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【読書感想】[サンショウウオの四十九日] 朝比奈秋 著

一つの身体を生きる姉妹の物語
複数の自我が一つの身体を共有する感覚は、
一つの身体に一つの自我が存在しているであろう私には何とも不思議で掴みきれない感覚だった
ただ、自分の身体であっても自分の意思通りにいかない場面
(眠っている時、泣きたいのに笑う時…身体の自由が効かない場面で、私は私自身を直に感じられない)
は誰にでも起こり得る事で、そしてそれは制御しようとする事自体無意味なのだと、はなから自分とは違う者なのだと理解する事と思った

意識とは、自分とは、他者とは、最適解の無い問いに呑み込まれてしまう危険を孕みながら、
呑み込まれる事なく、他者との境界線を明確にせず揺蕩うように共生する策が自然と産まれる人間の適応性

生きながら死を俯瞰する様は恐怖ではないか、
自我が消失するかもしれない事態に於いて
肉体的な苦痛が伴わないのであれば恐怖に感じないのか、
そもそも生きているとは何なのか?

自分の意思で取捨選択をし、今があるのだと思い込み、勝手に安心して、生きている気になっているだけだとしたら…
…自分とは何なのだろう

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