嬉しさのあまり...
2023/09/14 15:06
私「――まだ、かな……」
心を落ち着かせるために、パソコンで YouTube を立ち上げて、好きな動画を見る。好きで見ている動画なのに、ちっとも頭のなかに内容が入ってこない。デュアルディスプレイ設定したモニターの一つには、好きなゲーム実況者のゲーム配信が流れ、もう一つのモニターにはインターネットの検索ページが開かれ、いつも利用するネットショップの WEB ページが映し出される。
今日は、わたしが注文して商品の到着日。希望していた配達時間を2時間も過ぎていた。
おかしいな。いつもなら午前中までには配達してくれるのに。
他の商品も一緒に頼んだからなぁ。
まとめて配達してくれるのか?
慣れた手つきでキーボードの上を指を踊らせ、ネットショップの注文ページを確認する。
画面常備にデカデカと「ご注文の品は、○月□日 **時~**時に配達予定でした」と大きな文字で表示された。絶望。そっかぁ~。配達予定が変わっちゃったのか。今日は仕事が休みで、誕生日前に受け取れるとウキウキしてたんだけどなぁ。
数分後――
やっと来た配達業者に、ピンポンと自宅のチャイムが鳴ると同時に玄関に駆け寄る。急いで出たから、髪はボサボサ。服は肌着のようなテロッテロになったU字ネックのTシャツ。着すぎて首元も伸びきっていて、胸元が見えてしまいそう。たぶん配達業者もビックリしたことだろう。玄関を開けた瞬間、配達業者の方がそっと視線を逸らしたことで、わたしも今の格好を思い出した。暑すぎて、みっともない格好をしてたと焦るが、今さら遅い。ポメラが届いたことが嬉しい気持ちが勝ってしまって、恥ずかしい気持ちが10%減少。
配達業者「こちらの手違いで、配達時間を間違えてしまい申し訳ございません」
視線をそらし、キャップの鍔をぐいっと下に下げて詫びる配達業者の男性。60代ぐらいだろうか。帽子の下からグレーがかった髪が見える。
配達業者のおじさんが手渡してきた箱を受け取りつつ、玄関のドアに早急に閉めようとするわたし。
私「ぃぇぃぇぃぇぃぇぃぇぃぇ、とんでもないですぅぅぅぅぅ!」
玄関のドアを閉じながら、ドアの隙間からアタフタしつつ恐縮するわたし。
バタンッ! と閉じた玄関のドアの先で、足早に立ち去る配達のおじさんの足音が遠ざかっていく。
あぁぁぁぁぁぁ。こんなみっともない格好で出てきて、逆にこちらが申し訳ないです。 穴があったら入りたい。おじさんの記憶を抹消させたいぃぃぃぃ……。