笑える将棋作品展 結果発表
「笑える将棋作品展」の結果発表を行います。
「笑える将棋作品」をテーマにした作品を5作出題していました。
6名の方から解答・短評をいただきました。
【 解答者一覧 】
Relax (5)、せら (5)、堺健太郎 (5)、keima82 (4)、羽毛布団 (4)、springs (4)
※ 敬称略。
※ 括弧内の数字は正解数。
結果発表
① おかもと 作
【 作者コメント 】
龍の軌跡曲詰で、作意は三角、変化は四角になります。
ちょっとしたユーモア作品のつもり。
【 短評 】 ※★は担当者のコメント
・Relax
普通に好作で好きです^^
・堺健太郎
7手が四角、9手が三角?
・羽毛布団
三角に動く龍と56玉からの四角に動く龍の二頭龍ですね!楽しいです!
・せら
龍の軌跡に注目すると作意は三角形。4手目65玉の変化は四角形。
・keima82
作意では龍が直角三角形を描いて元の位置に戻ってきますが…。それだけではなく、変化(4手目△65玉)では何と正方形を描いているではありませんか。これは笑える。
・springs
作意で三角、変化で四角。作るのも大変そうだが、このアイデアを思いつくのが一番大変そう。
★ 初形の攻方63龍が動きますが、詰上りで63の地点に戻ってきます。
★ 面白いのは移動軌跡。作意では 63→33→36→45→54→63 という経路で、移動軌跡が三角形を描いています。
★ 本作の面白さはこれに留まりません。3手目65玉の変化では 63→33→36→66→63 という経路で、移動軌跡が四角形を描いています。
★ このように駒の移動軌跡で図形などを表現したものは軌跡曲詰と呼ばれています。作意だけでなく変化で別の図形が現れるのがとても洒落ています。
② せら 作
【 変則ルールの説明 】
・最後の1ピース
出題図に指定された枚数の駒を”追加”して指定されたルール・手数の完全作にする。追加する駒は、攻方の駒、受方の駒、攻方持駒いずれでも構わない。
(補足)
ここで言う“追加”は、標準駒の範囲内で行われる「受方の駒台または駒箱から盤上または攻方駒台への移動」のこと。玉は駒台に移動しない。
【 作者コメント 】
< b)の解法1 >
a)の詰上がり図には39香による王手がかかっているので追加駒は38に置くということが分かる。玉方駒は香で取って1手、攻方38桂も跳ねて1手。38角を追加すると27角上、26玉、18角、16玉、27角、26玉、38角、37玉、16角迄、確かに9手詰となる。
< b)の解法2 >
a)の詰上がり図と初形図を見比べると38角が消えている。よって38角を追加するとa)の初形に戻る。手順はa)をコピペする。
ほとんどみんな解法2で解いたと思います。
出題図がそのままb)の答えになっているのが笑いどころ(?)です。
【 短評 】 ※★は担当者のコメント
・堺健太郎
あれ?元に戻った?
・Relax
何度食べても復活するビスケットの味がしました。
・springs
思わず声が出た。楽しい発想。
・羽毛布団
無限ループですか?!狐につままれた気分です。すごいですね!
・keima82
a) 盤上から▲38角が消失!笑えるというより普通に巧いです。
b) 桂馬追加は▲46桂で詰み。敵駒追加は▲38香で詰み。よって、これしかなーい。
・せら(作者)
b)のみを出題する、最後の1ピース詰将棋0手(1枚削減)を出題に加える、など色々考えた結果この出題形式になりました。
★ a)は普通の詰将棋。初形の攻方16角がなければ攻方38角を16角と動かして詰みます。つまり、初形の攻方16角は邪魔駒です。詰上りは初形から攻方38角が消去されているように見えます。
★ b)はa)の詰上図に対して駒を1枚追加して、詰将棋9手の完全作にするという出題形式。攻方38角を追加すると出題図と同じ局面になり、詰手順はa)と同じになります。
★ 邪魔駒消去は盤上から邪魔駒を消去する手筋。最後の1ピースは追加を追加する出題形式。これら二つの組み合わせによって、局面・詰手順が循環するという不思議なことが起きています。秀逸なアイデアです。
③ 堺健太郎 作
図1のように歩を並べるとちょうど20枚で輪になった。図2のように歩を3枚くっつけると〇印の角度が24度だった。このとき ∠ABC の角度を求めなさい。ただし、歩は将棋で一般に使われる駒であり、欠けてはいないものとする。
【 作者コメント 】
本当の駒の角度と同じになるように設定しました。解いてくださった方がいるかは疑問ですが、もしもいらっしゃったら心より感謝いたします。
【 作者解説 】
下図のように補助線をひいたとき、中央の角度は20等分されているので、中心をO とすると
∠COD = 360°÷ 20
= 18°
二等辺三角形の底角は等しいので
∠BCD = ∠OCD =(180°-18°)÷ 2
= 81°
下図のように補助線をひいたとき、図2の中央にできる三角形は正三角形。
したがって
∠ABE =(60°- 24°)÷ 2
= 18°
四角形の内角の和を用いて
∠EBC =(360°-81°× 2 )÷ 2
= 99°
∠ABC = ∠ABE + ∠EBC
= 18°+ 99°
