WFP2022年8月号 感想
バーチャル詰将棋作家の駒井めいです。
Web Fairy Paradise 2022年8月号(第170号)の感想を簡単に書いていきます。
「降格成」の考察(pp.3~4)
将棋では成れる駒は、
・利きが増える(飛角歩)
・利きが変化する(銀桂香)
の2種類に分類できます。
駒が成ったときに
・利きが減る
という「降格成」の導入を考えた内容。
どんな作品が可能なのか、考えてみたくなります。
他にはチェスのプロモーションみたいに、成るときに複数の選択肢を持たせるとか。
あと、駒が成るときには利きが関わってきますが、利きに拘らなければ考えどころはもっと沢山ありそう。
今月の手筋(p.14, 69)
「降格成」に続いて「同格成」の利用例。
「利きが変わらない成なんて使い道はあるのか?」と疑問に思いましたが作品を見て納得。
マドラシ以外の使い道も考えてみたいところ。
第142回WFP作品展結果(pp.18~47)
WFP作品展鑑賞室:http://k7ro.sakura.ne.jp/wfp/EnjoyWFP.html
■ 142-5 伊達悠作
ライフル+完全打歩。
この組み合わせは考えたことがなかったので興味深かったです。
■ 142-7 原亜津夫作
Cycle of moves。
攻方の着手が循環しているのに対して、受方の着手がバラけています。
攻方に王手義務のある条件では実現が難しいと思っていました。
素晴らしいの一言。
■ 142-8 青木裕一作
入玉宣言法を使ってこんな作品が創れるとは。
■ 142-10 一乗谷酔象作
受方玉・攻方金の各配置関係に対して、攻方王は2手、受方金は6手で1サイクル。
両者が嚙み合って同一局面に戻るのに12手かかります。
いわゆる「最小公倍数原理」でしょうか(例えば久保作「LCM」)。
ただ、同一局面になる前に受方玉・攻方金の配置関係を変えることになるので、基本的には10手1サイクルとなっています。
そのためにやや不規則気味に手順が進行します。
最小公倍数原理を応用した作品と解釈する方が正確かも。
本編である142-11に余詰があったのは残念ですが、仕組みがとても面白い作品。
協力詰・協力自玉詰 解付き #5(pp.63~66)
私の担当コーナー。
■ 5-1 シナトラ作
2つのバッテリーを用いて2解で対比を表現。
紛れも組み込まれて深みのある作品になっています。
■ 5-2 springs作
少ない駒数から大駒が飛び交います。
攻方王の逃げ道を増やす最初の2手が地味ながらいい味を出しています。
第7回フェアリー入門解答(pp.71~82)
課題は「多玉協力詰」。
私が作った感想としては余詰が出やすいこと。
飛角桂などで二つの玉に王手して詰ます筋が結構きついんですよね。
真T作のように打歩にすると制御しやすいんでしょうか?
① springs作
バッテリー構築×2。
ツインとして綺麗な仕上がり。
⑩ 真T作
二玉を利用した合駒動かし。
面白い手順。
⑭ せら作
入れ替えパズル。
楽しい作品。
と×協力詰超入門(p.83)
「降格成」「同格成」の記事と連動した課題。
面白そうな課題ですが、何を創ったらいいかと言われると結構悩ましい。
連鎖協力詰 続編(pp.86~89)
たくぼん氏提案の新ルール。
1.北村太路作
無限連鎖は考えもしなかった。
2.真T作 3作目
楽しい軽趣向。
これはお見事。