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タピオカと幸福感

車を運転していたら、

ママさんが赤ちゃんを抱っこしながら歩いているのを見た。

赤ちゃんはお休み中のようで、手足の力が抜けているのがわかった。

かわいいなぁ。

我が家もこんなときがあったなとシミジミしていた。

だがしかし、ママさんはそんなかわいい瞬間を感じる余裕もない!

といった遠い目をしていたのだ。

あぁ、重い。早く家について少し休みたい。

いやまて、ミルクをあげて、夕飯も考えなくては、、、

などと考えていることが読み取れるくらいの、遠い目。

車に乗せておうちまで送っていって差し上げたいくらいだった。

赤ちゃんを見ると顔がほころんでしまいがちだが、

ママさんたちは今日我が子を生かす為に必死なのだ。

私自身もその頃を思い出すと、

「もうそんな生活は無理だなぁ。」と思うけれど、

赤ちゃんを抱っこしたまま昼寝をする

あのあったかくて幸せな瞬間は

もう二度とこないのだと思うと、少し寂しい。


近所にタピオカを買えるお店ができた。

正確にはお惣菜も売っているので、お惣菜屋さんだが。

私はタピオカが好きである。ほろよいの次くらいに好きだ。

あのもきゅもきゅした甘くて小さいお団子が好きだ。

そのお店のメニューを見るとミルクティーのスタンダードから、

黒糖や抹茶の和テイスト、フルーツ系に至るまで

種類が豊富にあって目を輝かせてしまったくらいだ。

さて、実食。

ドリンクを飲み、ほのかに甘いタピオカを味わいながら

ゆっくり食べている瞬間の私は

幸福感に満ちていたであろう。

ただのでんぷん粉であろうが、

太る原因であろうが、

ありがとう、タピオカ。

なんとも手頃な幸福感だが、

私のプチご褒美、プチ贅沢の一つである。

おばあちゃんになると

喉につまらせそうだからだめと

止められそうな気もする。

だから今のうちに楽しんでおこう。

そう考えると、年を取るごとに幸福感は変わっていくことがわかる。

離し難いものも離れざるを得ないものも沢山あるだろう。

現に、小さい頃の我が子にはもう写真でしか会えない。

ただ、これから見つけるものもあるだろう。少しワクワクもする。

そしてまだ、我が子には私に抱っこしてほしいと言ってもらえている。

今のうちだ。今のうちだけだから、

ちゃんと抱っこしてあげないと。今だけの幸福感を大事にしないと。

きっと思春期になったらしてもらえないから。

子どもとのハグは、きっと子どもが思っているよりずっと

親のほうがとても、力になっている。

味わい深いその幸福感は、

タピオカとは似ても似つかないが

私の活力そのものである。

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