【3分でわかる】『ヴィーガンズ・ハム』レビュー
・あらすじ
肉屋を営む夫婦の仲は冷め切っており、夫の強すぎる肉へのこだわりのせいで店は廃業寸前でした。
ある日、2人の店が動物のマスクで顔を隠した過激派のヴィーガン達に襲われ、なんとか犯人のうちの1人のマスクを外して顔を確認しますが、すぐに仲間達に妨害されあっけなく取り逃してしまいました。
顔がわかってもどこの誰か分からず、モヤモヤした気持ちのまま過ごしていると、親友の家から帰る途中で偶然にも家を襲ってきたヴィーガンを見かけます。
怒りで頭に血が上った夫はそのまま車で犯人を轢き殺してしまい、死体の処理に困った2人は死体を店に持ち帰り処分することにしました。
死体を処理した翌日。
夫が店に行くと、捨てたはずの肉を妻が誤ってハムに加工して店に出してしまっていました。
慌てる2人ですがハムを食べた人たちは「こんな肉食べたことがない!」と大絶賛。
閑古鳥が鳴いていた店には、瞬く間に多くの人が押し寄せるようになります。
味を占めた夫婦は、良質な肉を手に入れるためにヴィーガン狩りを始めることに。
はたして2人はどうなっていくのでしょうか。
続きは本作でお楽しみください。
・みどころ
1)コミカルに描かれる猟奇殺人
死体の肉を包丁で切り刻み、加工して店で売るというかなり猟奇的なことをしているのですが、BGMがめちゃくちゃコミカルなのであまりグロさを感じないのがこの映画のすごいところです。
ストレスがないほうが肉は美味しくなると殺す前にマッサージをしてみたり、よりよい肉を求めてヴィーガンが集まるフェスに下見に行ったり。
とにかくやっていることはやばいのですが、殺人描写を面白おかしく描いているので、グロいのが苦手な方も多少見やすいのではないかと思います。
2)際立つサイコパスさ
『この作品で一番のサイコパスは誰か』と言われれば、間違いなく妻です。
妻はサイコキラーの特集を観るのが趣味なのですが、途中から自分自身をサイコキラーに投影しているのではないかというシーンが多く出てきます。
殺人数を過去のサイコキラーと競ったり、娘の恋人を平気で殺そうとしたり。
変わっていく妻の様子に夫が逃げ出すシーンもありますが、それでも夫は妻のことを突き放せず最後まで共にいることを選びます。
もしかしたら、夫も気づかないうちに妻にコントロールされていたのかもしれないと考えると余計に妻が恐ろしく見えます。
個人的には、ラストシーンで「戻れるならいつに戻りたいか」と問われた時に妻が言った言葉に鳥肌がたちました。
グロくはありますが、全体的にギャグ要素が多くフランクに観れる作品だったので、気になった方はぜひ一度ご覧ください。