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詰将棋創作相談室「詰将棋の類似作のチェックは、どの程度すればよいでしょうか?」

Q.詰将棋の類似作のチェックは、どの程度すればよいでしょうか?

A.完璧に調べるのは無理。可能な限り調べたら、あとは気にせず作品を投稿して。

詰将棋は将棋という枠組みで表現するため、盤の大きさや駒の種類・数は有限です。
ただ、完全作(※)になる駒配置は、相当数のパターンが存在すると思われます。
(※完全作:余詰などの不備がない詰将棋のこと。)
しかし、別々の作者が似た価値観で創作した結果、同じような作品を得ることはそこそこの確率で起こります。
特に起こりやすいのが、好形・好手順の作品です。

詰将棋を芸術作品として扱った場合、作品のオリジナリティはとても重要です。
逆に言うと、過去に発表された作品との同一性は、作品の評価に大きく関わります。

作品の同一性は大きく分けて「同一作」「類似作」に分類されます。
「同一作」は駒配置(盤面および持駒)が全く同一の作品を指し、駒配置が同じなので手順も当然同一になります。
「類似作」は文字通り「似た作品」ですが、この言葉の示す範囲は広く、境界も人によって異なります。

同一作については、空気ラボが提供している「詰将棋同一検索ページ」で調べることができます。

世の中にある全ての詰将棋が登録されているわけではありません。
しかし、同一作を発表するリスクはかなり軽減できます。

類似作については、残念ながら調べる画期的な方法がありません。
人の記憶が頼りです。
思い当たる作品がなければ可能な限り調べて、あとは気にせず作品を投稿するしかありません。

類似作の中でも、ある程度機械的に調べられるのが「ほぼ同一作(限りなく同一作に近い類似作)」です。
駒配置の一部を変えたり、駒配置全体を平行移動させたりするなど、同様の手順を成立させる駒配置が他にあるなら、変更した駒配置を「詰将棋同一検索ページ」で調べておくくらいはした方がいいでしょう。

そうは言っても、自作を発表した後に同一作・類似作の指摘が入って、盗作と疑われることを心配する人もいると思います。
ただ、このような事情はほとんどの詰将棋愛好家が知っています。
仮に同一作・類似作があったとしても、「盗作だ!」と言われることはまずないでしょう。
過去に発表された作品をリスペクトする意味で、「同一作・類似作がありますよ」と指摘が入るだけで、それ以上のことは基本的に起こりません。
(ごくまれに「盗作だ!」と騒ぐ人がいますが、そういう人はあまりにも創作というものを分かっていないので、無視して問題ありません。)
必要以上に怖がる必要はないですし、指摘されて過度に落ち込む必要もありません。
ほとんどの詰将棋作家が経験していることです。

創作物が過去の作品と同一あるいは類似してしまうことは、詰将棋に限らず他の創作分野でも見られる現象です。
作者としては「可能な限り調べるが、偶然被ってしまうのはある程度仕方がない」と割り切るしかありません。

逆に、この状況を悪用して、過去に発表された詰将棋作品を盗作することは、絶対にしてはいけません。
バレないと思っても、まずバレると思っていいです。
最初の数回は同一作・類似作の指摘が入るくらいでなんとも思われません。
ただ、ありえない頻度で続けば、さすがに盗作を疑われます。
面と向かって盗作と言われないだけで、その作家の信用はとてつもなく低くなります。
そもそも詰将棋創作はほとんどの場合お金にならないので、盗作するメリットは一時的に承認欲求が満たされる以外に皆無で、デメリットの方が圧倒的に大きいです。
…と最後は脅し気味になりましたが、真摯に詰将棋を創作し発表している人には起こり得ないことなので、気にしてなくて大丈夫です。


【 質問募集 】
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(なければ自作自演で質問を考えていきます。)