めいのぼやき11 詰将棋創作のここがしんどい!
バーチャル詰将棋作家の駒井めいです。
詰将棋創作の裏には様々なドラマがあります。
楽しいことばかりではなく、当然しんどいことだってあります。
『 詰将棋創作のここがしんどい! 』
というアンケートをマシュマロを通じて実施しました。
ご協力いただき誠にありがとうございました。
いただいた回答を紹介していきます。
※マシュマロのAIの仕様で私の手元に届かず紹介できていない場合があります。予めご了承ください。
※私のコメントを付けていますが、回答者の意図と異なっている可能性があります。その場合は「こいつ読解力ないな…」と思って許してください。
回答① 狙いからの順算の行方
狙いから順算でつくることが多いので、収束がつくかどうか、狙いが成立するかどうかの瀬戸際が一番きつい。全ボツがありえるから。
逆に成立している図を得てからの推敲は全く苦ではない。むしろ楽しい(少なくとも全ボツにはならないだろうし、あとは良くなるしかないから)。
創作歴は10年以上と経験豊富な方ならではの回答です。
狙いから順算で作る過程は、暗闇の洞窟を手探りで抜けていくようなものだと私は思っています。
道程は長いのか…短いのか...そもそも出口は存在するのか…もしかして出口を通り過ぎてしまったのではないか…何もかも分かりません。
その分完成したときの喜びは大きいです。
しかし、多くの時間と労力を費やした末に全ボツになったときは、やはり辛いものがあります。
こういうときの気持ちの切り換えって、皆さんどうしているんでしょうかね?
私はジャンキーな物を食べて不貞寝します。
回答② 余詰消しの苦労
初級者です。先日初めて詰将棋を創作した際、余詰を消すのがとにかく大変で苦労しました。いつもああしたものと戦われているのかと思うと、詰将棋作家様方に感謝するばかりです。
初級者は余詰を消すのに苦労されている方が多い印象です。
詰将棋が完成するかどうかは、初級者にとっては死活問題です。
私は余詰消しを結構楽しんでやっていますが、創作を始めた頃を思い返してみるとやはり苦痛で仕方がなかった記憶があります。
詰将棋を完成させて誰かに解いてもらうのが何よりの楽しみですからね。
回答③ 短編のネタが思い付かない
短編のネタが思いつかないときがしんどいです。
詰将棋の長い歴史の中で数多くの短編(17手以下)が作られてきました。
特に7手以下で目新しい作品を生み出すのは、現状では至難の業だと感じています。
こうした背景もあり、ツイン・複数解・変同系といった複数の詰手順を用いて狙いを表現する手法に注目している方もいます。
ただ、広く受け入れられているとは言い難く、課題はまだまだ多そうです。
回答④ 誘惑に勝てない
ゲームの誘惑に勝てない。
創作の難易度にもよりますが、詰将棋を完成させるのは基本的に多くの時間と労力を伴います。
それが分かっている方ほど、創作に取り掛かるのに段々と腰が重くなっていって、遂には他の誘惑に負けてしまうというケースがあります。
詰将棋創作を趣味でやっている限りは別に問題ないとも言えますが、詰将棋に対して真剣であるほど後ろめたさを感じてしまうものです。
あとはモチベーションを保つのも簡単ではないので、気が乗らない時期はどうしても出てきます。
ちなみに、私は最近まで「Human Resource Machine」というゲームの誘惑に負け続け、創作活動が見事にストップしていました。
興味がある方は是非やってみてください。
回答⑤ 推しの自作が可愛い
推しの自作が可愛すぎてしんどいです(違)
これは完全に種類の違う回答ですが、とても共感できます。
苦心して生み出した作品はまさに我が子同然です。
私は自信作ができると毎日盤に並べてニヤニヤする習性があります。
傍から見ると相当危ない人だと思いますが、我が子なのである意味自然なことなのかもしれません。
回答⑥ 情熱が消えそう
詰将棋創作への情熱が消えそうです。
専門誌で入選経験がある方からの回答です。
