、とりあえず作り始める取っ掛かりができます。

これ自体はその通りなので、気持ちもよく分かります。
しかし、前述の理由で握り詰は作るのが難しいのです。
それよりも「飛を成って詰ます」など具体的な手順をお題にして、使える駒には制限をかけない方が、断然作りやすいと思います。

「握り詰を作るのは難しい」ということを前提に、握り詰を作るにはどうしたらいいか述べていきます。
使える駒が限られてくるので、知識や経験の豊富さが問われます。
「この駒が使えるんだったら、こういう手順にしたらいいかな」といったように、自分の中のデータベースを参照して情報を繋ぎ合わせて作ることになるでしょう。
限られた駒で完全作にできるとは限らないので、引き出しは多い方が色々とトライできます。

例えば、「桂・香・〇・×・△・・・」の駒を使って握り詰を作るなら、どういう方針になると思いますか?
恐らく下図のような感じで、桂・香の両王手をかける手順を作ろうとする人が多いでしょう。

なぜこういう発想が出てくるかというと、ゼロから捻り出しているわけではありません。
ほとんどの人が「桂・香を使った両王手の詰将棋を見たことがある(あるいは作ったことがある)」という経験から発想しているはずです。
こういう部分的なストックをたくさん持っているほど、握り詰は作りやすくなります。
握り詰というのは、作家の技量が問われる高度な創作課題なのです。


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