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チームレジリエンス3刷のお礼と「おわりに」の公開

ありがたいことに、新刊『チームレジリエンス:困難と不確実性に強いチームのつくり方』の重版が決まりました。お手に取っていただいた皆様、心より感謝申し上げます。

出版してから今までに、イベントやSNSで皆様からの感想をいただくことができたのもとても嬉しかったです😭忙しい中、本書をお手に取っていただき、本当にありがとうございます😭

当初、予想していなかったことに何人かの方々から、本書の「おわりに」についても嬉しいコメントをいただいきました!ありがとうございます!

そこで、重版を記念して本記事では、本書に対する個人的な思いを書いた『チームレジリエンス』の「おわりに」を一部公開します🐣
すごく個人的な執筆背景を書いてるので少し恥ずかしいですが、もしよろしければご覧ください。


チームレジリエンス:困難と不確実性に強いチームのつくり方  「おわりに」

なぜ「チームレジリエンス」を研究するようになったのか

 
筆者(池田)は、「困難に直面した人に寄り添えるような本を書きたい」という思いのもと、本書を書き進めてきました。最後に少しだけ、なぜ筆者がそのような思いを抱くようになったのか、個人的な話を書いて締めとしたいと思います。
 
筆者が「レジリエンス」という概念に最初に興味を持ったのは、大学院の修士課程のときでした。  筆者はその頃、学習環境デザインを専門とする研究室に所属し、キャリア開発に関する研究を行っていました。修士論文を書くにあたっては、まず、すでに行われている研究を調べます。文献を調べていく中でわかったのは、キャリア開発では「目指す将来像を決めて、そのためのプランを考える」という実践がよく行われているということでした。
 
確かに目指す姿を決められれば、そのために頑張ることができます。しかし、筆者はこの考え方に少し違和感を覚えました。
 
それには、当時はちょうど、修士課程卒業後の自分のキャリアについて考えている時期であったことが影響しています。
 
大学院に入り、指導教官や、当時研究室の先輩でメンターでもあった共著者の安斎さんに憧れ、「研究を続けたい」という思いが強くなっていました。しかし、アカデミアで生計を立てていくことは難しく(筆者自身、まだ任期つきの雇用です)、進学の門も狭いものでした。そのため、博士課程に進みたいと思ってはいたものの、それが叶う可能性は低く、その後もうまくいくかわからない状況にありました。
 
実体験として、「やりたいことが見つかったとしても、そのゴールまではいばらの道かもしれないし、夢が叶うとは限らない」「ゴールを決めるだけで十分なのか」などと感じていたのです。

そんな時に、出会ったのが「レジリエンス」という概念でした。
 
目指す方向を探すことも大切だけれども、うまく行かないときにそこから立ち直り前に進んでいく力はそれ以上に大切です。筆者は、うまくいかないことが起きるとすぐに落ち込んでしまい、何をしていいのかわからず立ち止まってばかりでした。
しかし、レジリエンスを身につけることができれば、そんな自分を変えることができるのではないか?レジリエンスを高める方法について研究をすれば、自分と同じように困難な状況に過度に苦しんでしまう人の力になれるのではないか?そう思い、レジリエンスに関する研究を始めたのです。
 
個人のレジリエンス研究を行っていた筆者が、チームレジリエンスに関する本を書いたのは、「はじめに」で述べたように、就職した同期がチームの困難に悩んでいたからです。
 
困難を経験するのは、個人だけではありません。  この本に書いてきたように、チームもさまざまな困難を経験します。
 
レジリエンスが高いチームは、苦境に立たされても屈せず、それを成長の糧とします。一方で、レジリエンスが低いチームは、困難に直面した際、大きな苦痛を経験します。
 
博士号取得後は縁あって「社会人の学び」についての研究を始めましたが、研究をする中でお会いする社会人は多かれ少なかれ、チームで働く上での困難を感じていました。
 
チームが抱える困難は、より難解なものが多く、うまく解決できなければ自分一人でなくチームメンバー全員に被害をもたらしかねないといった性質を持っています。特に、リーダーはそうした困難を目の前にして不安を感じることや、うまく解決できず落ち込んでしまうことも少なくないでしょう。
 
筆者自身も、チームに関しては苦い思い出があります。
学生の頃リーダーを任されていたチームにおいて、メンバー間で亀裂が生じ、その対立を解決するために何をすれば良いのか、手探りの状態でした。結局、うまく舵を取ることができず、優れた能力を持った仲間がチームを去ることとなり、胸が痛む思いをしました。
 
その時に、もしもチームレジリエンスについての知識があれば、もしかしたら事態はもっと前向きに進められたのではないかと、10年以上経った今でも考えることがあります。そして、誰かが辛い思いをすることも防げたのではないかと。

本書が、あの時の筆者のように、困難下でしんどい思いをされているあなたの一助となれば幸いです。

皆さんのチームが、困難を乗り越え、素敵な成果を発揮できますように。
困難に強いチームになることで、一人ひとりがより楽しく働けますように。
 
2024年5月
池田めぐみ

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