見出し画像

イタリア旅。 |イタリア旅の極意は”食”にあり 〜エミリア・ロマーニャ編①(モデナ/フェッラーラ)〜

イタリア、ひとり旅の極意。

・ひとつ、その土地の名産品を食すべし。
・ひとつ、地元の人が通う、こじんまりしたトラットリアに入るべし。
・ひとつ、トラットリアでは、店主におすすめを尋ねるべし。

全部、食事に関することです。


ひとり旅に限った話ではありませんが、イタリア旅を最大限に楽しむうえで、「食」は何よりも重要です。

私たちが「イタリア料理」と一括りにしているものは、実は現地イタリアには存在しません。

イタリアは、1861年に国家が成立するまでの歴史的背景から、地域ごとの郷土料理がバラエティに富んでいます。

それらを「イタリア料理」として、十把一絡げにはできないのです。


せっかくイタリアに行ったのに、日本でも食べられるようなパスタやピザを頼んでいては、なんだか勿体無い——。

本場のイタリアを食するならば、訪れた街の郷土料理を味わってこそだと私は思います。

そこで効いてくるのが、冒頭の三箇条の極意。

その土地の郷土料理は、その土地の人に訊ねるのが一番。これが、私がイタリア留学中に見出した、何よりも大切な結論です。


前置きが長くなってしまいましたが、今回は”美食の街”が勢揃いの、エミリア・ロマーニャ州について書きます。

舞台は、私が当時住んでいたボローニャから程近いモデナフェッラーラの2都市。そこで、最高に美味しい郷土料理を食べたお話です。




モデナを旅する。


2018年10月。ボローニャから電車で約30分、「食の宝庫」と呼ばれるエミリア・ロマーニャ州の古都、モデナを訪れました。

古くは紀元前2世紀まで遡る街で、中世にはモデナ公国の中心都市として栄えました。イタリアを代表する自動車メーカー「フェラーリ」発祥の地としても知られています。


アルビネッリ市場へ

モデナ駅に到着し、早速モデナ観光の中心地、グランデ広場へ向かいます。

その名前とは裏腹に(「グランデ」はイタリア語で”大きい”という形容詞)こじんまりとした印象の広場ですが、大聖堂や市庁舎などの歴史的建造物に囲まれ、非常に美しい場所でした。


モデナ大聖堂。
世界文化遺産にも登録されているロマネスク建築。
大聖堂のファサード。
シンメトリの美しい佇まい。
こちらはモデナ市庁舎。


私が訪れた際には、広場で「La Buonissima」という食のイベントが開催されていました(「Buonissima」はイタリア語で”超おいしいもの!”という意味)。

多くの露店が立ち並び、地元の食材や料理がひしめき合っていて、見て回るだけで楽しかったです。


そして、次なる目的地のアルビネッリ市場へ。

アルビネッリ市場は「モデナの台所」とも呼ばれる場所で、野菜や魚介類、肉、チーズなど、ありとあらゆる新鮮な食材が集まる市場。

観光客向けというより、地元の人で賑わう生活の場です。

私は当時イタリアの食文化について勉強していたので、地元の人がどのような場所でどのように買い物をするのか、こっそり観察したくて訪れました。


アルビネッリ市場の入り口。
野菜や果物がぎっしりと並ぶのが見え、テンションが上がる。
市場内部。活気があります。
ハロウィンシーズンだったので、トルタ・ディ・ハロウィン(かぼちゃのケーキ)。
食材だけでなくお惣菜も豊富なので、安く美味しい食事ができる場所としてもお勧め。


