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不同視弱視の治療でアイパッチ 4.嫌がるのも悪いことではない?

こんにちは。近藤ろいです。
スキ♥やみんチャレチームへのご参加ご関心、ありがとうございます、

今4歳の上の娘は弱視治療をしています。「遠視性不同視弱視」といいます。

左目が強い遠視であまり見えておらず、治療をしなければ将来眼鏡をかけても視力が出ないかもしれない状態です。

普通の3歳児健診でいきなり発見されました。
毎日接している母親の私も見抜けなかったことで、申し訳ないやら焦るやら。
6~8歳が視力形成の臨界期とのことで、治療用眼鏡を常時かけ、家にいるときは健眼を隠すアイパッチ療法をしています。

このシリーズでは、アイパッチ治療の導入や動機付け、オリジナルの布アイパッチの作り方などをお送りします。
今回は、避けては通れない「アイパッチもう嫌」の掘り下げです。


とうとうアイパッチ嫌と言い始めた

娘、4歳。
アイパッチ治療を初めて1ヶ月ほど経ったところで、
とうとうアイパッチを嫌がり始めました。

「だって見えないんだもん!」と。

ありゃー、来たかー。

という気持ちです。

どう考えても不条理なことをさせている訳ですから、気持ちはわかる。
しかし親からしたら、視力治療の臨界点と言われる6~7歳までにあと2年余しか無いわけで、一日たりとも無駄にしたくない。

いいから着けろよ!

って思っちゃいます。

もともとスマホの勉強時間管理アプリを併用して、つけたら報酬(時間に応じて木が増えていったりミニゲームができる)があるようにしていました。

https://note.com/megane_nannkome/n/n4b65b582ee82

最近では、毎晩その報酬がなくても自然とつけるようになっていて、(ヨシヨシ)と思ったタイミングです。


必要性を説明したり、
つけなかったらテープのアイパッチになるぞと伝えてみたり、
着けていることを褒めたり、
一緒に着けようかと言ってみたりしましたが、やはり「着けたくない」と言う朝はある。

サンドバッグになるのはいつも母親 と思ってしまう

イラッ としましたね正直。

言うのは決まって朝、夫が仕事に出かけ、娘と私と妹(赤ちゃん)の3人になった瞬間です。

夫の前ではいい顔をして…

とか、

夫はいいよなあ、仕事に行ってしまえば家庭のことはノータッチで済むんだから。

とか黒い感情がよぎりますが、とりあえず目の前の嫌がる娘を何とかしなくてはならない。

このまま治療中断か? 娘の人生今この瞬間の私の対応にかかっているのか?
親をやるのってしんどいな!

心折れ、今日はつけなくていいよと譲歩してしまった結果

2、3日続いたので、なだめすかすのも辛くなって、ある日
「じゃあ、朝はちょっとお休みにしよう。また着けてもいいかなと思ったら着けよう」と、こちらも流されるに至りました。

あーあ。どうなるのかな。

と思いつつも朝の忙しい時間帯。

赤ちゃんを適当に構いながら、朝ごはんの片づけをしたり、自分も着替えたり、娘と赤ちゃん二人を着替えさせて保育園に送る準備をしたりとバタバタしていました。

そうそう、保育園に提出する書類にふせんも貼り付けて…。

正方形のふせんを取り出すと、テレビを見ていたはずの娘(ノーアイパッチ)が目ざとく見つめて一枚くれと言いました。
断ると面倒くさいのでハイドウゾです。

メモを書き終わって顔を上げると…そこには満面の笑みで付箋を眼鏡に巻きつけ、「アイパッチ」をしている娘が!!

付箋で作った手製アイパッチですよ。

感動しましたね。

嫌と言いつつ、4歳児なりに「アイパッチをしなくてはいけない」ということもわかっているのだなあ、と痛感しました。

4歳がアイパッチ嫌という背景にあるものを考えさせられた

そしてこの「嫌と言ってからの手製アイパッチ事件」をきっかけに、
娘の「アイパッチ嫌」の捉え方が変わりました。

主体としてこの状況を捉えなおしているのだな、と。

引っ越す、児童養護施設に入るなど、新しい環境に置かれた子どもの反応と重なるのかなと思いました。

最初は従順にふるまいます。本人も新しい環境の中で受け入れられようと必死なので。

で、少し落ち着いてきて周りが見えてくると、近しい大人に反抗し始めたり、学校に行きたくないと言ってみたり、指示に対して動きが鈍かったり、放課後に訳の分からん寄り道をしたりする。

