伸びゆく芽を摘まないように
子供たちはそれぞれ、生まれながらにバラバラの個性や能力を持っている。
これは当たり前すぎるくらい当たり前なことなんだけど、意外と見落としがちなことだと思う。
ついつい、「みんなやってるからやりなさい。」と言ったり。
あの子はもうできるようになったのに、と他の子と比べたり。
小学校入学までには、これくらいできるようにならなきゃかな、と考えてしまったり。
子供自身ではなくて、子供の外側の状況を優先して、そこに子供を合わせようとしてしまうこと、ないですか?
本当は、例え年齢や性別が同じでも、考え方や感じ方、好き嫌いや得意不得意は一人一人違う。
だから、それぞれに合わせてあげるべきなのに、みんな一緒の基準を設けてそれに当てはまるように育てよう、教えようとしてしまいがち。
だから私は、教員をやっていて、たまに苦しくなる。
なぜなら、子供たちの個性や内なるエネルギーの芽を、教員である私が潰している瞬間がある気がしてならないから。
私は教員として、子供たちの良さを伸ばせているんだろうか?
そう考えて立ち止まってしまう瞬間がある。
さらに、子供の伸びゆく芽をつぶすのは、何も大人だけじゃない。
子供自身で気付かないうちに、つぶしてしまっていることもある。
私は昔、子供たちにアンケートを取ることがある。
やってみたいことはなに?
得意なことはなに?
将来の夢はなに?
その子自身を知るために、色々聞いてみる。
すると、全然思いつかなくて手が止まる子がいる。
そういう子は他の子より得意なことがないのではなく、むしろ何でもよくできたり、真面目で頑張り屋さんだったりする。
それなのになぜか、自己評価がとても低い。
「◯◯が得意じゃない?」と私が言っても、「えー…、そんなでもない。」
「◯◯になりたいって、前言ってなかったっけ?」と聞いても、「それはママに言われたから思ってただけで、今は思ってない。」
そして、「得意なことはない...。」なんて言うではないか!
そういう子は多分、周りの大人の言うことを聞きすぎていて、自分の本当の気持ちが分からなくなっているのではないか。
周りの期待に応えようと、良い子でいようと頑張りすぎているのではないか。
そういう子に出会うと、私はとても心配になる。
そして、私もその子に負担を強いている大人の一人なのではないかと怖くなる。
では、大人が子供たちにすべきことは何か。
私は、その子それぞれの個性は何か、強みは何かをしっかり把握して、それが伸びるような環境を提供し、手助けすることだと思う。
だから私は、花に水をやるように、息子にはたくさんの本を買ってあげることにしている。
ピタゴラスイッチとキノコにハマっている息子が、もっと好きになるように、今日も本を買った。
それは決して、頭が良くなってほしいとか字が読めるようになってほしいからではなく、強みをもっと強みにして、好きなものをもっと好きになって、自信をもてるようになってほしいから。
伸びゆく芽をつぶすのではなく、伸ばす手伝いをしていきたいなぁ。
そんなことを思う今日この頃。