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『不安と折り合いをつけて うまいこと老いる生き方』を読んで
「人生100年時代」の後半戦に待ち受ける、憂鬱なあれこれと、うまいこと折り合いをつけて生きていくコツを、92歳の精神科医・中村恒子先生と、54歳で同じく精神科医の奥田弘美先生のコンビが対談形式で語り尽くします。老い、孤独、人間関係、終活など、シニアの深刻な悩みにそっと寄り添い、答えを出してくれる一冊です。 ※見出し画像とともに、Amazonサイトより引用
Amazonでもベストセラーになっていて、新聞の広告欄でもよく見かけるこの本。前作の『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』を以前読んでとてもよかったので、今回も楽しみに読んでみた。
#心に折り合いをつけてうまいことやる習慣 #中村恒子 #奥田弘美
— mapache (@meigetsuan5) October 11, 2019
「お金のために働く」でええ。「幸せでなければいけない」と思わないほうが幸せ。孤独死、大いに結構。…89歳の恒子先生の言葉がしなやかに力強い。
聞き手の奥田先生による「日々たんたん」な生き方の解説も心に響いた。#読書記録 pic.twitter.com/V7gu80YtuA
今回の続編で、心に残った部分を2つ書き出してみたい。
一つは、人付き合いのこと(p87-90)。恒子先生は、若い頃から「来る者は拒まず、去る者は追わず」の精神で人と付き合ってきた。現役世代で働いている時は社交辞令やお義理の付き合いが必要でも、老人になったら自分にも相手にも有意義なエネルギーの使い方をするべきで、60歳くらいからは、浅くて信頼関係のない付き合い(両面とも印刷の年賀状をやりとりするような関係)は整理していってよいという考え。
他人さんには近づけば近づくほど、同じだけストレスも生まれるからね。家族だけは別物と言う人もいるかもしれんけど、結局は同じことよ。近づきすぎないことがコツやないかな。人付き合いのストレスを減らしたければ、他人さんじゃなく、孤独と仲良くすることや。(p89)
私はまだ40代で、老人とは言えない世代だけど、それでも20-30代の頃より疲れやすくなった。元気に生き生きと活動できる時間は、有効に使いたいと思う。人付き合いも大切だけど、いろんな活動に割くためのエネルギーも残しておきたい。孤独を恐れすぎずに、人付き合いの取捨選択をしていきたい。
本書でもう一つ心に残った部分は、自己嫌悪に陥る場合や他人と比較してしまう時のこと(p121-124)。SNSについて、恒子先生の言葉が印象深い。
「今日、何した」「誰と会った」「家族や友達とこんな楽しいことをした」ってあれこれ他人さんに公開するんやろ?(中略)自分のことをさらけ出し過ぎるのも、他人さんのことを知り過ぎるのも、ろくなことにならへんのにな。(p122)
奥田先生によると、今の時代は、SNSで他人の投稿を見て、つい他人の生活や人生と、自分のそれを比較してしまって、自己嫌悪に繋がっていくことが増えているという。他人の生活や行動がつぶさに見え過ぎてしまう状況だからこそ、あえて比べないように強く意識しておくことが大切、という解説にとても納得した。