大人は焦ったり叱ったりで元の道に戻そうとするのですが、
従順な子は従った後、その圧を何か別の方法で発散してしまう。交友関係?クラブ?成績低下?無気力?
叱られて、より反抗が拡大する子どももいる。ますます叱られるの悪循環。

「あの子は新しい環境で悪い子になった」。

でもこれは、大人への試し行動
その裏には、環境を主体として生きなおそうとする強いエネルギー。

「アイパッチを着けるか、着けないか。本質的に決めるのは自分だ! そのことをわかっているか、母よ!」と。

私らは「わかっちゃいるけど嫌なんだ」の壁打ち相手なんですな。
職場でもあるあるですな。
「こんな仕事嫌、いつでもやめてやる」と毎日周りに撒き散らす人ほどしぶとい現象。


と気づくと、「よしよし、今日も元気に『嫌や』をやっとるな」と、ちょっとだけ余裕をもって眺められます。

「あっそう、ふーん? じゃあ15分くらいお休みしよっか」と言いつつこちらも声を掛けると、10分くらいしたら自分から「着ける」

自分からつける気になるのを娘自身も待っているのだなあ、と思います。

この出来事をきっかけに

この出来事があってから、私の中で余裕ができて、娘が「アイパッチ嫌」と言ってやらなくても、
(おお、いい自主性しているな)と思うことができるようになりました。めでたしめでたし。

…なワケない!!

「なに試し行動してるのよ、もう!」

みたいな怒りになりました(笑)。
繰り返すが朝の忙しい時、背中に山盛り洗っていないお皿が積み上がっとる時やぞ。

あるいはうんざりしますね。
「またか」。

とはいえ、多少は娘に対する信頼の基盤ができたのは事実です。
この記事を公開した時点でアイパッチ療法開始から半年くらい経っているのですが、
毎朝毎朝「こんなん嫌や」「もう休憩する!」と言いつつ、しなかった日は一度もありません。

ごねたり、母親をサンドバッグにしたり、試し行動をしたりしながら自分なりに「アイパッチしなくては」と闘っているんだなあと感心する近藤でした。


インターネットのアイパッチ嫌がる記事に満足できないのよ

ネットで「アイパッチ嫌がる 対処」とか調べても、
「共感して抱きしめてあげましょう」
「絵を描いてあげましょう」とかの綺麗事しか書いてなくて絶望するわけです。

ここまでやってて嫌がるんですぞ!

クリックするといろんな種類のデコアイパッチが見られます

あっうん…みるみるネット様の悪口とかじゃないです、断じて。


でも眼科さんとか支援サイトの大きいところとかは、万人が目にされる訳ですから、危なっかしいことは書けないのもわかります。

だからアクセス数わずかの極小サイトを運営する当事者親が、いち個人の所感として、
同じ悩みでたどり着かれた方に大きい声で言って差し上げますぞ。

アイパッチ嫌がるの、どこの家庭もやで!

貴方がちゃんとお子さんをコントロールできてないからじゃない!

お子さんは踏んばろうとしているから、沸き起こる影の部分を親にぶつけて支えてほしいだけ!

大丈夫大丈夫、ちょっとくらい休んでも大丈夫だよ!!

今まで培ってきた親子の絆があるでしょう?
またつけてくれるよ!
一歩下がって、それからじわじわ1.5歩進むための準備だよ!

大丈夫だよ!!

親が子どもの「アイパッチ嫌」に巻き込まれるのが必須なら…

でもやっぱり、我が子のアイパッチ嫌を受け止めるのはしんどい。

アイパッチを嫌がるのは当たり前で、それを多くは母親が一人で受け止めなくてはならないのなら、
それを前提とした上で、愚痴や、子どもの頑張りを共有できるウェブ上のコミュニティが欲しいなと思いました。

それが習慣化アプリ「みんチャレ」で「眼鏡治療・アイパッチ治療友の会」を作った理由です。


こんな感じで取り組みを投稿しています。参加してくださる方がおられる期間はお互い励まし合っています。


治療中断し視力が上がらなかった家庭ってどのくらいであるんでしょうか?

一応「休んでも大丈夫やで」と公言してしまった身としては、
どのくらいサボったらドロップアウトに流れてしまうのかとか、
子どもの適応経過とか(初めは従順だけど1ヶ月くらいで嫌がり、6ヶ月経つと抵抗は減る、などの傾向)、
統計があったら知りたいなあと思いました。


そしてもしも、少しの仲間の力があるだけで、その子の将来が大きく改善するのであれば、
このサイトや友の会が力になれればいいのに(そしてうちも助けてェ~!)と思う次第です。

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