パルミジャーノ・レッジャーノというチーズや、モデナ名産のバルサミコ酢など、お土産の食材もいくつか買い込んで、大満足でした。


モデナ名物、トルテッローニ

さてさて、本題のモデナ郷土料理。

「トラットリア・アルディーナ」というエミリア・ロマーニャ州の家庭料理を楽しめるお店で、地元のおすすめを伺いました。


トラットリア・アルディーナ。
赤いチェックのテーブルクロスが可愛い。


おすすめいただいたのは、トルテッローニというパスタ。

トルテッローニとは、生地の中に詰め物をするパスタの一種で、エミリア・ロマーニャ州の伝統料理。具材を詰め込んだ生地を、指輪状に丸めて作るのが特徴です。

実はエミリア・ロマーニャ州には、トルテッローニトルテッリーニという、非常によく似た名前のパスタがあります。

どちらも指輪状の形状は一緒ですが、大きさが異なります。トルテッリーニは可愛らしいひと口サイズ、トルテッローニはサイズがひと回り大きいです。


かぼちゃのトルテッローニ。

旬のかぼちゃをたっぷり使い、ほっこりする甘みの詰め物に、パルミジャーノ・レッジャーノの相性が素晴らしく、とても美味しいパスタでした。


ちなみに、こちらがトルテッリーニ。
ころころしていてかわいい。



フェッラーラを旅する。


2018年11月。ボローニャからヴェネツィア行きの電車に乗ること約30分、ルネサンス文化の面影を残す町、フェッラーラを訪れました。

「ルネサンスの華」とも称されるフェッラーラは、13世紀にエステ家によって統治され、優れた芸術家を数多く輩出し、ルネサンス時代を象徴する街となりました。


中世の街に迷い込む

フェッラーラ駅から20分ほど歩くと、エステ家の統治時代である14世紀に建造された、エステンセ城が姿を現します。

エステンセ城。
褐色の城壁が美しい、迫力のあるお城。

エステンセ城の周囲には、水を湛えた幅広のお堀がありました。日本のお城ではポピュラーな防御機能ですが、実はこれ、イタリアではなかなか珍しいです。


お城の先に進むと、トレント・トリエステ広場という、大きな広場に出ました。

トレント・トリエステ広場に鎮座する、フェッラーラのカッテドラーレ(ファサード工事中)。
フェッラーラの守護聖人、サン・ジョルジョを祀っているそう。


そして、フェッラーラで最も中世の面影を色濃く残す小道、ヴォルテ通りを散策。

まるで中世の街に迷い込んでしまったような、不思議な感覚になりました。

中世の面影を残すフェッラーラの小道。


ヴォルテ通りには、通りを挟んで建つ建物を繋ぐ、アーチ状のトンネルがいくつも続いています。

このアーチの上にも人が住んでいるというから、面白いです。

レンガ造りのアーチが続く。
歩みを進めるごとに、タイムスリップしていくような感覚でした。


フェッラーラ旅の終着点は、ギザギザとした外壁が特徴的なお屋敷、ディアマンテ宮殿へ。

ディアマンテ宮殿。
一緒に訪れた友達「ここルブタンの本社?」。
壁一面が尖った四角錐で構成されている。
宮殿の中には、美しい中庭もありました。



フェッラーラ名物、カッペッラッチ

フェッラーラの郷土料理としてご紹介するのは、カッペッラッチという促音だらけのパスタ料理。

オステリア・デッリ・アンジェリ」というお店でおすすめを尋ね、「絶対これ!」と太鼓判をいただいたものです。


オステリア・デッリ・アンジェリ。
ヴォルテ料理の一角にある、地元の伝統料理を提供するお店。
落ち着いた照明で、良い雰囲気の店内。
厨房がオープンになっていて、シェフが料理しているところを観察できました。


カッペッラッチとは、卵入りの生地にかぼちゃやお肉、チーズなどの具材を詰めて、トンガリ帽子のような形に丸めて作るパスタです。

ラグーソースのカッペッラッチ。

かぼちゃの優しい甘さと、少し濃い目の味付けのラグーソース、そしてパルミジャーノ・レッジャーノ。おすすめどおりの絶品でした。


チーズの盛り合わせも注文。
3種のペコリーノチーズを、蜂蜜とオレンジジャムと一緒にいただきました。


ここまで、エミリア・ロマーニャ州のふたつの郷土料理についてお話ししましたが、あるひとつの方程式を導き出せることにお気づきでしょうか。

それは、「エミリア・ロマーニャ州では、詰め物入りパスタを注文しておけば間違いない」ということです。

実際、ボローニャやその他の街でも、ほとんどのお店で詰め物入りパスタの取り扱いがあります。

そして、私は詰め物入りパスタを頼んでハズレに当たったことがありません。


ということで、エミリア・ロマーニャ州、ひとり旅の極意をひとつ追加。

・ひとつ、迷ったら詰め物入りパスタを注文すべし。



◇前回の「イタリア旅。」のnoteです。ぜひこちらもご覧ください◇

◇旅に関するおすすめnote◇

◇本に関するおすすめnote◇

◇読書会Podcast「本の海を泳ぐ」配信中◇

◇マシュマロでご意見、ご質問を募集しています◇


当noteは、Amazon.co.jpアソシエイトを利用しています。

いいなと思ったら応援しよう!