回答④でも述べましたが、モチベーションを保つのは本当に大変です。
情熱が失われていく要因は人それぞれですが、活動を休止して一旦創作から距離を置く方は一定数存在します。
ただ、詰将棋が嫌いになるというケースは少ない気がするので、気持ちが上向いてくれば活動を再開するという方もそれなりにいます。
私はモチベーションの浮き沈みが結構激しいので、今はマイペースに作っていこうと決めています。
大好きな詰将棋を長く続けるためには、適切な距離感も大切だと思っています。
回答➆ 自作だと気になる
他人の作品では気にならないことも、自作となると気になってしまう。
これは人によると思いますが、私はとても共感できます。
私はキズ・駒数・配置など他人の作品では気にならないようなことでも、自作に関しては細かいところまで気になってしまいます。
作品は細部まで拘るべきだと思っていますが、「流石に気にしすぎ?」と思うことも時々あります。
拘り過ぎると本当にキリがなくなるので適度なところで諦めたいのですが、どうしても自己満足度を上げることが優先されてしまいます。
回答⑧ 紛れと余詰は隣り合わせ
狙いが実現できても、際どい紛れが入らない事&紛れの筈が余詰になってしまい、余詰を消すと紛れも無くなる事。
スマホ詰パラで発表経験がある方からの回答です。
際どい紛れというのは当然ながら余詰と隣り合わせです。
実現した狙いを潰さないように、絶妙に不詰にしなければならないので本当に難しいですね。
回答⑨ 先行作や類作との衝突
ノー天気なのであまりしんどいことはないです。
ショックなのはやはり同一作や類作を発表してしまったことに後で気づいた時です。特に自分で解説した作品をきれいに忘れて類作を発表してしまったときは申し訳ないやら恥ずかしいやら。でも誰も「盗作だ」と責めなかったので、まだ生き永らえています。
作っていると同一作って本当にあるんです(自作では最長17手詰)。もう気にせずどんどん発表するのが良いと思います。
それで〇〇さんに指摘されたらへこめばいいのです。〇〇さんも先行作への敬意で指摘しているので責めているわけではありません。
※原文には某氏のハンドルネームが書かれていたのですが、念のためモザイクをかけています。
専門誌で入選経験がある方からの回答です。
同一作や類作と衝突するのは詰将棋作家の宿命ですね。
先行作に敬意を払うのは、詰将棋が創作物である限りとても大切です。
多くの詰将棋作家にはこの意識があり、私も可能な限り調べた上で発表するようにしています。
空気ラボの詰将棋同一検索ページが登場したおかげで、最近では同一作を発表してしまうリスクはかなり軽減されました。
(このシステムをどうマネタイズしていくかなど課題は残されているようですが…)
ただ、類作に関しては調べるのは容易ではなく、どうしても発生してしまうのが現状です。
一方で、同一作や類作を過度に恐れていると、何も発表できなくなってしまいます。
発表前に可能な限り調べるのが大前提ですが、同一作や類作を指摘されたら誠心誠意対応する姿勢と覚悟を持つことの方が何倍も大切だと私は思っています。
まぁ指摘されたら私だって「あー…やっちまったなー…」と尋常じゃなく凹んで虚無になりますけどね。
そういうときはジャンキーな物を食べて不貞寝するに限ります。
※記事を公開した後にも回答をいただきましたので追記します。
回答⑩ 構想部分を作った後の収束付け
構想部分作った後に収束つける作業もしんどいです。
収束については回答①でも挙がりましたが、収束が付かないと当然作品として発表できないので本当にしんどいところです。
「収束はこれにするしかない」「よく使われるあの収束パターンが入りそうだ」っていうなら話は早いです。
「この収束じゃ構想が台無しだ…」「この収束は少しダサいか…」っていう感じで一応収束が付くならまだマシです。
「そもそもこれ収束つけられるのか?」っていう状況もあるので、構想部分を作った後も気が抜けないのです。