【3分でわかる】『イマジナリー』レビュー
あらすじ
絵本作家のジェシカは、夫と夫の連れ子である2人の娘と共に暮らしていましたが、毎晩悪夢にうなされる毎日を送っていました。
環境を変えるためにジェシカが幼い頃過ごした家に家族4人で戻ると途端に悪夢を見なくなり、なんとか4人での生活を再スタートしようと思っていた最中、末の娘のアリスが地下室から古ぼけた熊のぬいぐるみを拾ってきます。
アリスはそのぬいぐるみを『チョンシー』と呼び、まるで昔からの親友のようにチョンシーに愛情を注ぎ始めました。
アリスにイマジナリーフレンドができたと微笑ましく見ていたジェシカ達ですが、アリスが突然始めた『宝探しゲーム』をきっかけに2人の様子は次第におかしくなっていきます。
アリスの前に突然現れた熊のチョンシー。
最高の理解者であり親友のチョンシーは、本当にアリスにとっての『トモダチ』なのでしょうか。
続きは本作でお楽しみください。
みどころ
1)禁断の遊び『宝探しゲーム』
アリスとチョンシーが始めた『宝探しゲーム』。
リストにあるものを全て集めるとチョンシーの家に行けるというとてもファンシーで微笑ましいゲームですが、その異常性はリストの内容にあります。
宝探しゲームのリストに記載されているのは、具体的な物ではありません。
ハッピーなもの、泣いてしまうもの、痛いことなどとても抽象的で、相手の想像力に委ねるものばかりです。
自分で考え、自分で決めたものを集めなければならないので、集めるものは人によって違います。
アリスが『泣いてしまうもの』に自分が苦手な虫を思い浮かべ、嫌いな虫を手づかみでビンに詰めることになってしまったように、自分がなにを嫌だと思うのか、その想像力が豊かであればあるほど、宝探しゲームの残酷さは増していくのです。
子供の想像力によって作られたイマジナリーフレンドの遊びにこれ以上ふさわしいものはないでしょう。
可愛い熊のぬいぐるみとの宝探しゲーム。
これをクリアした先になにが待っているのかは、ぜひ本作でご覧ください。
2)空想と現実が入り混じる世界
本作のメインテーマである『イマジナリーフレンド』とは、児童期に見られる空想上の友達であり、子供の心を支える仲間として機能するものだそうです。
実母から虐待を受け心に傷を負ったアリスにとって、熊のチョンシーは心の穴を埋めてくれる大切な存在でした。
私も子供の頃大切にしていたぬいぐるみがあり、1人で留守番をしている時はそのぬいぐるみとおしゃべりをしたり一緒に遊んだりしていた思い出があります。
子供の頃に一度は体験した、あの不思議な感覚。
自分のイメージの中にある友達と、目の前にあるぬいぐるみがリンクするあの瞬間を思い出させてくれる映画でした。
イマジナリーフレンドとは何か、ということを頭に置いて映画を観ていただくと、チョンシーの正体を知った時により恐怖が増すと思います。
今までにないホラー映画で、最後まで本当に怖くそして楽しく観れたので、気になる方はぜひご覧ください。