堀川炎 『野火』
SCOT SUMMERシーズン2024にて、まずは『野火』を観劇。
『野火』は映画では観たことがあったが、原作は小説だったはず。戯曲も….存在するのかッ!?と一瞬思ったが、クレジットにテキストレジとあるので、演出の堀川さんが大岡昇平による小説を今回用に台本として整理・構成されたのだろう。
あらすじ
一応、粗筋をおさらいしておこう。
演出ノート
こちらはWebには掲載されていない…?かもだが、現場で配られたのでここにアーカイブしておく。(過去参加した時のものも取っておけばよかった…)
今回驚くべきは、この内容が一人芝居になっているということだが、この暗く苦しい物語の緊張感を一人で持続させるのは並々ならぬことだ。先日、アンドリュー・スコットによる一人芝居『ワーニャ』を観ても思ったが、1回のみならず、何度も上演するその気力やすさまじいことだ。
しかし、今回の場合、一人芝居であることが果たして成功していたのか…それは自分には分からなかった。戦場の狂気と田村の狂気を重ね、「世界は病院である」という鈴木的思考に近づいて、田村以外の登場人物は田村の妄想や幻影であるかのように表現するといったこともできただろうし、鈴木版『シラノ・ド・ベルジュラック』のように、その妄想を他の役者に演じさせる選択肢もあったはず。
芝居の演出というものの可能性とその地平について、素人ながら思いを馳せる機会となった。