【3分でわかる】『あの花が咲く丘で君とまた出会えたら』レビュー
【あらすじ】
父を事故で亡くし、母の手一つで育てられた百合。
母が朝から晩まで働いても暮らしは貧乏なままで、進学することも諦めていました。
子供を救うために家族を残して死んだ父を誇りに思う母にイラつき、貧乏な暮らしをしているのは父のせいだと母に怒りをぶつけてしまいます。
どんなにいい事をしたって、死んだら何の意味もない。
母と言い争いになり、土砂降りの中家を飛び出す百合。
空は百合の心映すように、暗く大粒の雨が降り注いでいました。
ふと雨をしのげそうな穴倉を見つけ横になった百合は、いつの間にか眠りに落ちてしまいます。
しばらくして目を覚ますと、そこには見慣れた道路や電柱はなく、代わりに広がるのは一面の田んぼでした。
夏の日差しがジリジリと肌を焼き、ふらつきながら見知らぬ町を彷徨う百合。
すれ違う人達は着物やもんぺを身につけ、制服姿の百合を奇異な目で見つめてきます。
体力の限界を迎え、人目を避けるように脇道に座り込む百合に一人の男性、佐久間が声をかけました。
佐久間に連れられ、ツルという女性が営む軍指定の食堂に行った百合は、ここが1945年6月の日本だと知ります。
そして助けてくれた佐久間は、いずれ空の彼方で命を散らす特攻隊員でした。
ツルの店で働きながら、理不尽な世界で懸命に生きる人たちの想いに触れる百合。
そして佐久間に何度も助けられるうちに、百合は彼の誠実さと優しさにどんどん惹かれていきました。
いずれ命懸けで戦地に向かっていく佐久間と、戦争の結末を知る百合。
二人の恋の結末は、ぜひ本作でご覧ください。
【みどころ】
1)まっすぐな想い
自ら志願して配属された特攻隊員には、みんな守りたい人がいます。
妻や子供がいる人。
愛しい恋人がいる人。
自分を待っている父や母がいる人。
だれもが 自分の大切な人を守るために、自らの命を犠牲にして戦争を終わらせると決めてるのです。
死ぬのが怖くないわけがない。
でも自分の命で大切な人を守れるなら、喜んで死のう。
そう決めて戦地に旅立つ特攻隊員のまっすぐな想いに、心が締め付けられました。
無駄死にとは言いたくない。
でも、生きてほしかった。
映画が進んでいくうちにそんな百合の気持ちが、観ている人にもリンクしていくと思います。
ぜひ、佐久間達の勇姿を映画館でご覧ください。
2)主題歌『想望』とのリンク
エンディングで流れる福山雅治さんの『想望』。
まるで佐久間が百合に向けて言っているかのような歌詞で、本当に胸が苦しくなりました。
佐久間が本当に百合を愛していたこと。
本当は百合と幸せに暮らしたいと想いながら、日本を守るために戦地に向かったこと。
そして、百合に幸せになってほしいと願いながら、命を散らしたこと。
佐久間の覚悟と悲しさ、そして最後に愛する百合と出会えたことへの喜びがつまった歌詞なので、ぜひ映画を観た後に聴いていただきたいです。