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裏歴史を鮮烈に描く「満州アヘンスクワッド」読み手の心を掴んで離さない理由

小学校、中学校、高校と、私たちは長い時間をかけて歴史を学んできた。

けれど、当時は入学試験のために歴史を勉強していたと言っても過言ではなく、教科書に載っている歴史という"情報"を正確に暗記するといった行為をしていただけのように感じる。

そんな風になんとなく歴史を学んできた私だったが、今強烈に私の知的好奇心を刺激する「歴史」がある。

それは『満州アヘンスクワッド』というマンガで描かれている満州国の裏歴史についてだ。

満州の裏歴史を描く『満州アヘンスクワッド』

本作の舞台は日本では昭和12年の満州。

(昭和12年、西暦1937年といえば、日本では日中全面戦争が勃発し挙国一致体制が強化された...なんて教科書で学びましたよね)

関東軍の兵士であり主人公の日方勇は、戦地で右目の視力を失ってしまう。

視力を失い戦闘ができなくなってしまった勇は、農業義勇軍と呼ばれる軍の食糧を作るべく結成された農業訓練所に所属し、病気の母を看病しながら家族を養う毎日を送っていた。

そんなある日、視力を失った代わりに嗅覚が鋭くなった勇は、農場の奥地でアヘンの原料であるケシが栽培されていることに気づく。

病気の母の治療代を稼ぐために、アヘン密造に手を染めマフィアに売買を持ちかける勇だったが、アヘンを巡り動き出す関東軍たち...。

アヘンと共に栄え滅びた満州国を描いたクライムサスペンスが今、動き出す。

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本作は、今年の4月に講談社のマンガアプリ「コミックDAYS」にて連載がスタートし本日8月11日(火)にコミックス第1巻が発売された。

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読み手の心を掴んで離さない2つの魅力

満州といえば、1931年(イクサハジメ)の満州事変...。なんて語呂合わせで必死に暗記をした学生時代を思い出す。

学校では主に日本をベースに、歴史を大きく動かした代表的な出来事しか教えてくれなかったが『満州アヘンスクワッド』では、教科書や学校では絶対に教えてくれないディープで狂気的な満州の歴史を描いている。

その中でも読み手の心を掴んで離さない、『満州アヘンスクワッド』の魅力を紹介したい。

1.アヘンに溺れた中毒者

タイトルにもある通り、物語のキーとなるのが「アヘン」だ。

アヘンとはいわゆる麻薬の一種で、ケシ(芥子)の実から採取される果汁を乾燥させたものである。医薬品として用いられる一方で健康被害や依存性が問題視されており、アヘンを巡っては1840年にアヘン戦争を引き起こすなど歴史に残る害悪も引き起こしている。

作中ではアヘン中毒者が登場するのだが、やつれた身体にうつろな目、そしてページから伝わる禍々しい雰囲気...。

アヘン中毒者の姿はホラーそのもので、その存在が物語により一層サスペンス感を煽ってくる。また、"裏歴史"とはこういうことか...と思わせる恐ろしさがそこにある。

2.圧倒的な疾走感

本作は、満州国最後の皇后「婉容」が絶命するシーンから始まる。

やはり史実に基づいた"リアル"を突きつけられると、読み手は一瞬にして引き付けられるもの。

(1話の印象的な始まりのシーンは、原作者である門馬司先生が解説をしているので必見だ)

さらに『満州アヘンスクワッド』では、シーンだけではなく「義勇軍」や「満鉄」といった実在の組織が登場する。

そのリアルな情報とマンガならではの迫力のある戦闘シーンが交互にやってくることで、読み手である私たちを物語に没頭させる。

物語に夢中になっていて気付いたら読み終わっていた...という体験をした時、私は「疾走感」という言葉を使うのだがまさに『満州アヘンスクワッド』のストーリーからはまさにこれを感じた。

建国から88年

1931年に満州事変が起きて、翌年1932年に日本軍によって満州国が建国された。2020年の今、その出来事から88年の歳月が流れた。

私のように歴史を"情報"として読み取ってきた人は、ぜひこの機会に『満州アヘンスクワッド』の裏歴史の世界に没頭してみてはいかがだろうか。

読み終わった時「歴史は情報ではなく、物語なのだ」と実感するはず。

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