【更年期①通信】「更年期ビジネス」に役立つ情報:サプリメント、テレヘルス、更年期離職
Femtech(フェムテック)の中でも、Menotech(更年期)の分野について調べたりすることが多く、最近は新規事業として「女性の更年期ビジネス」についての相談を受けたり、個別にDMいただくことが増えてきました。
私自身もそうですが、特に男性のVCや管理職・役員に、女性の更年期障害について理解してもらうことが難しいと思う場面に多々遭遇しています。
先日も男性のVCの方に、更年期障害のホットフラッシュについて話したところ「俺、サウナーだからむしろ汗かきたいんだよね。何がダメなの?」という素朴な質問をもらいました。
そこで、更年期ビジネスのご相談をいただく中で、「最近の海外・日本の更年期の動きを知りたい」という方向けに、直近1ヶ月の「更年期」に関するニュースなどを10件まとめて紹介したいと思います。
1.(米)40歳以上の女性向けウェルネスブランドWILEの資金調達
更年期女性の健康やストレスに対し、充分なサービスが提供されていないのは、米国も日本も同じだが、米国は日本と異なり、更年期障害の解決に有効と言われている漢方処方はあまり聞かない。よって、サプリメントやCBDオイルが発達していると推測。
実際のパッケージはシンプル。このようなおしゃれなパッケージであれば、手に取りやすく、お店でも購入しやすい。
2.(日)「更年期離職」キャリア絶たれ・莫大な経済損失も国は調査へ
2019年3月に経済産業省が発表した調査で、月経随伴症状(腹痛、腰痛、イライラ、便秘など)による1年間の社会的負担は6,828億円、その中で労働損失(欠勤、労働量や質の低下)は4,911億円にも及ぶというのが出てから、月経・生理に関する特集がメディア等ではじまったと記憶している。
(テレビ東京の「生理CAMP2020」は、2020年8月に放送され大きな話題となった)
特に企業で話しをする際に、経済損失やキャリアへの影響が数値化されることで、より理解が得られやすいのではないだろうか。
3.(日)更年期、企業が支える
更年期の「ドクターショッピング」はヒアリングしていて、よく出てくる話題。筆者の知人も、最初は肩こりや頭痛で、整形外科・内科・接骨院で湿布や鍼治療。仕事のパフォーマンスも落ちているが、更年期の症状とは気づかなかったとのこと。
そして、更年期という発想が婦人科以外の医師には少なく、ドクターショッピングしてしまう女性が多いのも事実。
この課題については、患者が更年期症状や更年期障害を知ることで、医師の知識向上につながると思う。企業が健康経営のひとつとして、更年期障害に関する理解を深めることが重要である。
4.(米)ホルモンフリーの経口剤を手がけるBonafideが、SAMeの特許取得
更年期やPMS緩和に関するホルモンフリーの経口剤やスキンケアを手がけるBonafideが、SAMe(S-アデノシルメチオニン)の特許を取得。
膣の乾燥や更年期症状の冷却緩和に効果的な錠剤を販売しており、1回だけでなく、サブスクリプションで購入も可能となっている。
5.(日)女性の活躍後押し 企業、人材確保へ活用
米国では、更年期がもたらす深刻な問題を指摘したミシェル・オバマ元大統領夫人や、英国でもChannel4が芸能人を起用した更年期に関するキャンペーンを開催している。
ミシェル・オバマ元大統領夫人は、「女性が更年期について声を上げること」「更年期について世の中の人が正しい知識を持つこと」を述べており、インフルエンサーのような女性たちが、更年期について発信することで、当人の理解が深まり、周りの理解が深まり、その結果として日本の更年期に関する医療も進んでいくのではないかと感じている。
6.(日)EARTH SHOTO 世界を変えるテクノロジー
2022年4月18日(月)にBSテレ東で放送されたEARTH SHOTO 世界を変えるテクノロジー「今話題のフェムテックとは?」
更年期障害の解消に有効とされるHRTの普及率について、欧米は40%に対し、日本は1.7%と非常に低いことが紹介。
この翌週の同番組では、「性別・学歴・キャリア 日本社会の無意識のバイアス」がテーマ。
「人材の構造デザインを変えていく」ためのひとつの取り組みとして、ゴールドマン・サックスの例が紹介。同社では、新規株式公開サービスで、取締役に女性がいない場合、業務を引き受けないこととしている。
上場企業のうち、女性取締役がいる企業の業績が良いことを挙げているが、こういったキャリアの観点でも、更年期障害の影響は大きい。
7.(日)NHKスペシャル #みんなの更年期
更年期障害の職場での影響や、退職した方のエピソード。更年期障害の多様さや医療の状況などを幅広く特集。
この放送後、更年期障害の話しをしたら、「最近NHKでもやってた」という声を何名からいただいたので、TVの影響が大きいことを改めて実感した。
日本独自の医療課題として、2020年度には月経困難症の診療報酬上乗せ。今年からは不妊治療の保険適用がされているが、更年期については制度上の改定は現状行われていないため、これから期待したい。
8.(英)更年期管理アプリBalanceに新機能が追加
更年期女性向けの体調管理アプリBalance。筆者も実際にダウンロードしてみたが、更年期の症状や月経・服用中の薬などを登録できたり、更年期の症状を話し合えるコミュニティもある。
昨年、英国のママ友づくりコミュニティの「Peanuts」も、更年期向けコミュニティにまで広げると発表。産後から更年期までをカバーしていく予定と推測。
9.(米)更年期遠隔医療EvernowHealthが$28.5Mの資金調達
更年期向け遠隔医療を手がけるEvernowHealthが、$28.5Mの資金調達を実施。女優のグウィネス・パルトロウ、ドリュー・バリモア、キャメロン・ディアスなども参加しており、24時間365日のサポートを提供。
10.(日)中高年世代の健康・更年期に関する意識と実態調査
株式会社ハルメクホールディングスが発表した、40~70歳の男女1,600名を対象にした調査結果によると、男性の約8割・女性の約3割が「女性の更年期障害」について理解していないとのこと。
女性本人も3割しか理解できていない現状であるため、メディアや企業以外でも「更年期について知るきっかけ」というのを作っていく必要がある。
【お知らせ①】第2回フェムテックオフィスアワー(壁打ち会)5月開催
Femtech Community Japanでは、第2回のオフィスアワー(壁打ち会)を開催します。前回、参加してくれた知人からは、「(壁打ち相手がすばらしくて)夢のような時間でした」という話しをもらったため、今回筆者が壁打ち相手で恐縮している。
朝と夜、それぞれ開催していますが、前回は秒速で埋まってしまったので、申込はお早目に!
【お知らせ②】経済産業省 令和4年度 フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金における補助事業者の公募開始
昨年度に引き続き、今年度も経済産業省フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金における補助事業者の公募がはじまっています。
4月26日(火)には、Femtech Community Japanで説明会も開催しましたが、締切は令和4年5月11日(水)正午。昨年度の選定企業は以下のホームページに紹介されていますので、参考にしてください。