詰将棋創作相談室「良い詰将棋の評価基準が分かりません。」

Q.良い詰将棋の評価基準が分かりません。

A.「将棋の実戦では見られない世界」が表現されているかどうか。

ほとんどの人は、棋力の向上を目的とした「練習問題としての詰将棋」から詰将棋の世界に入ってきます。
そこから何かしらのきっかけで、「芸術としての詰将棋」の世界に入ってくるわけです。
詰将棋を練習問題と位置付けている人は、「実戦で現れそう」「手数が長くて難しい」など、棋力の向上に貢献するかどうかが評価の基準になるでしょう。

詰将棋を芸術作品と位置付けると、評価の基準は全く変わります。
「人間が生み出した創作物である」というのが、基本かつ重要な出発点です。
このとき、詰将棋を通じて何を表現するかは、作者の自由であり多種多様です。
一つ言えるのが、「将棋の実戦では見られない世界」を見せることが、芸術性に繋がります。

「実戦からの遠さ」をどれくらいにするかは、作者や作品によって異なります。
例えば、実戦では現れそうにない初形から、実戦では現れそうにない手順が現れるのは、当然芸術性があります。
実戦で現れそうな初形(実戦形など)から、実戦では現れそうにない手順が現れても、強い意外性があって芸術的です。

具体的に例を挙げると、実戦的な初形から、飛・角・歩の不成が現れたら面白いですよね。
飛・角・歩は成ると単純に利きが増えるので、将棋の実戦では基本的に成った方が得です。
ただ、打歩詰や連続王手の千日手が関係するときに、飛・角・歩を不成で動かした方が得になることがあります。
実戦では相当なレアケースだからこそ、芸術性が高くなるわけです。

「将棋の世界は実はこんなにも奥が深いんだよ」ということが少しでも示せれば、十分に芸術作品と言っていいのではないでしょうか。
「芸術作品として良い詰将棋」は示している範囲があまりにも広いですが、あえて言語化するとこういうことではないかと思います。
そういう視点で詰将棋作品をもう一度見直してみてください。


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