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巖谷國士先生のトークショー「オートマティスムとは何か」を踏まえて
巖谷國士先生のトークショーは、私にとって大きな刺激となりました。
特に、先生の講演スタイルやシュールレアリスムに対する深い洞察は、私の創作活動に新たな視点を提供してくれました。
・「シュルレアリスム」を語る時、日本では、日本特有では完全にパターン化された言い回しがある。
→「無意識世界を描く」それは完全に間違い
「無意識世界を描く」は矛盾。無意識が意識出来る訳が無い。
しかも「無意識」が「世界」かどうかも分からない。
・人は「無意識世界を描く」ではなく「無意識世界だと思っているものを描いている」に過ぎない。
・シュルレアリスムに当て嵌めるとそれはダリくらいのもの。
・ダリはかなりフロイト世界的に無意識世界を構成している。
・「無意識」で以てシュルレアリスムの美術や文学、詩、映画などをそれを説明するのを僕はやめた。
・オートマティズムがまずある。オートマティズムはフロイト的な無意識ではない。
・「無意識的に手が動く」これはオートマティズムで説明が出来る。
※フロイトの「無意識」
個人の無意識、フロイトの夢分析も個人のそれまでの過去にその個人が経験した事を読む。その外にはいかない。
ユングは集合的無意識を提唱した。
・文明化された、与えられた思想体系による見方だとか、それ以前に(人間の)目がある。その事が美術が如何に人間にとって広い豊かなものであるかを逆に意味する。
・少なくとも森を出ざる得なかった、つまり文明化せざる得なかった、都市を作らざる得なかった人間が先ずやりたかった事は「自然に戻ること」。
自然の記憶を保存していこうとした。
それがアートや文学の始まり。
オートマティズムの真髄と、その実践
先生のトークショーは、まさにオートマティスムそのものでした。準備なし、原稿なし、その場の雰囲気から湧き出る言葉で語られる内容は、意識的なコントロールを最小限に抑え、無意識から生まれる創造性を体現しているように感じました。
シュールレアリスムが単なる奇抜な表現方法ではなく、自然との深いつながりを目指すものであると考えは、私の心に深く響きました。意識せずに自然と繋がり、手が勝手に動くような作品を作りたいという強い願望が生まれました。
今後の創作活動への展望
トークショーで得た学びを踏まえ、私の創作活動は大きく変化しそうです。
準備を捨てる: 完璧な計画を立てずに、まずは何も考えずに筆を走らせてみる。
既存の概念にとらわれない: 過去の作品や理論にとらわれず、自由に発想を膨らませてみる。
無意識を解放する: 夢日記をつけたり、瞑想をするなど、無意識の世界にアクセスするための様々な方法を試してみる。
自然に身をゆだねる: 自然の中に出て、五感を研ぎ澄ませ、自然からインスピレーションを得る。
意図の超越: 作品に明確な意図を込めるのではなく、無意識の領域から湧き出るものを大切にする。
自然との共鳴: 自然からインスピレーションを得て、作品にそれを反映させる。
多様な表現方法: 絵画だけでなく、様々な表現方法を試してみる。
異なる分野との融合: 音楽、文学、科学など、異なる分野の知識や技術を取り入れる。
展示や発表: 積極的に作品を発表する機会を設ける。
コラボレーション: 他のアーティストやクリエイターとのコラボレーションを通じて、新たな可能性を開拓する。
シュールレアリズムのさらなる探求
シュールレアリスムの巨匠たちの作品を深く鑑賞し、インスピレーションを得ていきたいと考えています。またオートマティスムの技法をさらに深く学ぶことも検討しています。
芸術の本質への探求
芸術の真髄は「意図」ではなく「自然との共鳴」にあるという考えは、私にとって大きな気づきでした。今後は、この考えを軸に、より深く芸術を探求していきたいと考えています。
まとめ
巖谷國士先生のトークショーは、私にとって、芸術に対する考え方や創作活動に対する姿勢を大きく変えるものでした。先生の言葉と、オートマティスムの精神を胸に、これからも様々な表現に挑戦し、自分だけの作品を作り続けていきたいと思っています。
自動現象[オートマティスム]とは、表現における意識的なコントロールから逸脱し、無意識下に広がる精神性や世界を表す手法であり、心の解放ともいえるでしょう。15日には、シュルレアリスムの第一人者である、巖谷國士先生によるトークショー「オートマティスムとは何か」も開催いたします。オートマティスムについて、より深く掘り下げてお話いただく予定です。
Miko Arai Solo Exhibition ギャラリーHANA
2024年12月12日(木)〜17日(火)