= 117°
【 短評 】 ※★は担当者のコメント。
・せら
思わず「そうきたか」。
・Relax
受験時代を思い起しました。使わない能力は衰えるものですね。
・keima82
解き方。問題図1から正二十角形の内角(162度)=角C+角D。この先は、図を添付しましたが、赤線の通り補助線を引くと赤い三角形は正三角形なので1つの角は60度なので、〇=24度という条件から、図のyが求まる。また、下の四角形は左右対称な台形なので図のxが求まり、xとyを足した値が答えとなる。他にも解き方あるかもしれませんが、良い頭の体操になりました。
・羽毛布団
算数難しいですね...。将棋駒は左右対称だと信じていますが、すごく自信がないです。
・springs
将棋に関連した計算問題だが、将棋と数学が密に繋がるともっと楽しい。
★ 主催者として「詰将棋以外の投稿があったら嬉しいなー」と思っていたので、大変嬉しい作品の投稿でした。
★ 本作は将棋駒を使った数学の問題。多くの人が「昔こういうのやったなぁ…」という気持ちになったのではないでしょうか。
④ springs 作
※ 正解手順は複数あります。
【 変則ルールの説明 】
・非王手可
王手を掛けなくてもよい。
・全取禁
駒を取る手は禁手。詰みやステイルメイト等の概念も駒を取れないことを前提とする。
・最善
攻方はなるべく早く目的を達成するように着手し、受方はなるべく目的が達成されないように着手する。
・ステイルメイト
王手は掛かっていないが合法手がない状態にする。
・渉
前に1~3マス進める駒。他の駒を飛び越えることはできない。
【 作者コメント 】
相手の手を見てから対応したいので、初手は手待ち。玉のない詰将棋を作ってみました。
【 短評 】 ※★は担当者のコメント。
・羽毛布団
これも自信ないです。なんかすごいですね!
・Relax
フェアリーに初挑戦。渉のペアがもう1筋あったらこちらが必敗ですかね?
・keima82
先に歩を打たされた方が負けのゲーム?合っているか自信無し。
・堺健太郎
石取りゲーム?
・せら
1度に言える数は3つまでで5を言ったら勝ちになるゲーム。
★ 受方をステイルメイトにします。全取禁ルールを活かして、受方の捗・歩の正面に攻方の捗・歩を配置することを目指します。受方に何かを指させて、攻方がそれに対応していけばよいです。
★ 問題なのは出題図が攻方が手番ということ。攻方が不用意な手を指せば、逆に受方に対応されて攻方がステイルメイトになります。
★ 初手57捗が正解で、これが態度を保留する手。相手に態度を決めさせて対応する構造は、いわゆる「数取りゲーム」と仕組みとほぼ同じです。
★ 本作には玉のない詰将棋という斬新な狙いもあります。詰みを目的としない変則ルール(本作では非王手可+ステイルメイト)なら、必ずしも玉がいる必要はありません。非常に柔軟なアイデアです。
⑤ Relax 作
※ 非限定が多数あります。
【 作者コメント 】
デパートのギリギリアウト特集に間に合わなかったネタなんですけど、七十二歩詰がテーマです。ニ~八段目の63枚を全て打たせました。玉がナナメに動けるせいで逃げ方パターンが沢山出来ちゃうんですが、とりあえず明解な解が出せるぐらいには抑えたつもりで、11玉で詰むのは確定してます。
【 短評 】 ※★は担当者のコメント
・springs(無解)
インパクトのある初形!着手するのが遅くなり、間に合いませんでした……
・keima82(無解)
図は笑えましたが降参です。リアル盤でもソフトでも並べることができないw 手数は137手、最終手は▲92歩と適当に予想。
★ 手数は正解でした。
・堺健太郎
一面が歩。
・せら
1筋を後回しにしておくのがポイント。詰上がり図が笑いを誘う。
・Relax(作者)
圧倒的、詰みッ!みたいなのをやりたかったんです。
★ 歩は本来18枚ですが、本作はそれ以上あります。しかも、二歩も打歩詰もアリです。要はひらすらに歩を打っていき、二~九段目を歩で埋め尽くすことで詰みを達成できます。
★ 解くのはそこまで難しくないのですが、脳内で具体的な手順を求めるのは流石に難しいです。盤に並べて考えるにしても、こんなにたくさん歩を持っている人は稀でしょう。加えて、非限定が多数あるのも厄介です。そんなわけで、本作は降参者が続出しました。
★ 初形や詰上りのインパクトが凄まじく、挑戦的な作品と言えます。
総評
※★は担当者のコメント
・堺健太郎
面白いを通り超えて皆さんすごい…。 ③の方、浮き過ぎでは?笑
★ 浮いてないですよ。バラエティー豊かな作品を出題できて、主催者としては嬉しい限りです。
・Relax
将棋で笑いを取るなんて、ある意味究極の難条件ではないでしょうか?機会がありましたらまた参加させてください。
・せら
通常の作品展ではあまり見かけないような作品が多く楽しめました。欲を言うともっとジョーク要素が欲しかったかも。
★ 挑戦的なテーマの作品展でしたが、予想以上に作品投稿や解答があって主催者としては嬉しい限りです。本当にありがとうございました。「創作は自由なんだよ」というのが少しでも伝わったなら、この作品展を開催した意味があったというものです。